皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

文字の大きさ
63 / 284
第2章

【貴方の色に染まりたい・中編】

しおりを挟む
 神殿を出ると人だかり。
 魔国中の人が集まっているんじゃないですかコレ?

 皆さんが嬉しそうです。
 
 ”おめでとうございます!”

 ”お幸せに!”

 ”戦女神に万歳!!”

 様々な祝福の声が聞こえてきます。
 戦女神~の所は聞き流しても良いですよね?

 竜車にのって王都を凱旋。
 凄い人の数です。
 これだけの人が私と魔王を祝福してくれているなんて。

「凱旋パレードは魔国に来て以来です」

「だがあの頃とは違う。もうパンダではおれんぞ」

「分かっていますよ、戦女神でしょう」

「リコリス、お前は1人で己の地位を確立した。胸を張れ。自信をもって前を向け」

「私小心者なんですけど…」

「魔王候補を倒す小心者が居てたまるか」

 クスクスと魔王が笑います。
 ご機嫌ですね。
 レアな魔王の笑顔に人垣の中でバッタバッタ女性が倒れてるんですが…。
 結婚式でくらい、その歩く猥褻物は止められないモノでしょうか。

 私は流石に笑顔くらいじゃ倒れませんよ!
 魔王の笑顔耐性は付いてますから!

 色気垂れ流しのお風呂上がりの耐性はまだ付いてませんが…。

 歓声に向かって笑顔で手を振ります。
 ひと際歓声が大きくなります。
 もうパンダじゃないと思うと感慨深いですね。
 ココまでの地位を確立するのに4ヵ月も掛かってしまいました。
 人生で1番”蜜”な4ヵ月でしたよ本当に。

 城迄手を振りながら乗り心地の良い竜車で揺られました。
 流石は魔国1の竜車。
 他の竜車とも獣車とも乗り心地が違います。
 後で竜さんたちにご馳走を持って来てあげたいですね。
 今日はそんな暇無さそうですが。

 城に入ると、一端魔王とはお別れです。
 花嫁は大変なんですよ!
 カクテルドレスに着替えないといけないんですから。

 ドレス、しんどい……。

 いえ、頑張りますけどね。
 魔王に綺麗だって思って欲しいですし。

 そして魔王の瞳の色に近いシャンパンゴールドのドレスに着替えました。
 このドレスはエンパイアドレスです。
 後ろの腰当たりのリボンが蝶々のような形をしています。

 漫画で読んだ大好きな”美少女戦士”の”プリンセス”が着ていたドレスに似せて作って貰いました。
 大好きなんですあの漫画。
 色こそ違いますが”プリンセス”になった気分です。

 あ、でも魔王の妃なら”プリンセス”じゃなくて”クイーン”ですね。
 まさか齢18で女王になるなんて思いもしなかったですね。

「楽しそうですねリコリス様」

 メイクを担当してくれているミレーユさんが言いました。
 ドレス作って装飾品作ってヘアメイクしてと多才ですね。

「笑ってましたか私?」

「それは幸せそうに」

 ちょっと浮かれすぎてますかね。
 お恥ずかしいです。

「素敵なドレスを着てメイクをされて、違う自分みたいに綺麗にされて、舞い上がってるみたいです」

「デザイナーとして1番の誉め言葉ですね」

 そう言うものなのでしょうか?
 でもミレーユさんも笑顔なので間違った返しではないみたいです。

「さぁ出来ました。今この世で1番綺麗ですよリコリス様。魔王様をメロメロにしちゃって下さい!」

 1番は流石に言い過ぎですが、鏡に映る私の姿は普段より大人っぽくて。
 これなら世界1は無理でも良い所に飛び込めるんじゃないかってくらいには綺麗に仕上がってました。
 プロのメイクって凄いです。

 ミレーユさんに気合を入れて貰ったので披露宴が行われるホールに移動です。
 すでにピンヒールが痛い…。
 でもピンヒールを履きこなして女子力ですよね先生!
 不肖の弟子、本日はピンヒールを履きこなして見せます!!

 ホールに入ると神殿よりも多くの人が!
 人の多さに眩暈を起こしそうです。

「リコリス」

 甘いテノール。
 その声で名前呼ばれるの私大好きなんですよ。
 知ってましたか魔王?

「エスコートお願いしますね」

「承知した、我の伴侶殿」

 魔王の腕に手を置き会場を進みます。
 立食形式のパーティーです。
 何でもこの方が来賓と挨拶できて良いのだとか。
 私的にはテーブルに並べられた美味しそうなご馳走の方が興味あるんですけどね。

 会場に流れる音楽はオーケストラの生演奏。
 流石にこれだけ広いホールだと、オーケストラが入っても窮屈さを感じさせません。

 そして凄い数の人と挨拶しました。
 覚えきれないです。
 でも他国の重鎮も来られているので覚えられないとか言ってられないです。
 帰ったら復習しましょう。

 そして消えていくテーブルの上のご馳走に涙目になりながらも、魔王にエスコートされてダンスを踊ります。
 ふふふ、先生私ピンヒール履きこなしていますよ!
 ちゃんとステップ踏めていますよ!!

 魔王のリードが上手いので私の負担はほぼありません。
 でもエスコート慣れしてる魔王にちょっぴり嫉妬。

「何を考えた?」

「何をって…」

「一瞬不満そうな顔をした」

 ありゃ、顔に出ちゃいましたか…。

「今まで魔王にエスコートされた女性に嫉妬です」

「ふふ、可愛い事を。これからはお前以外をエスコートすることなどない。お前が最後の女だリコリス」

「言質を取りましたよ?」

「魔国の神に誓おう。いや、魔国の神より権力のある姉様に誓おうか?」

「そうですね、ミヤハルさんに誓って貰いましょう。浮気したらミヤハルさんに制裁して貰いますからね」

「まぁそんな日は一生来ぬがな」

 ぐぬぬ、余裕でちょっと悔しいです。
 でも言われていることは嬉しい事ばかりなんですけどね。

 くるくると魔王のリードでホールを回ります。
 他の人もパートナーと踊っています。
 まるで夢の中の世界のようです。
 でも夢じゃない。
 魔王の体温がこれは現実何だと嫌でも思い知らせてくれるから。
 幻想的な披露宴が終われば、そこからがある意味私の本番です。
 覚悟してて下さいよ魔王!
しおりを挟む
感想 753

あなたにおすすめの小説

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~

咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】 あらすじ 「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」 ​聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。 彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。 ​しかし、エリーナはめげなかった。 実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ! ​北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。 すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。 ​「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」 ​とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。 以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。 ​最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?

聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力! 絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。 最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り! 追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

処理中です...