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幕間
とある隣国皇女の推し(後)
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まずはヒロイン。
ユウカ・カワード男爵令嬢という名がもうすでにスミキミのデフォルト名ではない。つまりユウカという名前の日本人が転生していると考えていいだろう。
まぁ、自分だけが転生者だなんて思っていなかったし、他にも私のように主要キャラ以外にいるかもしれない。とにかく気にすべきは、ヒロインが誰ルートに進むか。セレストならば……徹底的に邪魔をする。それだけ。
ヒロインは今のところゲームに忠実に過ごしている。というかカワード男爵家には何かを興す財力すら無くて動けないだけかもしれない。でももしかすると、ゲーム通りに動きたいという思惑があるのかもしれない。だって、余計なことをしてルートから外れるのなんて馬鹿らしいものね。
バッドエンドの無いゲームのヒロインに転生したのだから。
次に転生者ではないかと疑っているのが、悪役令嬢アドリアーナ・スタングロム侯爵令嬢だ。
ゲームでは侯爵夫人からの虐待を受け、実の両親や姉兄からも、使用人からですらも愛されなかった不遇な令嬢だった。侯爵夫人に歪められた価値観のせいで、どのルートでもヒロインを虐める悪役令嬢になる。
しかし、今のアドリアーナは違う。侯爵夫人は領地で蟄居させられており、家族仲も良好。ゲームでの姉の嫁ぎ先は知らないけど、少なくとも第二王子では無かったはずだった。そのことについてセレストに聞いてみると、アドリアーナの働きかけがあったようだと言っていた。
アドリアーナが第二王子の婚約者に姉を推した。そのことが意味するのは、セレストの婚約者になるのを避けたということ。つまり、破滅回避のために動いている。
でもセレスト狙いでないのなら、手を組むことを考えてもいいのではないかと思う。
なぜなら、ゲームではセレストの婚約者はアドリアーナで、悪役令嬢だった。そのストーリーを私が捻じ曲げて、私がセレストの婚約者になった。
悪役令嬢(皇女だけど)は、私になるのかもしれない。でもヒロインが転生者で、ゲームに忠実なら、アドリアーナを悪役に仕立て上げるくらいはするかもしれない。
一度、アドリアーナと話してみるべきだろう。
そして、攻略対象者達。
メインヒーローのセレストは、私の婚約者になったことがゲームと違う点だ。でもゲームと同じように子供の頃にヒロインと出会って初恋をしたという点は変わらないのだろう。スミレが咲くたび、スミレ色の瞳をしたヒロインを想うのだ。そういう素振りがあったことは確認している。
ウィリアム・ノヴァック公爵令息は、攻略対象の中で最もゲームから遠いキャラになったようだ。
ゲームでは、剣術なんて嫌いなのに騎士を目指していて、そして在学中に兄が失踪してしまい次期公爵や次期騎士団長という立場にまでなってしまう。
剣術は嫌いでも才能が無いわけではなく、だけど飛び抜けた才能のあった兄と比べられることにプレッシャーを感じて失踪した兄を恨んでみたり……といった葛藤を抱える心をヒロインに救われて、立派な騎士になっていくというキャラである。
しかし、もうすでに剣術を辞めている。しかもどうやら失踪するはずの兄とアドリアーナが婚約する予定だということを、公爵夫人が自ら触れ回るほど良好な関係らしい。
もしヒロインがウィリアムルートを望んだ場合どうなるの? と不思議なほどである。
ルーカス・フォスター侯爵令息は、ウェッブ商団の次期商団主である。大筋では特にゲームから外れた動きはしていないが、アドリアーナとウィリアムの幼馴染みという一点においてはもう全く違う。
アドリアーナもウィリアムもルーカスも、ゲームでは入学してから、というかヒロインとの関係が進んでから対立する形で出会うはずであって、幼馴染みとかいう仲良しこよし三人組を形成してしまってはこれまたルーカスルートどうなる? という感じなのだ。
貴族でありながら平民の暮らしをよくしていき、お互いに良い生活をしていくのを理想としているルーカスは、平民を搾取しながら暮らす多くの貴族をよく思っていない。逆にそういった貴族からウェッブ商団がよく思われていない。
平民を大事にしたいという理想と、ウェッブ商団をさらに大きくしたいという野望を叶えるために貴族に阿る現実の狭間で揺れるマーカスを受け入れ支えるのがヒロインだ。
でもなんだかそういうのはもうアドリアーナやウィリアムがクリアしてしまっていそうな気がする。なぜなら両家門は平民を大事にして且つ栄えている古参貴族だから。フォスター侯爵家のような成り上がり貴族がノヴァック公爵家とスタングロム侯爵家との結び付きを持った時点で、他の貴族からウェッブ商団が軽んじられることはないだろう。
本当に、ルーカスルートどうなるの?
