愛が重い!がデフォルトの世界で、僕は愛を知る

めっちゃ抹茶

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序章

異世界に転生しました 02

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「っぷはぁ!」
そんなことを思い出した僕は、現状を考える間もなく背中をトントンされ「げぷっぅ」と可愛らしい声を上げた。
「うん、よく飲んだねぇ。よっぽどお腹減ってたんだね。お腹は満たされたかい?」

慈愛に満ちた声に顔をあげれば、そこには少し癖がある明るい茶髪と蜂蜜色の瞳をした儚げな美青年がいた。
優しく微笑む瞳には愛情が溢れんばかりに見え、男性だということも忘れ、この人が僕の母親なのだと自然に理解した。
そうなると先程の金髪碧眼マッチョイケメンは僕の父親なのか。

いや!両親めっちゃ美形!!
こんなに整った顔立ちの人見たことないよ!
元日本人の僕からしたら顔立ちがはっきりとしていて少し濃いと感じるけど、そんな事どうでもよくなるくらい綺麗でかっこいいっ!!

僕はそのまま暫く見惚れてた。親の顔だってことも忘れて。ぽかんと口を開けてだらしなく見惚れてた。
「あらら、止まっちゃった。ふふ、表情豊かだね俺達の子は」
「ははっ、そうだな。美味そうにおっぱい飲み始めたかと思えば絶望的な顔をして、そんで直ぐにアホづら晒して。怒った顔をしたと思ったら満足そうにおっぱい離したからなぁ」

ひどい!そんな顔してないよ!

「ほら、今もぷっくり頬を膨らませて怒ってやがる。くくっ」
喉を震わせて笑うイケメンと優しく微笑む母親を見ていたら怒りなんて何処かに吹き飛んでしまった。

満腹になると瞼がとろりと落ちてくる。うとうとし始めた僕を、大きな温かい手であやしてくれる。安心出来る温もりに、張り詰めていた心が満たされた気がした。

「おやすみ」「よく寝て大きく育てよ」

あぁ、こんなにも仲の良い温かい両親の元に生まれることができて幸せだと、僕は心の底から思った。

それからひと月が過ぎ、何となくこの世界について分かってきた。そして心の整理もついた。
前世に未練はない。ならば、この世界で楽しくスローライフを送るのみだ。
まあ、受け入れるのに少し時間がかかったけど…

この世界には魔力がある。ファンタジー世界だ。
魔力は魔術を発動する時や魔道具と呼ばれる魔術式が組み込まれた道具を使う際に必要になる。
魔道具は前世で言うところの電球やコンロなどの家電だ。魔力を流すと魔術式が展開され、それに応じた効果が現れる。
他にも魔術の威力を上げる装備するタイプの魔道具や電動~と名がつく魔道具もある。
魔術式が組み込めて、問題なく発動出来るなら何でもありなんだろう。

そして魔力は七属性に分類される。
火・水・風・土・雷・光・闇
人によって保持している魔力の属性が違う。遺伝によって決まる事が多いらしい。
雷属性は珍しく、光と闇属性を持つ者はごく少数だ。
光属性は唯一、傷や病気を癒す魔術が使える。その希少性故に心のない権力者や野蛮な人達から狙われる。身の安全を確保できない状態で光属性だと公言するのは自殺行為だ。
闇属性は偏見を持たれ、悪だとして忌避されている。魔術を発動する際、その方法が他属性とは一線を介していているのも原因の一つだ。その為光属性と同じで秘匿すべき属性だと言われている。

属性は瞳の色に現れる。火なら赤色、水なら青色のように。
殆どの人が単属性持ちで、稀に二属性持ちが生まれることがあるのだとか。
人によって保持している魔力量も違う。αとΩは魔力量が多いがβはかなり少ない。
個体の差はあまりなく、あったとしても誤差とも言える範囲らしい。


ここまでは難なく理解出来た。
前世ではかなりのゲーム好きだったから。
だが、自称愛の女神の趣味が詰まっているらしい部分の理解と受け入れに時間を要してしまった。

だって!だって!女神様の趣味が腐ってたんだ!
世界の人口約8割が男ってありえる!?
女性2割しかいないよぉぉ!?
しかも第二の性があって、それがαとβとΩだよ!オメガバースじゃん!
う~ん…まぁ、前世の姉の影響で男同士だとか、男も妊娠できるだとか、腐の方面に抵抗はないんだけどね。
それでも性自認は異性だったと記憶しているから、見渡す限りに同性カップルがわんさかいるのを見ると流石に気が滅入ってしまったんだ。

僕、この世界で生きていけるのだろうかってね。
何だろう、…っ!うぅぅ…寒気がしてきた。誰かに狙われてるのかなぁ…

………ナニを?
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