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失恋女とかませ犬系男子2
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酔っているせいもあって普段よりも大胆になっている私は言った。
「好きな人が他の人と結婚しちゃうの」
「えーマジか。それは落ち込むな」
成瀬君は茶化すこともなく真顔でそう言った。成瀬君、やっぱ普通にいい人だな。
「好きな人って、ちなみに会社の人? ……あ、別に無理には聞かないけど」
「……神木先輩」
「え? あー……そうなんだ」
成瀬君が微妙な表情を浮かべる。……やっぱり松本さんに失恋した成瀬君もこの名前には敏感に反応するってわけね。
「告白しといたらよかったなぁ」
「うーん、どうだろうなぁ」
成瀬君が曖昧に言う。……そんな風に言うのは自分は告白してふられてしまったからだろうか? どうせなら成瀬君の失恋も暴露してくれたらお互いに励まし合えるのに、と思うけれど成瀬君が自分の話をし始める素振りはない。
結局成瀬君はその後、飲み会がお開きなるまでずっと私の失恋話を聞いてくれていた。え、なに? 超優しくない? なんだこのイケメン? ひかえめに言って神か?
・
・
・
「おーい七海? 大丈夫? 歩ける?」
かなり飲み過ぎた。私は成瀬君に抱えられるようにして店から出る。ふと成瀬君の顔面を至近距離で見る。
あーやっぱり成瀬君って顔面が強すぎる。こんな顔面から『俺じゃダメですか?』なんて破壊力ヤバいセリフ吐かれて振るとか一体どういう強靭な精神力しているのだろう? 前世で一体どんな徳を積んだらそんな経験できるんだ?
「七海今日ヤバいなー? 成瀬大丈夫?」
「あーだいじょぶだいじょぶ。七海ちゃん送ったら合流するから、先行ってて」
成瀬君が幹事の三木君と会話しているのが遠くの方で聞こえる。
飲み過ぎてふらふらの足で歩く。だけど途中で疲れてしまって駅前のベンチに座り込んでしまった。あー私今すごく迷惑な人だよね。
「七海ちゃん? おーい七海ちゃん? 終電終わっちゃうよ?」
「成瀬君、迷惑かけて……ごめんね」
なんとかそう絞り出すように声を出す。
「やれやれ、この酔っ払い」
そう言われてこめかみを軽くこつんとされる。
「あの、私のことは気にしなくていいから、成瀬君は終電乗って?」
私の言葉に成瀬君がはーと息を吐く。
「……あのね、そんなことできるわけないでしょ? こんな状態の女の子をこんなところに置いてったらどんなことになると思う?」
成瀬君の言う通りだ。わかっているのだけれど体が動かない。その後も少し会話をしたけれど、途中で何度かウトウトしてしまった気がする。
次の瞬間、成瀬君に背負われた感覚があった。体がふわりと浮く。
「もーとりあえずホテル入るよ? いいね?」
成瀬君の声が聞こえる。
あれ? これってもしやワンナイトの流れ?
……ま、いっか。成瀬君イケメンだし。普通にタイプだし。逆にむしろ私が相手で成瀬君に申し訳ないけど。
……優しくしてね?
「好きな人が他の人と結婚しちゃうの」
「えーマジか。それは落ち込むな」
成瀬君は茶化すこともなく真顔でそう言った。成瀬君、やっぱ普通にいい人だな。
「好きな人って、ちなみに会社の人? ……あ、別に無理には聞かないけど」
「……神木先輩」
「え? あー……そうなんだ」
成瀬君が微妙な表情を浮かべる。……やっぱり松本さんに失恋した成瀬君もこの名前には敏感に反応するってわけね。
「告白しといたらよかったなぁ」
「うーん、どうだろうなぁ」
成瀬君が曖昧に言う。……そんな風に言うのは自分は告白してふられてしまったからだろうか? どうせなら成瀬君の失恋も暴露してくれたらお互いに励まし合えるのに、と思うけれど成瀬君が自分の話をし始める素振りはない。
結局成瀬君はその後、飲み会がお開きなるまでずっと私の失恋話を聞いてくれていた。え、なに? 超優しくない? なんだこのイケメン? ひかえめに言って神か?
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「おーい七海? 大丈夫? 歩ける?」
かなり飲み過ぎた。私は成瀬君に抱えられるようにして店から出る。ふと成瀬君の顔面を至近距離で見る。
あーやっぱり成瀬君って顔面が強すぎる。こんな顔面から『俺じゃダメですか?』なんて破壊力ヤバいセリフ吐かれて振るとか一体どういう強靭な精神力しているのだろう? 前世で一体どんな徳を積んだらそんな経験できるんだ?
「七海今日ヤバいなー? 成瀬大丈夫?」
「あーだいじょぶだいじょぶ。七海ちゃん送ったら合流するから、先行ってて」
成瀬君が幹事の三木君と会話しているのが遠くの方で聞こえる。
飲み過ぎてふらふらの足で歩く。だけど途中で疲れてしまって駅前のベンチに座り込んでしまった。あー私今すごく迷惑な人だよね。
「七海ちゃん? おーい七海ちゃん? 終電終わっちゃうよ?」
「成瀬君、迷惑かけて……ごめんね」
なんとかそう絞り出すように声を出す。
「やれやれ、この酔っ払い」
そう言われてこめかみを軽くこつんとされる。
「あの、私のことは気にしなくていいから、成瀬君は終電乗って?」
私の言葉に成瀬君がはーと息を吐く。
「……あのね、そんなことできるわけないでしょ? こんな状態の女の子をこんなところに置いてったらどんなことになると思う?」
成瀬君の言う通りだ。わかっているのだけれど体が動かない。その後も少し会話をしたけれど、途中で何度かウトウトしてしまった気がする。
次の瞬間、成瀬君に背負われた感覚があった。体がふわりと浮く。
「もーとりあえずホテル入るよ? いいね?」
成瀬君の声が聞こえる。
あれ? これってもしやワンナイトの流れ?
……ま、いっか。成瀬君イケメンだし。普通にタイプだし。逆にむしろ私が相手で成瀬君に申し訳ないけど。
……優しくしてね?
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