皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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第1章

14話

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 朝食を取ったらベッドで読書。
 最近の私のルーティーンです。
 誰が要れているのかは分からないですが、魔王が持って来てくれる本にはとても勉強になる本が紛れ込んでいます。
 現在私はその本に夢中です。
 魔国の事が色々書いてあるのでとても勉強になります。
 それと魔王に飽きられない様にする努力の方法も載ってます。
 誰か分かりませんがこの本をチョイスしてくれている方有難うございます。

 【ゲート】が開きました。

 もう魔王が来る時間なのですね。
 本を読みふけっていると時間が経つのが速い気がします。
 読んでいた本をベッドマットの下に隠します。
 枕の下ではすぐに見られてしまいますからね。

 さて今日の魔王の作ってくれたお菓子は何でしょう?
 考えるだけで口の中に涎が溜まりそうです。
 
「こ~んに~ちは!魔王の代理がやって来たで~♫」

 【ゲートを】くぐって来たのは12,3歳の物凄い美少年でした。

「え、あの…魔王は?」

「ごめんやで~リコリスちゃん。魔王は今日は仕事が忙しくて来れんのよ。今日はウチで我慢したってや~」

 魔王の代理さんは何と言うかマイペースです。
 ニコニコ笑顔が目に眩しいです。
 魔王と比べても負けない美貌の持ち主なので少年がかなりの力を持った高位魔族であることだけは分かります。
 敵意は…なさそうですね。

「魔王じゃなくてガッカリしたん?」

 美少年がコテリと小首を傾げます。
 うぅ、庇護欲が湧きます。
 魔王もそうですが美形の方は人の内側に入り込むことが得意なのでしょうか?

「いえ、魔王が忙しいのは使用がないです。少し、寂しくはありますが…」

「うんうん、素直なのはエエことやで。成程この純真さに魔王はやられたんかな?」

 魔王がやられた?
 何のことでしょう?

「今日は魔王が作ったアップルパイを持って来たで。良ければウチとお茶しよな♫」

「は、はい。宜しくお願いします」

 何と言うかとてもマイペースな方ですね。

「じゃ、お茶の用意するわ。ウチは魔王みたいに器用じゃないから紅茶はティーパックでごめんやで」

 着ていた外套を外し少年はお茶の用意を始めました。
 て、言うより少年じゃありませんでした。
 中性的な美貌の美少女でした。
 外套の下はまだ成長期過程であろう体ですが、既に出てる所は出て引っ込んでいる所は引っ込んでいます。
 私より見た目年下に見えるのですが胸の大きさ確実に負けてます。
 体の曲線も美しく、腰から下腿にかけてのラインが女性らしくて魅力的です。
 【男を虜にする魅惑のボディの作り方】に書いてあったような魅力的な身体です。
 きっと抱きしめたら気持ち良いのでしょうね。
 ちょっと抱きしめてみたいとか思ってしましました。

「は~い、準備OK。座ってや~リコリスちゃん♩」

「はい、有難うございます」

 椅子に腰を掛けると美少女さんがバスケットからアップルパイを2つ出してくれました。
 何故2つなんでしょう?