ジェイデン・シュナイプ伯爵令息は、学校きってのプレイボーイな先輩で、攻略期間が一年しかないため少し攻略が難しい。ジェイデンの卒業パーティーでパートナーになれなければノーマルエンドだ。ハッピーエンドを迎えるためには一年で好感度を上げなければならない。そのためにはまず学力。そして魅力。このステータスは必須である。現実でのステータス値ってどういう判定なのか分からないけれど、学力に関しては入学までに上げておくことは十分に可能だろうし、ヒロインはやっていると思う。カワード男爵家にどこまで教育に掛けられるお金があるのかと言えばほぼ無いのだろうが。
ジェイデンに関しては、ゲームから外れている所は見受けられなかったけれど、アドリアーナの家庭教師にシュナイプ伯爵夫人がなっているから何らかの相違点はあるでしょう。
ゲームであればアドリアーナは威張り散らすだけで頭は悪く、やることなす事爪が甘いのだ。それがシュナイプ伯爵夫人が家庭教師を務めて、ノヴァック公爵夫人が義娘だと茶会へ連れて行き、すでに社交界で才女と知られ始めているとか。
全体的に見て……アドリアーナ、お前やってんな!? って感じよね。まぁメインヒーローの婚約者ポジを奪い取っている私には言われたくないでしょうけれど。
さぁ、入学まであと少し。
準備は怠らないようにしなくっちゃ。
ユウカ・カワード男爵令嬢という名がもうすでにスミキミのデフォルト名ではない。つまりユウカという名前の日本人が転生していると考えていいだろう。
まぁ、自分だけが転生者だなんて思っていなかったし、他にも私のように主要キャラ以外にいるかもしれない。とにかく気にすべきは、ヒロインが誰ルートに進むか。セレストならば……徹底的に邪魔をする。それだけ。
ヒロインは今のところゲームに忠実に過ごしている。というかカワード男爵家には何かを興す財力すら無くて動けないだけかもしれない。でももしかすると、ゲーム通りに動きたいという思惑があるのかもしれない。だって、余計なことをしてルートから外れるのなんて馬鹿らしいものね。
バッドエンドの無いゲームのヒロインに転生したのだから。
次に転生者ではないかと疑っているのが、悪役令嬢アドリアーナ・スタングロム侯爵令嬢だ。
ゲームでは侯爵夫人からの虐待を受け、実の両親や姉兄からも、使用人からですらも愛されなかった不遇な令嬢だった。侯爵夫人に歪められた価値観のせいで、どのルートでもヒロインを虐める悪役令嬢になる。
しかし、今のアドリアーナは違う。侯爵夫人は領地で蟄居させられており、家族仲も良好。ゲームでの姉の嫁ぎ先は知らないけど、少なくとも第二王子では無かったはずだった。そのことについてセレストに聞いてみると、アドリアーナの働きかけがあったようだと言っていた。
アドリアーナが第二王子の婚約者に姉を推した。そのことが意味するのは、セレストの婚約者になるのを避けたということ。つまり、破滅回避のために動いている。
でもセレスト狙いでないのなら、手を組むことを考えてもいいのではないかと思う。
なぜなら、ゲームではセレストの婚約者はアドリアーナで、悪役令嬢だった。そのストーリーを私が捻じ曲げて、私がセレストの婚約者になった。
悪役令嬢(皇女だけど)は、私になるのかもしれない。でもヒロインが転生者で、ゲームに忠実なら、アドリアーナを悪役に仕立て上げるくらいはするかもしれない。
一度、アドリアーナと話してみるべきだろう。
そして、攻略対象者達。
メインヒーローのセレストは、私の婚約者になったことがゲームと違う点だ。でもゲームと同じように子供の頃にヒロインと出会って初恋をしたという点は変わらないのだろう。スミレが咲くたび、スミレ色の瞳をしたヒロインを想うのだ。そういう素振りがあったことは確認している。
