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卑劣
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「それでね、最近はテラリア大陸から輸入した豆をひいた新メニューのブレンドコーヒーを出していてそれがなかなか好評なのよ。テラリア語を勉強したおかげで現地の商人から安く豆を仕入れられているからそれで給金を多めにもらえているの」
「すごいものだな」
カフェに向かう道すがら、フェリクスは私の話を終始笑顔で聞いてくれる。
「もう少しで開業資金がたまりそうだから、学園を卒業したら姉妹店として自分のカフェを出す予定なの」
「本当か?!」
私は得意げに頷く。
「君のカフェができたら毎日でも通ってしまいそうだ」
フェリクスとこうして話をしているとなんだかすごく幸せで胸が温かくなってくる。こんな平和な日がずっと続けばいいと思っていた……のだけれど。
・
・
・
「ここにマリアベル・メイソンはいるか?!」
カフェで給仕のバイトをしていたら、突然数人の男が店に飛び込んできた。
そのうちの1人とすぐに目が合う。アルバートだった。
「ああ……マリアベル……! 会いたかったよ! どんなに君のことを探したことか!」
おぞましいアルバートの顔、そしてその声。思わず身震いしてしまう。
突然のことに事情が分からないという顔をしていた店主のロバートさんにアルバートはよそ行きの表情と声色で言う。
「マリアベル……いや、エマは私の婚約者でしてね、少し話をしに来たのですがちょっと彼女をお借りしてもよろしいですか?」
そう言って金貨を数枚握らせる。ロバートさんはすごくいい人だ。『本当なのか?』と問いかけるみたいに私に向かって伺うような表情を向けてきた。もちろん嘘だと言いたいけれどここで騒ぎを起こせばお客さんやロバートさんに迷惑をかけてしまう。
「いいわ、アルバート。こちらで少し話しましょう」
私はアルバートをカフェの休憩室へと案内する。2人の男もついてきた。
・
・
・
休憩室に入るなり2人の男に両脇から腕を掴まれた。
「さあマリアベル、こんなところは出て僕と屋敷へ来るんだ」
アルバートの口調が先ほどとは打って変わって冷たく尖っている。
「なっ、は、離して……!」
迂闊だった。私を無理やり連れて行くために男2人を連れてきたということらしい。
「大声を出すわよ?!」
カフェの店内とは薄い壁一枚を隔てているだけだ。今私が大声を上げればロバートさんが慌てて飛んでくるだろう。
「何を言っているんだ? 僕は君の婚約者だぞ?」
「それはお父様とあなたで勝手に決めたことでしょう?! 私は関係ない!」
「君の父上はこの婚約の交換条件として10万ティリルを僕の実家から借り入れている。まあどうやらその金もあっという間に使いきってしまったようだが……。もし君がこの結婚を受けれないのならば君の家は多額の借金を背負うことになるな?」
今度は金をつかった脅しとくるわけね。
「……私はもう父とは縁を切っているわ」
「僕に向かってそういう態度を取っていいと思っているのかい?」
アルバートは平然としている。
「そうだなぁ……もし君が僕の元に来ないというのであれば、仕方がないから代わりに君のとこの使用人のあのアリアとかいう女でも連れてくるかな。貧相な女ではあるけれどちょっとした暇つぶしにはなりそうだ」
アリアの名前がアルバートの口から出てきたことで私は思わず声を上げる。
「なんですって……?!」
アルバートがどんなつもりでアリアを連れていこうと言っているのかは容易に想像ができた。もちろん性的な慰みものにしようというのだ。
「そんなこと!」
「許さないって? 一体どんな了見で?」
「……っ」
「君にそんな力があると思っているのかい?」
メイソン家の使用人であるアリアは身柄を父上に引き受けられている以上、父上が命令すればアルバートの元で働かなければならない。それを止めることは今の私にはできない。
「マリアベル、本当に君という女は貴族社会のなんたるかがわかっていないようだな?」
ぐいと顎を掴まれて顔をアルバートに向けさせられる。屈辱と怒りで体が焼けるようだ。