「実はな、これちょっとだけ味が違うんよ。1口食べて美味しかった方をリコリスちゃんが食べてな~」

「はい、頂きます」

 私は慣れないフォークでアップルパイを1口ずつ口にしました。
 あ、確かに味が違います。

「こっちのアップルパイが好きです!」

「そうかぁ、じゃぁリコリスちゃんはそのアップルパイ食べてや。ウチはこっち貰うな」

 魔王が居ないのは寂しいですが美少女さんは何と言うか屈託なくて場を明るくしてくれる方です。
 私はすっかりこの美少女さんが好きになりました。

「貴女のお名前は何とおっしゃるのですか?」

「ウチ?ミヤハル言うねん。これでも魔王の育ての親で義理の姉な♬」

 はい?
 何か今凄くとんでもない事を聞いてしまったような。

「魔王の親御さんでお姉様なのですか?」

「孤児やった魔王とその兄をオークションで買って育てたんや。その後は兄の方に求婚されていまは番関係にあるんよ。だから魔王は養い子で義理の弟にあたる訳な」

「魔王を育てたんですか!小さい頃の魔王は可愛かったですか!?どんな子供だったのですか!」

「魔王の子供のころの話し聞きたい?」

「凄く聞きたいです!」

「ではお姉さんが魔王の子供の頃の可愛い話と情けないお話をしてあげようか~」

 ミヤハルさんが話してくれる魔王の子供時代の話に夢中になってしまいました。
 魔王可愛いです!
 失敗して涙ぐむ魔王の話はつい拳に力が入ってしましました。
 思春期は意外と反抗期だったのですね!
 ”絶対零度の君主”は想像がつかないです。

 ミヤハルさんはお話上手でコミュ障の私もすっかりお話しに夢中になってしましました。
 楽しい話をしてくれるだけでなく、私の拙い反応や話しもニコニコ笑顔で聞いてくれます。
 そんな所が少し魔王と似ていて血の繋がりは無くても家族なんだと思いました。

「ミヤハルさん有難うございます!」

「ん?急にどうしたんや?」

「ミヤハルさんが魔王を育ててくれたおかげで私は魔王に会う事が出来ました。私は魔王と居る時凄く幸せなんです。だから魔王を育ててくれたミヤハルさんは私の恩人です!」

 頭を撫でられてしまいました。
 何か褒められるような事した覚え無いですけど。
 でも撫で方がやっぱり魔王そっくりです。

「リコリスちゃんは魔王の事好きやねんな~。これからもあの子の事大事にしてあげてくれるか?あの子はリコリスちゃんと出会って本当に変わったんよ。あんな幸せそうなあの子は初めて見る。あの子は本当にリコリスちゃんの事が好きなんや。これからもあの子と一緒に居たってあげてや。2人の幸せの障害は全部ウチが潰したるさかいに」

 優しい眼差しでミヤハルさんが私にお願いします。
 ですがお願いしたいのは私の方です。
 私の方こそ”魔王の傍に居させて欲しい”と願わなければなりません。

「あぁそう言えば今日のアップルパイな、1つは魔国の王宮の料理長が作ったやつやねん。見事にリコリスちゃんはあの子の作った方を選んだんやけどな。教えてやればあの子も喜ぶわ」

 私が食べた方が魔王の作ったアップルパイだったそうです。
 私の舌はすっかり魔王の作る味を好みであると感じるよう進化を遂げているようです。
 何だか少しい恥ずかしいのは何でしょうか?

「そう言えばウチが忍び込ませた本は楽しかった?あの子じゃ絶対入れへんような本をあえて混ぜてみてんけど。今度は【魔国王都ウォーカー】とかも入れとくわ。魔国の美味しい食べ物屋さんとかもいっぱい載ってるんやで♬」

「美味しいお店ですか!?見たいです!と、言うかあの本を入れてくれていたのはミヤハルさんだったんですね!凄く勉強になります!」

「魔国に来た際には魔王に案内させるわ。今からしっかり行きたいとこ決めてデートプラン練っておきな♫」

「はい、有難うございます!」

「んじゃウチはあの子がキレる前に魔国へ帰るわ。今日は楽しかったわ、またウチともお茶しようなリコリスちゃん。ガールズトークもたまには良いもんやろ?」

「ふわぁ、私そう言えば初めてガールズトークしました!楽しかったです!又ミヤハルさんとお喋りしたいです!」

「そうか~嬉しいわ。ウチもリコリスちゃんと早く姉妹になりたいから裏から色々頑張らせて貰うわ。じゃぁ又今度な~♫」

 ギュウ、とミヤハルさんがハグしてくれました。
 全身が柔らかくて暖かくて気持ちが良いです。
 何だか魔王とは違う感じで胸がポカポカします。
 これが”男を虜にする魅惑のボディ”と言うやつですね。
 女の私でもメロメロです。

 ミヤハルさんが帰った後、私は魔王とお茶した時とは違う高揚感に包まれました。
 そう言えば”早く姉妹になりたい”とは何のことだったのでしょう?
 
 でもミヤハルさんとなら私も本当の姉妹になりたいと心から思いました。
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