皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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第2章

34話

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 さて困りました。
 あの脱糞令嬢がお茶会のお誘いをまたして下さいました。
 あれだけ恥をかかされてまだ挫けないとは、そのメンタルには感心致します。

 それにしても3日後結婚式で過密スケジュールなのですが、常識ってもんをしらないのでしょうかね?
 知らないんでしょうね。
 でなきゃ人様の飲食物に毒やら下剤やら混ぜませんよね。

 まぁ本来ならお断りするのですが…。
 
 あいつ等、人質を取りやがりましたよ。

 何と今回のお茶会に私付のメイドのシーナの妹が招かれているのです。

 シーナの妹は何も知りません。
 公爵家からのお招きにとても喜んでいるそうで、前日からのお泊りだそうですよ?
 用意が周到過ぎますね。
 あの脱糞令嬢にそこまで考える頭は無いと思うのですが。

 誰かしら知恵を出したものが居ます。
 そしてかなりの強敵さんでしょう。
 私を何とか出来る自信があるからこのタイミングで無茶なお茶会を仕掛けて来たとしか思えません。

 勿論断りませんよ。
 大切なシーナの妹の大事がかかっているのです。
 主として乗り込まない訳にはいかないでしょう。

 また厄介なのがシーナ伝手でお茶会の連絡が届いたことです。

 魔王伝手なら力も借りれたでしょうが…。

 シーナも便箋の中身は見ていません。
 まさか自分の妹が巻き込まれているなんて思いもよらなかったでしょう。
 私に「破棄しますか?」なんて軽く言ってきたのですから。
 破棄せず内容を確認して良かったです。
 これで何とかシーナの妹の身柄は保証できるでしょう。
 相手側の誰かさんが私より強くなければ……。

「エーデル、ビーズ、シーナ、ディープル。黙って私のお茶会参加に付き合ってくれませんか?」

「駄目ですリコリス様!こんなの絶対何か裏があるじゃないですか!陛下に報告しましょう!」

「何を言ってるんですかシーナ。貴女の妹が人質に取られているんですよ?相手の火に油を注ぐことをするのは得策ではありません」

「ですが私の妹のために!!」

 シーナが必死です。
 自分のせいで私が敵の住処に行くことをどうしても止めたいようです。
 きっとシーナのような者を使用人の鑑と言うのでしょう。
 ですが。

「そんな泣きそうな顔で言っても説得力ないですよ。私が魔国で幸せに暮らせているのはシーナたちのお陰です。そして私はシーナたちの主です。日頃仕えてくれている部下の緊急事態に動かなくて何が主ですか?生憎私はまだ、そこまで性根は腐ってはいませんよ」

「すみません!すみませんリコリス様!あの子を、私の妹を救ってください!!」

 シーナの瞳から涙がぽろぽろ零れ落ちます。
 やっと泣いてくれました。
 泣きそうな顔で妹を切る覚悟をしているより、泣きながら本音を言ってくれる方が、頼ってくれる方がよっぽど私は嬉しいです。

「エーデル、ビーズ、ディープル、力を貸してくれますか?」

「当たり前です!リコリス様もシーナの妹も絶対に守り通します!」

「有難うございますエーデル」

「私は戦闘特化ではありませんが回復には自信があります。皆さんをサポートさせて頂きます」

「頼りにしていますよビーズ」

「バフ・デバフならお手の物です!皆の足は引っ張りません!」

「頼みましたディープル」

「私の大切なものに手を出した輩、全て燃やし尽くしてやります!!」

「思う存分暴れて下さいシーナ」

 たった5人での特攻です。
 でも皆が力を貸してくれるなら、絶対に負けません!
 私の大切なものに手を出した事、必ず後悔させてやります!

「特攻に行く前に下準備をしましょか。流石に普通のドレスでは戦いづらいので」

「今日は魔法衣にされますかリコリス様?」

「そうですねビーズ。出来るだけドレスっぽい奴を選んでください。皆も動きやすく守備力の高い装いをして下さいね。1人でも欠けたらこちらの負けです。皆で無事、この王宮に戻ってくるのです!」

「「「「はい、リコリス様!!」」」」

 今回は魔王にもミヤハルさんにも力はかりません。
 自分の能力と、付き従ってくれる使用人だけの戦闘です。
 ですが己に降りかかる火の粉を、己の力で振り払えなくて何が魔王の妃ですか。
 私はあの強く美しく優しい魔王の妃で番です。
 あの背中を守り抜くと誓っているのです。
 だから今回の事は私が己の力でやり遂げます。

 さて、どんな方がバックに居るのか知りませんが。
 あまり《武神》を舐めないで下さいね?
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