「連れ帰ってたっぷり教えこんでやる必要が……」
その時背後からひときわ大きな声が聞こえた。
「そこの御人、なんでも貴族社会のなんたるかを教えてもらえるそうだな?」
思わず振り返るとドアの前に氷のように冷たい目をしたフェリクスが立っていた。
「……お前はマリアベルの……」
アルバートが憎々し気にフェリクスを見る。
「? 俺のことを知っているのか?」
「学園でマリアベルにベタベタしていただろう?」
「なんだ覗き見か? とことん趣味の悪い男だな貴様は」
フェリクスの言葉にアルバートが怒りをあらわにする。
「お前がどこの貴族の家の息子か知らないがそんな態度を取っていると後々後悔することになるぞ?」
「ほう、それはなぜかな?」
「僕はあの王国御三家メリック家の長男であるアルバート・メリックさ。僕の顔も知らないということは、どうせ君は社交界にも顔を出せない下級貴族の家のものなのだろう?」
アルバートの言葉に小さく噴き出した後でフェリクスが答える。
「たしかに社交界にはあまり顔を出していなかったな」
「そうだろう? 今の王国でメリック家ほどの財力と権力を持っている家があると思うか? 貴族社会では金と力が物を言うんだよ。お前がいくらマリアベルを好いていようが無駄ってことさ」
アルバートの言葉に堪えきれないといった様子でフェリクスが笑いだす。そんなフェリクスをアルバートが気味の悪いものを見るように見ている。笑いがおさまるとフェリクスは再び静かな怒りを浮かべて瞳をアルバートに向けて言った。
「反吐が出る」
「は?」
「反吐が出ると言ったんだよ」
突然のフェリクスの迫力にアルバートはたじろいでいる。
「貴様のような権力と財力をかさに着て腐りきった貴族にはうんざりだな」
「なっ……?!」
「さ、ありがたい貴族社会についてのご高説はこれで終わりか? なら俺の許嫁からその汚い手を離してとっとと出て行ってもらえないか、メリック家の跡取り息子殿?」
「……ふ、ふざけるな、お前は一体……?!」
「俺は王太子のルーク・フォン・シャンドラーだが」
「は?」
フェリクスの返答にアルバートはぽかんと口を開けてまぬけな表情を浮かべた。
「すごいものだな」
カフェに向かう道すがら、フェリクスは私の話を終始笑顔で聞いてくれる。
「もう少しで開業資金がたまりそうだから、学園を卒業したら姉妹店として自分のカフェを出す予定なの」
「本当か?!」
私は得意げに頷く。
「君のカフェができたら毎日でも通ってしまいそうだ」
フェリクスとこうして話をしているとなんだかすごく幸せで胸が温かくなってくる。こんな平和な日がずっと続けばいいと思っていた……のだけれど。
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「ここにマリアベル・メイソンはいるか?!」
カフェで給仕のバイトをしていたら、突然数人の男が店に飛び込んできた。
そのうちの1人とすぐに目が合う。アルバートだった。
「ああ……マリアベル……! 会いたかったよ! どんなに君のことを探したことか!」
おぞましいアルバートの顔、そしてその声。思わず身震いしてしまう。
突然のことに事情が分からないという顔をしていた店主のロバートさんにアルバートはよそ行きの表情と声色で言う。
「マリアベル……いや、エマは私の婚約者でしてね、少し話をしに来たのですがちょっと彼女をお借りしてもよろしいですか?」
そう言って金貨を数枚握らせる。ロバートさんはすごくいい人だ。『本当なのか?』と問いかけるみたいに私に向かって伺うような表情を向けてきた。もちろん嘘だと言いたいけれどここで騒ぎを起こせばお客さんやロバートさんに迷惑をかけてしまう。
「いいわ、アルバート。こちらで少し話しましょう」
私はアルバートをカフェの休憩室へと案内する。2人の男もついてきた。
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休憩室に入るなり2人の男に両脇から腕を掴まれた。
「さあマリアベル、こんなところは出て僕と屋敷へ来るんだ」
アルバートの口調が先ほどとは打って変わって冷たく尖っている。
「なっ、は、離して……!」