ウィリアム・ノヴァック公爵令息は、攻略対象の中で最もゲームから遠いキャラになったようだ。
ゲームでは、剣術なんて嫌いなのに騎士を目指していて、そして在学中に兄が失踪してしまい次期公爵や次期騎士団長という立場にまでなってしまう。
剣術は嫌いでも才能が無いわけではなく、だけど飛び抜けた才能のあった兄と比べられることにプレッシャーを感じて失踪した兄を恨んでみたり……といった葛藤を抱える心をヒロインに救われて、立派な騎士になっていくというキャラである。
しかし、もうすでに剣術を辞めている。しかもどうやら失踪するはずの兄とアドリアーナが婚約する予定だということを、公爵夫人が自ら触れ回るほど良好な関係らしい。
もしヒロインがウィリアムルートを望んだ場合どうなるの? と不思議なほどである。
ルーカス・フォスター侯爵令息は、ウェッブ商団の次期商団主である。大筋では特にゲームから外れた動きはしていないが、アドリアーナとウィリアムの幼馴染みという一点においてはもう全く違う。
アドリアーナもウィリアムもルーカスも、ゲームでは入学してから、というかヒロインとの関係が進んでから対立する形で出会うはずであって、幼馴染みとかいう仲良しこよし三人組を形成してしまってはこれまたルーカスルートどうなる? という感じなのだ。
貴族でありながら平民の暮らしをよくしていき、お互いに良い生活をしていくのを理想としているルーカスは、平民を搾取しながら暮らす多くの貴族をよく思っていない。逆にそういった貴族からウェッブ商団がよく思われていない。
平民を大事にしたいという理想と、ウェッブ商団をさらに大きくしたいという野望を叶えるために貴族に阿る現実の狭間で揺れるマーカスを受け入れ支えるのがヒロインだ。
でもなんだかそういうのはもうアドリアーナやウィリアムがクリアしてしまっていそうな気がする。なぜなら両家門は平民を大事にして且つ栄えている古参貴族だから。フォスター侯爵家のような成り上がり貴族がノヴァック公爵家とスタングロム侯爵家との結び付きを持った時点で、他の貴族からウェッブ商団が軽んじられることはないだろう。
本当に、ルーカスルートどうなるの?
ジェイデン・シュナイプ伯爵令息は、学校きってのプレイボーイな先輩で、攻略期間が一年しかないため少し攻略が難しい。ジェイデンの卒業パーティーでパートナーになれなければノーマルエンドだ。ハッピーエンドを迎えるためには一年で好感度を上げなければならない。そのためにはまず学力。そして魅力。このステータスは必須である。現実でのステータス値ってどういう判定なのか分からないけれど、学力に関しては入学までに上げておくことは十分に可能だろうし、ヒロインはやっていると思う。カワード男爵家にどこまで教育に掛けられるお金があるのかと言えばほぼ無いのだろうが。
ジェイデンに関しては、ゲームから外れている所は見受けられなかったけれど、アドリアーナの家庭教師にシュナイプ伯爵夫人がなっているから何らかの相違点はあるでしょう。
ゲームであればアドリアーナは威張り散らすだけで頭は悪く、やることなす事爪が甘いのだ。それがシュナイプ伯爵夫人が家庭教師を務めて、ノヴァック公爵夫人が義娘だと茶会へ連れて行き、すでに社交界で才女と知られ始めているとか。
全体的に見て……アドリアーナ、お前やってんな!? って感じよね。まぁメインヒーローの婚約者ポジを奪い取っている私には言われたくないでしょうけれど。
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準備は怠らないようにしなくっちゃ。
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