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妹ざまぁ その2
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「国王の義理の姪にってその前に……、今のあなた、王太子殺害の重要容疑者なのですわよ?」
私の言葉にユリアは何を言っているのだろうという表情を浮かべる。
「……あのう、お姉さま? おっしゃっている意味が分かりかねますけれど」
ユリアが尋ねる。私の代わりにフェリクスが口を開いた。
「……まあ順に説明しよう。君は先ほど予言者の言葉は外れたと言っていたがそれは適切ではない」
「はあ」
「まず公にされている王太子の誕生日は本当の俺の誕生日ではない。王族の公にされている生年月日は基本的にすべて嘘だ」
「どうしてですの?」
「正確な生まれ月と日が分かると闇魔法の呪術などに利用される可能性があるからな。俺の正確な誕生日は明日。つまり俺はまだ20歳を迎えてはいない」
フェリクスの話に焦れたようにユリアが言う。
「ですから、それが一体なんだって言うのです?」
「つまり俺の死の運命はまだ去ってはいない。今日がその最後の日だった。そしてその最後の日に、偽の王太子であるルークに薬を盛った人間がいる。それが君だ」
「薬って……そんなもの盛った覚えはありませんし、仮に盛っていたとしたって人を死なせるようなものではないでしょう。現にルークはこうして生きていますし……。一体さっきからなんのお話をしているのか……」
ユリアが話している途中で部屋のドアがノックされた。先ほどルークの血液を調べるよう持たせた王国の使者が検査結果を持って戻って来たらしい。検査結果を聞いた私はユリアに向かって言う。
「……ユリアちゃん、やっぱりあなた、ルークに媚薬を盛ったのね?」
「……なっ?! 媚薬だと?! 道理でおかしいと思った……!」
私の言葉を聞いたルークが小さく叫んだ。
「王室直属の薬師から報告があったわ。先ほど採取したルークの血液から多量のラブシーズの花粉の成分が検出されたって」
「そんなこと言われても私にはなんのことかさっぱりわかりませんわ」
ユリアの言葉にルークが言う。
「俺は昨日、家で取った朝食以外には君が淹れてくれた紅茶しか飲んでいない。もしなんらかの薬を飲まされたとすればあの紅茶しか考えられない」
「……で、ですけれど……」
「これがあなたが王太子殺害の容疑者である証拠よ」
「ですから……っ! 仮に私が何かの薬をルーク様に飲ませていたとしても、あくまでも検出されたのは媚薬のラブシーズの成分なのですわよね? そんなもので人が死ぬことは……!」
「あるのよ」
私は言った。
「フェリクスはラブシーズの花粉にアレルギーを持っているの。それもかなり危険なレベルの」
それはこの間、学園の教室でたまたま知った事実だった。
「え……?」
「もしルークがフェリクスと入れ替わっていなかったとして、媚薬を盛られたのがフェリクスだったとしたら、フェリクスは今頃アナフィラキシーショックを起こして死んでしまっていたことでしょうね」
「なっ……?!」
「アナフィラキシー……博学なユリアちゃんならもちろんご存知よね? アレルギー源に対する体の免疫反応が強すぎて死に至ってしまうことのある病態よ。検査してみたら、ルークは通常の媚薬に用いられる量の10倍の量のラブシーズを飲まされていたみたいね。もーうユリアちゃんったらやりすぎだわぁ」
ユリアは黙って私の言葉を聞いている。
「つまり予言者の言っていた『王太子を殺害する光の魔術師』というのはあなたのことだったということよ」
「な……な……、ま、待って! でも私はルーク様とフェリクスが入れ替わっていることも、フェリクスがラブシーズの花粉にアレルギーを持っていることも知らなかったわ!」
「それはそうでしょうけど……もしあなたが盛った媚薬で王太子が死亡してしまっていたらそんな言い逃れは通用しなかったであろうことくらい、あなたにだって分かるでしょう? ルークとフェリクスが入れ替わっていたことによって本物の王太子であるフェリクスは死を免れた。ユリアちゃん、そうなればあなたは王太子殺害の実行犯になってしまっていたところですのよ? あなたも命拾いしましたわねぇ、」
「本来なら先日の王太子即位のパレードに俺が正式に顔出しをして入れ替わりが終わる予定だった。国王もここまで俺の身に何も起こらなかったことに安堵していて、即位を数週間早まらせたところで問題はないだろうと楽観視していたからな。だが俺とルークの入れ替わりに気付いていたエマの助言で正確な誕生日まで即位を遅らせることにした。まさかそれによって本当にこうして命拾いすることになるとはな」
