皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

文字の大きさ
135 / 284
その後

TSってどう思う?6

しおりを挟む
「逃げて来たけど…何処に行こう…安全な場所に帰りたいよぅ………グスッ」

 王宮から逃げ出して王都に飛び出したは良いが、現在ユラは路地裏で座り込んで涙を流していた。
 王宮は駄目だ。
 あそこは変態の集まりだ。
 ミヤハルの家も駄目だ。
 あんなこと良いな出来たら良いな、なプレイが試されているに違いない。
 巻き込まれることは無いが、出来たら気配も感じたくない。
 乙女のユラには刺激が強すぎる。

「うへへへへ、こんな所にこんな可愛らしい嬢ちゃんが居るなんて、もしかして嬢ちゃん自分からそう言う事をして貰いたくて来たのかぁあいぃ」

 はぁはぁといかにもな変態さんがユラに声をかける。

 何故コート?
 何故素足が見える?
 すね毛酷いぞ?
 靴下左右で揃ってないぞ?
 スニーカーて魔国にもあるんだね?

 色んな疑問が瞬時にユラの頭に横切ったが、今重要なのはそこではない。

「え、と、わた…オレ男ですけど?」

「うひゃはははははははぁ、だから良いんじゃねぇか!まだ何も知らなさそうな坊ちゃんを嬢ちゃんに変えてやるから良いんじゃねぇかぁっ!!」

「そうだそうだ!」

「男だから良いんだよ!」

「嬢ちゃん可愛いな、うふふふふふふぅ」

 コート男が大声で喋っているので細道からゾロゾロと目をぎらつかせた男たちが集まって来た。

 ユラは知らなかったが、ここは魔国でも随一のハッテン場だったのだ。

「あぅあぅあぅ………」

 ユラの腰が抜ける。
 もう駄目だ。
 ユラはモブオジサンたちにヤられてしまうのだ。

(あぁ、今までモブオジサンにモブレさせたイケメンたち…ごめんなさい………)

 何か謝るところが違う気がする。
 普通こう言う時は神に懺悔しないだろうか?

 だが神(もしくはイケメン)達はユラに救いの手を差し伸べた。

 ボフンッ!

 ユラから煙が上がった。
 そしてその中から出て来たのはやや童顔な可愛い系の美女。
 そうユラのTS化が解けたのだ。

(戻れた!でも、もうこの状況じゃ………)

「何だぁ女かよ!」

「折角上玉を仕込めると思ったのによぉ」

「せめてまな板ならワンチャンあったのになぁ」

「微乳て1番萎える奴だわ」

「ないわ~本当ないわ~」

 ゾロゾロと出て来た男たちがユラに侮蔑の言葉を吐いて帰って行った。
 良かったユラの純潔は守られた。
 だが違う物が物凄く傷つけられた。
 それは『女のプライド』と言うヤツだ。

「う、うわぁぁぁぁぁぁん!殺していやる!殺してやるぞ【全知全能】!!」

 ギャン泣きした。
 こんなに泣くのは何時以来か?
 全てはミヤハルの誘惑に乗ってしまったのが悪い。 
 しかしユラは大人だ。
 見た目通りの年齢なら自己嫌悪に陥ったかもしれない。
 だが億を超える年を過ごしたユラは、都合の悪いことを他者のせいに出来るだけの処世術を身に付けていた。
 哀れ【全知全能】。
 ユラのお願いで毎回どこぞの猫型ロボット並みに便利アイテムを渡していると言うのに。

 そしてユラは使い魔のユニコーンに乗って【全知全能】の元へと飛び立つのであった。

 ユニコーンと言えば乙女にしか懐かないことで有名だ。
 乙女とは?
 勿論処女のことである。
 使い魔がユニコーンと言うだけで、ユラが処女である事は誰にでも分かってしまう。
 ちなみにユラはその事に気付いていない。
 気付かないままで良い。
 ユラは抜けてるくらいでちょうど良いのだから。

 そして【全知全能】がユラがユニコーンに乗ってやって来るたびに、まだユラが乙女であることを認識してほっとしていることは誰も知らない。

 その後どうなったか?
 
 ミヤハルとエントビースドはご機嫌だった。
 魔王は性別が治ったのにもかかわらず、未だに自分の貧乳具合に嘆いていた。
 リコリスは魔王を励ますのに必死である。
 オウマは女性向けの大人のお店で楽しんできたらしい。
 アムカは元の美丈夫に戻って女に戻ったユラを残念そうに見つめていた。
 そしてユラは、血塗れの真っ白なワンピースを着て笑顔を浮かべていた。

 1番不幸だったのは誰だったのか?
 ソレは誰にも分からない問題だろう。
しおりを挟む
感想 753

あなたにおすすめの小説

王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした

まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】 その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。 貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。 現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。 人々の関心を集めないはずがない。 裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。 「私には婚約者がいました…。 彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。 そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。 ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」 裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。 だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。   彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。 次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。 裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。 「王命って何ですか?」と。 ✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!

近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。 「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」 声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。 ※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です! ※「カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...