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序章
異世界に転生しました 01
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近くで赤子の泣く声がする。
ずっと泣き続けて泣き止む気配がない。
……親か誰か近くにいないのかな。
流石に心配になって周りを見渡し親を探す。
重たい頭を動かすと金髪碧眼のイケメンが目に入ってきた。
明らかに日本人ではないが、彼が赤子の親かと思い一先ず声をかけてみる。
「ぉぎゃぁぁああ!!」
思うように声が出せず、赤子の声が更に大きくなった。
あぁ、最近ずっと体調を崩していたから思うように身体が動かないのか。ほぼ徹夜と同じ状態だったからなぁ…。はぁ……これで明日も仕事休めないとか地獄だよ…
お腹から声が出るようグッと腹に力を入れ、再度声をかけようとした瞬間、ふいに身体が浮かんだ。
…え、ぁ…浮いてる?いや、誰かに支えられてる。
「お!起きたか?ほーれ、父さんだぞ」
金髪碧眼イケメンが僕を見て「父さん」と言っている。
「ん、お腹が減ったのか?ずっと泣いてるな。そろそろ泣き止まないと母さんが心配するぞ?」
僕を見て「泣き止め」と言う。
……?意味がわからない。僕の父親は日本人のはず。それに僕は泣いていないぞ?
わけがわからなさすぎて思考が止まったその時、また僕の身体が浮いた。そしてふわりとミルクの匂いが鼻をつく。
ぐぅぅぅ。空腹感が込み上げてきてお腹が鳴った。
何故だか無性にミルクが飲みたくなり、その甘い、ふわりとした優しい匂いに誘われるかのように無意識に匂いの元に口をつける。
んく、んく、っん、っごくん。
口の中に甘くて美味しいミルクの味が広がる。
口元からちゅぱちゅぱと水音が響く。
その音にも構う事なく、僕はミルクを飲み続けた。
そう、今僕はミルクを飲んでいる。赤ちゃんになって。
条件反射のようにミルクを吸い上げながら自分の身に起こった出来事を整理する。
今、僕は赤ちゃんだ。赤ちゃん返りではない、正真正銘の赤子。
それもそのはず。
前の僕は過労で倒れてそのまま亡くなり、自称愛の女神によってこの世界に転生したからだ。
ブラックもブラックの真っ黒な会社で社畜として働いていた僕は毎日碌に睡眠や食事も取れず、体は既に悲鳴をあげていて、帰宅途中その場に倒れ込むようにして意識を失った。
次に目が覚めた時は真っ白な不思議な空間にふわふわと漂っていた。
漠然と過労で倒れて死んだことを理解した。
そりゃあ倒れるよ…病院に担がれたことなんて一度や二度じゃない。医師にも退職を何度も薦められた。それでも上の圧が掛かり仕事を辞められず、6年もの間働いた。逆によくここまで持ったもんだと自分を褒めたいくらい。
ぷかぷかと浮かんだまま、このまま天国まで逝くのかなー、なんて思っていたらピンク色の髪をふわりと漂わせながら綺麗な顔に笑みを浮かべたお姉さんが目の前に現れた。
「ハアーイ!初めましてね、可愛い坊や♡
あらぁ?あまり驚かないのね。せっかくだから驚かせようと思ったのにぃ。ぷぅ。まぁいいわ」
「あの…もしかしなくても神様ですか?」
「えぇ、そうよ!そのとおり!
あ、でもそんじょそこらの老いぼれ神とは違って、私は愛の女神だけどね♡」
綺麗な顔をして少し口が悪い自称愛の女神様は、何故僕がここに来たのか、今後どうするのかを説明してくれた。
女神様は、社会の闇に呑まれ疲れ果て、愛の「あ」の字もなかった僕に、次は楽しく生きて欲しいと言う。
所謂、転生というやつだ。
しかし、女神様の力が及ぶのはどうやら自分が収める世界だけらしい。どうやら女神様が収めているのは地球ではないようで、僕の転生先はそこしかないと言う。
転生しないのであれば僕の魂は天界へと召し上げられ、浄化されたのち消えるという。
「どうする?異世界転生してみる?」
問われた僕は間を置かずに「お願いします」と答えた。
転生を希望する理由は簡単。
疲れ果てたまま終わるのは僕の人生と同じで惨めだからだ。
天界に逝けば安らかに眠れるだろう。だが、それでも、惨めなまま終わるのはなけなしのプライドが許せない。
人間に転生するよう取り計らって貰えるようなので来世こそ、楽しくスローライフを送れるように頑張りたい。
そう意気込み、ゆっくり僕の意識は落ちてゆく。
意識を保つのがやっとのところで女神様が口を開いた。
「あ!そうそう、私の世界は私の趣味が詰まってるの!だからね、貴方が思う愛や恋とはちょっと違うかもだけど、問題はないから安心してね♡
ふふふ、男の子がいっぱいってだけだから♡」
愛の女神様って腐女子だったのかぁぁあああ!