フェリクスがそう事の顛末を説明する。ユリアの思惑に気がついた私はルークとフェリクスの入れ替わり期間を延長させることをフェリクスに提案していたのだ。
ユリアの顔色が青ざめる。
「で、ですけれど、実際に私が媚薬を盛ったのはルークですし、結局はこうして何事も起こらず済んでいるわけですから……」
「あら、じゃあルークに媚薬を盛ったのは認めるのね?」
「み、認めるわけないじゃありませんの!」
「ならこのルークの血液を正式に調査機関に提出するしかなさそうねぇ。そうでなければ無理やりあなたと結婚させられてしまうルークが可哀想だもの。だけどそうなったらどんな大ごとになるか分かっているかしら? ユリアちゃん?」
「……っ」
「偽物とは言え王太子におかしな薬を盛ってしまったんですものねぇ。しかももし王太子が本物だったら死んでしまっていたはずの薬よ? なにか陰謀めいたものを疑われて拷問でもされてしまうかもしれないわねぇ」
ユリアは黙って聞いている。
「ルークに媚薬を盛って睦言を引き出したことをこの場で認めるのなら、すべてはこの場限りのことで納めてあげますわよ? だけどそれを拒否するのであれば……あなたもきっととことんまで調べ上げられることになるでしょうね」
「だ、だけど私は本当にフェリクスとの入れ替わりのこともフェリクスのアレルギーのことも本当に知らなかったのよ……!」
ユリアの言葉に私は慈愛の表情を浮かべて言う。
「それは可愛い可愛い妹のユリアちゃんの言うことですもの、私は信じますけれども……。果たして王国の調査官の方たちはどうかしらねぇ? ならどうしてルークに媚薬を盛ったのか? そのことからじっくりねっとり調べ上げられるかもしれませんわねぇ」
「……くぅぅぅっ」
ユリアが白目を剥いて獣のように唸った。……ちょっと怖いんですけど。ユリアは観念したのか絞り出すような声で答えた。
「わかりましたわ……。私がルークに媚薬を盛りました……! これでよろしくてっっっ?!」
「うふふ、わかってくれたのならそれでいいのよユリアちゃん。これに懲りたら、誰かれ構わず媚薬を盛るのはおやめになることね? 単なる媚薬ってユリアちゃんは思っているかもしれないですけれど、それによって命を落とすことだってあるんですのよ?」
ユリアは顔を真っ赤にして私を睨んでいた。
私の言葉にユリアは何を言っているのだろうという表情を浮かべる。
「……あのう、お姉さま? おっしゃっている意味が分かりかねますけれど」
ユリアが尋ねる。私の代わりにフェリクスが口を開いた。
「……まあ順に説明しよう。君は先ほど予言者の言葉は外れたと言っていたがそれは適切ではない」
「はあ」
「まず公にされている王太子の誕生日は本当の俺の誕生日ではない。王族の公にされている生年月日は基本的にすべて嘘だ」
「どうしてですの?」
「正確な生まれ月と日が分かると闇魔法の呪術などに利用される可能性があるからな。俺の正確な誕生日は明日。つまり俺はまだ20歳を迎えてはいない」
フェリクスの話に焦れたようにユリアが言う。
「ですから、それが一体なんだって言うのです?」
「つまり俺の死の運命はまだ去ってはいない。今日がその最後の日だった。そしてその最後の日に、偽の王太子であるルークに薬を盛った人間がいる。それが君だ」
「薬って……そんなもの盛った覚えはありませんし、仮に盛っていたとしたって人を死なせるようなものではないでしょう。現にルークはこうして生きていますし……。一体さっきからなんのお話をしているのか……」
ユリアが話している途中で部屋のドアがノックされた。先ほどルークの血液を調べるよう持たせた王国の使者が検査結果を持って戻って来たらしい。検査結果を聞いた私はユリアに向かって言う。
「……ユリアちゃん、やっぱりあなた、ルークに媚薬を盛ったのね?」
「……なっ?! 媚薬だと?! 道理でおかしいと思った……!」
私の言葉を聞いたルークが小さく叫んだ。
「王室直属の薬師から報告があったわ。先ほど採取したルークの血液から多量のラブシーズの花粉の成分が検出されたって」
「そんなこと言われても私にはなんのことかさっぱりわかりませんわ」
ユリアの言葉にルークが言う。
「俺は昨日、家で取った朝食以外には君が淹れてくれた紅茶しか飲んでいない。もしなんらかの薬を飲まされたとすればあの紅茶しか考えられない」
「……で、ですけれど……」
「これがあなたが王太子殺害の容疑者である証拠よ」