迂闊だった。私を無理やり連れて行くために男2人を連れてきたということらしい。
「大声を出すわよ?!」
カフェの店内とは薄い壁一枚を隔てているだけだ。今私が大声を上げればロバートさんが慌てて飛んでくるだろう。
「何を言っているんだ? 僕は君の婚約者だぞ?」
「それはお父様とあなたで勝手に決めたことでしょう?! 私は関係ない!」
「君の父上はこの婚約の交換条件として10万ティリルを僕の実家から借り入れている。まあどうやらその金もあっという間に使いきってしまったようだが……。もし君がこの結婚を受けれないのならば君の家は多額の借金を背負うことになるな?」
今度は金をつかった脅しとくるわけね。
「……私はもう父とは縁を切っているわ」
「僕に向かってそういう態度を取っていいと思っているのかい?」
アルバートは平然としている。
「そうだなぁ……もし君が僕の元に来ないというのであれば、仕方がないから代わりに君のとこの使用人のあのアリアとかいう女でも連れてくるかな。貧相な女ではあるけれどちょっとした暇つぶしにはなりそうだ」
アリアの名前がアルバートの口から出てきたことで私は思わず声を上げる。
「なんですって……?!」
アルバートがどんなつもりでアリアを連れていこうと言っているのかは容易に想像ができた。もちろん性的な慰みものにしようというのだ。
「そんなこと!」
「許さないって? 一体どんな了見で?」
「……っ」
「君にそんな力があると思っているのかい?」
メイソン家の使用人であるアリアは身柄を父上に引き受けられている以上、父上が命令すればアルバートの元で働かなければならない。それを止めることは今の私にはできない。
「マリアベル、本当に君という女は貴族社会のなんたるかがわかっていないようだな?」
ぐいと顎を掴まれて顔をアルバートに向けさせられる。屈辱と怒りで体が焼けるようだ。
「連れ帰ってたっぷり教えこんでやる必要が……」
その時背後からひときわ大きな声が聞こえた。
「そこの御人、なんでも貴族社会のなんたるかを教えてもらえるそうだな?」
思わず振り返るとドアの前に氷のように冷たい目をしたフェリクスが立っていた。
「……お前はマリアベルの……」
アルバートが憎々し気にフェリクスを見る。
「? 俺のことを知っているのか?」
「学園でマリアベルにベタベタしていただろう?」
「なんだ覗き見か? とことん趣味の悪い男だな貴様は」
フェリクスの言葉にアルバートが怒りをあらわにする。
「お前がどこの貴族の家の息子か知らないがそんな態度を取っていると後々後悔することになるぞ?」
「ほう、それはなぜかな?」
「僕はあの王国御三家メリック家の長男であるアルバート・メリックさ。僕の顔も知らないということは、どうせ君は社交界にも顔を出せない下級貴族の家のものなのだろう?」
アルバートの言葉に小さく噴き出した後でフェリクスが答える。
「たしかに社交界にはあまり顔を出していなかったな」
「そうだろう? 今の王国でメリック家ほどの財力と権力を持っている家があると思うか? 貴族社会では金と力が物を言うんだよ。お前がいくらマリアベルを好いていようが無駄ってことさ」
アルバートの言葉に堪えきれないといった様子でフェリクスが笑いだす。そんなフェリクスをアルバートが気味の悪いものを見るように見ている。笑いがおさまるとフェリクスは再び静かな怒りを浮かべて瞳をアルバートに向けて言った。
「反吐が出る」
「は?」
「反吐が出ると言ったんだよ」
突然のフェリクスの迫力にアルバートはたじろいでいる。
「貴様のような権力と財力をかさに着て腐りきった貴族にはうんざりだな」
「なっ……?!」
「さ、ありがたい貴族社会についてのご高説はこれで終わりか? なら俺の許嫁からその汚い手を離してとっとと出て行ってもらえないか、メリック家の跡取り息子殿?」
「……ふ、ふざけるな、お前は一体……?!」
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フェリクスの返答にアルバートはぽかんと口を開けてまぬけな表情を浮かべた。
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