最後の最後に女神様は爆弾を落としていった。
ずっと泣き続けて泣き止む気配がない。
……親か誰か近くにいないのかな。
流石に心配になって周りを見渡し親を探す。
重たい頭を動かすと金髪碧眼のイケメンが目に入ってきた。
明らかに日本人ではないが、彼が赤子の親かと思い一先ず声をかけてみる。
「ぉぎゃぁぁああ!!」
思うように声が出せず、赤子の声が更に大きくなった。
あぁ、最近ずっと体調を崩していたから思うように身体が動かないのか。ほぼ徹夜と同じ状態だったからなぁ…。はぁ……これで明日も仕事休めないとか地獄だよ…
お腹から声が出るようグッと腹に力を入れ、再度声をかけようとした瞬間、ふいに身体が浮かんだ。
…え、ぁ…浮いてる?いや、誰かに支えられてる。
「お!起きたか?ほーれ、父さんだぞ」
金髪碧眼イケメンが僕を見て「父さん」と言っている。
「ん、お腹が減ったのか?ずっと泣いてるな。そろそろ泣き止まないと母さんが心配するぞ?」
僕を見て「泣き止め」と言う。
……?意味がわからない。僕の父親は日本人のはず。それに僕は泣いていないぞ?
わけがわからなさすぎて思考が止まったその時、また僕の身体が浮いた。そしてふわりとミルクの匂いが鼻をつく。
ぐぅぅぅ。空腹感が込み上げてきてお腹が鳴った。
何故だか無性にミルクが飲みたくなり、その甘い、ふわりとした優しい匂いに誘われるかのように無意識に匂いの元に口をつける。
んく、んく、っん、っごくん。
口の中に甘くて美味しいミルクの味が広がる。
口元からちゅぱちゅぱと水音が響く。
その音にも構う事なく、僕はミルクを飲み続けた。
そう、今僕はミルクを飲んでいる。赤ちゃんになって。
条件反射のようにミルクを吸い上げながら自分の身に起こった出来事を整理する。
今、僕は赤ちゃんだ。赤ちゃん返りではない、正真正銘の赤子。
それもそのはず。
前の僕は過労で倒れてそのまま亡くなり、自称愛の女神によってこの世界に転生したからだ。
ブラックもブラックの真っ黒な会社で社畜として働いていた僕は毎日碌に睡眠や食事も取れず、体は既に悲鳴をあげていて、帰宅途中その場に倒れ込むようにして意識を失った。
次に目が覚めた時は真っ白な不思議な空間にふわふわと漂っていた。
漠然と過労で倒れて死んだことを理解した。
そりゃあ倒れるよ…病院に担がれたことなんて一度や二度じゃない。医師にも退職を何度も薦められた。それでも上の圧が掛かり仕事を辞められず、6年もの間働いた。逆によくここまで持ったもんだと自分を褒めたいくらい。
ぷかぷかと浮かんだまま、このまま天国まで逝くのかなー、なんて思っていたらピンク色の髪をふわりと漂わせながら綺麗な顔に笑みを浮かべたお姉さんが目の前に現れた。
「ハアーイ!初めましてね、可愛い坊や♡
あらぁ?あまり驚かないのね。せっかくだから驚かせようと思ったのにぃ。ぷぅ。まぁいいわ」
「あの…もしかしなくても神様ですか?」
「えぇ、そうよ!そのとおり!
あ、でもそんじょそこらの老いぼれ神とは違って、私は愛の女神だけどね♡」
綺麗な顔をして少し口が悪い自称愛の女神様は、何故僕がここに来たのか、今後どうするのかを説明してくれた。
女神様は、社会の闇に呑まれ疲れ果て、愛の「あ」の字もなかった僕に、次は楽しく生きて欲しいと言う。
所謂、転生というやつだ。
しかし、女神様の力が及ぶのはどうやら自分が収める世界だけらしい。どうやら女神様が収めているのは地球ではないようで、僕の転生先はそこしかないと言う。
転生しないのであれば僕の魂は天界へと召し上げられ、浄化されたのち消えるという。
「どうする?異世界転生してみる?」
問われた僕は間を置かずに「お願いします」と答えた。
転生を希望する理由は簡単。
疲れ果てたまま終わるのは僕の人生と同じで惨めだからだ。
天界に逝けば安らかに眠れるだろう。だが、それでも、惨めなまま終わるのはなけなしのプライドが許せない。
人間に転生するよう取り計らって貰えるようなので来世こそ、楽しくスローライフを送れるように頑張りたい。
そう意気込み、ゆっくり僕の意識は落ちてゆく。
意識を保つのがやっとのところで女神様が口を開いた。
「あ!そうそう、私の世界は私の趣味が詰まってるの!だからね、貴方が思う愛や恋とはちょっと違うかもだけど、問題はないから安心してね♡
ふふふ、男の子がいっぱいってだけだから♡」
愛の女神様って腐女子だったのかぁぁあああ!
最後の最後に女神様は爆弾を落としていった。
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