「ですから……っ! 仮に私が何かの薬をルーク様に飲ませていたとしても、あくまでも検出されたのは媚薬のラブシーズの成分なのですわよね? そんなもので人が死ぬことは……!」
「あるのよ」
私は言った。
「フェリクスはラブシーズの花粉にアレルギーを持っているの。それもかなり危険なレベルの」
それはこの間、学園の教室でたまたま知った事実だった。
「え……?」
「もしルークがフェリクスと入れ替わっていなかったとして、媚薬を盛られたのがフェリクスだったとしたら、フェリクスは今頃アナフィラキシーショックを起こして死んでしまっていたことでしょうね」
「なっ……?!」
「アナフィラキシー……博学なユリアちゃんならもちろんご存知よね? アレルギー源に対する体の免疫反応が強すぎて死に至ってしまうことのある病態よ。検査してみたら、ルークは通常の媚薬に用いられる量の10倍の量のラブシーズを飲まされていたみたいね。もーうユリアちゃんったらやりすぎだわぁ」
ユリアは黙って私の言葉を聞いている。
「つまり予言者の言っていた『王太子を殺害する光の魔術師』というのはあなたのことだったということよ」
「な……な……、ま、待って! でも私はルーク様とフェリクスが入れ替わっていることも、フェリクスがラブシーズの花粉にアレルギーを持っていることも知らなかったわ!」
「それはそうでしょうけど……もしあなたが盛った媚薬で王太子が死亡してしまっていたらそんな言い逃れは通用しなかったであろうことくらい、あなたにだって分かるでしょう? ルークとフェリクスが入れ替わっていたことによって本物の王太子であるフェリクスは死を免れた。ユリアちゃん、そうなればあなたは王太子殺害の実行犯になってしまっていたところですのよ? あなたも命拾いしましたわねぇ、」
「本来なら先日の王太子即位のパレードに俺が正式に顔出しをして入れ替わりが終わる予定だった。国王もここまで俺の身に何も起こらなかったことに安堵していて、即位を数週間早まらせたところで問題はないだろうと楽観視していたからな。だが俺とルークの入れ替わりに気付いていたエマの助言で正確な誕生日まで即位を遅らせることにした。まさかそれによって本当にこうして命拾いすることになるとはな」
フェリクスがそう事の顛末を説明する。ユリアの思惑に気がついた私はルークとフェリクスの入れ替わり期間を延長させることをフェリクスに提案していたのだ。
ユリアの顔色が青ざめる。
「で、ですけれど、実際に私が媚薬を盛ったのはルークですし、結局はこうして何事も起こらず済んでいるわけですから……」
「あら、じゃあルークに媚薬を盛ったのは認めるのね?」
「み、認めるわけないじゃありませんの!」
「ならこのルークの血液を正式に調査機関に提出するしかなさそうねぇ。そうでなければ無理やりあなたと結婚させられてしまうルークが可哀想だもの。だけどそうなったらどんな大ごとになるか分かっているかしら? ユリアちゃん?」
「……っ」
「偽物とは言え王太子におかしな薬を盛ってしまったんですものねぇ。しかももし王太子が本物だったら死んでしまっていたはずの薬よ? なにか陰謀めいたものを疑われて拷問でもされてしまうかもしれないわねぇ」
ユリアは黙って聞いている。
「ルークに媚薬を盛って睦言を引き出したことをこの場で認めるのなら、すべてはこの場限りのことで納めてあげますわよ? だけどそれを拒否するのであれば……あなたもきっととことんまで調べ上げられることになるでしょうね」
「だ、だけど私は本当にフェリクスとの入れ替わりのこともフェリクスのアレルギーのことも本当に知らなかったのよ……!」
ユリアの言葉に私は慈愛の表情を浮かべて言う。
「それは可愛い可愛い妹のユリアちゃんの言うことですもの、私は信じますけれども……。果たして王国の調査官の方たちはどうかしらねぇ? ならどうしてルークに媚薬を盛ったのか? そのことからじっくりねっとり調べ上げられるかもしれませんわねぇ」
「……くぅぅぅっ」
ユリアが白目を剥いて獣のように唸った。……ちょっと怖いんですけど。ユリアは観念したのか絞り出すような声で答えた。
「わかりましたわ……。私がルークに媚薬を盛りました……! これでよろしくてっっっ?!」
「うふふ、わかってくれたのならそれでいいのよユリアちゃん。これに懲りたら、誰かれ構わず媚薬を盛るのはおやめになることね? 単なる媚薬ってユリアちゃんは思っているかもしれないですけれど、それによって命を落とすことだってあるんですのよ?」
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