皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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第2章

33話

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 キラキラキラ。
 目に眩しいです。
 現在私はエーデルと共にミレーユさんの工房に着ております。
 何でもウェディングドレスがようやく完成したそうです。
 正直ほっとしました。
 式迄2週間まで迫ってましたからね。

 ミレーユさんがあーでもない、こーでもない、と何度も作ってはバラシ作ってはバラシを繰り返していたらしいです。
 そこまでして頂けるなんて私は幸せものですね。

 マネキンが着ているドレスは光沢のある、チューブトップのAラインドレス。
 上半身はシンプルに胸元に少しの羽の刺繍。
 スカート部分は広がるように下に向けて刺繍が多くなります。
 美しい葉に羽が舞い落ちるかのような、溜息が出そうな細かい刺繍がされていました。
 取り外しのできるトレーンは長く、半透明でそこにも刺繍がびっしりとされています。
 バックスタイルの腰の処にリボンがあり、そのリボンは可愛らしい形ではなく美しい鳥を思わせる白い翼が下にたなびいています。

 ほぅ…
 思わずため息が出ます。
 
 コレ本当に私が来て良いのですよね!?
 この生地の質も刺繍の細やかさも国宝レベルですよ?
 しかも作ったのが魔国1のデザイナーの1点もの。
 マニアには堪らない垂涎モノでしょう。

 マネキンの頭にはマリアベールが被されています。
 そのマリアベールの刺繍もドレスに合わせたものです。
 この刺繍の量を1人でやってのけるとは流石は魔国NO1ですね。

 耳には少し大ぶりなイヤリングが揺れています。
 揺れるたびにキラキラと月色の光が反射します。
 首元にはネックレス。
 こちらもイヤリングと同じモチーフで月色の光をキラキラ反射します。
 モチーフはどちらも向日葵です。
 私の1番の宝物のイヤーカフと似たデザインです。
 勿論ミレーユさんが作ったアクセサリーの方が細工も使っている宝石の質も段違いに上ですが。

 そしてマネキンの手。
 その手には肘までの純白のロンググローブ。
 これもドレスと同じ生地ですが刺繍は入っていません。
 どこもかしも派手ではギラギラしますからね。
 力の抜きどころが本当に上手いです。
 刺繍が入っていないことで清廉さが際立っていました。
 お見事です。

 白グローブの先に持たれているのは魔王の瞳の色を凝縮させたような明るい黄色。
 黄色メインの色合いのヒマワリのブーケが持たれていました。
 ちゃんと枯れない様に【防腐】の魔術がかけられています。
 この魔力の波動は魔王のモノですね。
 私のことは何でも自分がしたい、と言ってくれていましたがまさかブーケにも関わって来ているとは思いもしませんでした。
 思わぬサプライズに顔がにやけるじゃないですか!

 向日葵は魔王が私に送ってくれたイヤーカフと同じ花。

 花言葉は

 ”私は貴方だけ見つめている”
 ”熱愛”
 ”情熱”
 ”恋慕”

 だそうです。

 そしてブーケに使われている向日葵は黄色と、サンリッチオレンジ、小振りなサマーチャイルドです。

 サンリッチオレンジの花言葉が”未来を見つめて”

 サマーチャイルドは””元気な子供”だそうです。

 未来のことまでブーケに込められていて少々照れるものです。

 向日葵の本数は11本。

 ”最愛”

 の意味があるそうです。
 魔王は意外にロマンチックさんのようです。
 調べている私も私ですが…。
 
 魔王が向日葵のイヤーカフをプレゼントしてくれた時から、私の1番好きな花は向日葵になりました。
 そりゃ調べもするものでしょう。
 ネガティブな花言葉の赤、紫、白の向日葵を入れていないのは流石としか言いようがありません。

「当日の会場は999本の向日葵で飾るそうですよ、愛されてますね♪」

 ミレーユさんがウインクしながら言いました。
 美人さんのウインクは素敵です。
 私はウインク出来ないんですよね。
 どうしても両目を瞑ってしまいます。
 ウインクが出来るって大人っぽくて憧れがあるんですよ。

 それにしても999本の向日葵とは。
 思った以上に魔王は情熱化さんです。

 999本の向日葵の意味。

 ”何度生まれ変わっても君を愛している”

 惚れ直しても良いですか?
 私だって日々情緒は育っているんですよ?
 あんまり私を惚れさすと嫉妬で手を付けられない女になるかも知れませんよ?

 それでも魔王は”何度生まれ変わっても君を愛してる”と言ってくれるんでしょうね。
 魔王の妻に恥じない、大人の女に早くなりたいです。

 式迄何も起こらず日々が過ぎればよいのですが…。
 あれ?
 もしかして私は今、不吉なフラグを立ててしまったのでは無いでしょうか!?
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