婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《16話》

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「中心街、久しぶり、なのです」

 やはり平民街と違って建物も豪奢であるし、歩く人が着ている服も華やかだ。
 サラはローブで来なくて良かったと心から安堵した。
 まぁ今着ているのも平民街の古着屋で買ったものなのだが。
 それでも人生初の私服を着て、リップを塗って、お出かけモードのサラは何時もより少しだけ自信がある。

「サラちゃーん、こっちこっち♡」

 ナナが噴水の前で手を振っている。
 藍色のショートカットにピンクの瞳。
 絶世の美女が手を振っている。
 手を振る度に胸元の柔らかく大きな膨らみがプルプル揺れる。
 周囲の男の目がその膨らみに釘付けである。
 
(ナナさんのお胸、凄い、です。あ、男の人が、彼女さんにビンタ、されました!)

 仕方も無いだろう。
 美女のおっぱい(爆乳)が揺れているのだ。
 しかもブラをしていないのか、胸の突起がシャツの上からでも位置が分かる。
 むしろ白いシャツなので、色が微かに透けて……。

 凄い熱量の視線がナナの胸元に集まっている。
 前屈みになってすら凝視する強者も居る。
 なぜ敢えての白いシャツなのか?
 ナナがサキュバスだから、としか言えない。

 下はホットパンツだ。
 ぴったりとした質感のホットパンツはナナの局部の形も薄っすらと浮かび上がらせている。
 黒いホットパンツから伸びた長い脚は、「その足でホールドして下さい」と言いたくなるような美脚だ。
 細すぎず太過ぎず。
 硬すぎず柔らかすぎず。
 完璧な脚線美がそこにはあった。

 ナナの周りは半径1,5メートルほどの空間が広がっており、周りは10代から棺桶に片足を突っ込んでいそうなお爺迄がナナの肢体を舐め回すように眺めていた。

(あの空間に入る勇気、ないですぅぅぅ…)

 せめて1番お洒落着としてかったピンクのワンピースを着てくれば良かったとサラは後悔した。

 サラの方から来ないので、ナナが見事なウォーキングでサラの方へ来る。
 男の視線もそれを追って来る。
 逃げたくなったサラは悪くないだろう。

「サラちゃんこんにちは~♡」

 ぎゅ~、とナナがサラを抱きしめる。
 長身のナナに抱き締められるとサラの顔は、ナナの胸に埋める形になる。
 大変気持ちがよろしい。
 男どもからの嫉妬の視線は無視だ無視。

「こんにちは、ですナナさん」

「じゃぁイキましょうか♡」

 普通の言葉のはずなのにナナが言うと卑猥に聞こえるから不思議である。
 サラは意味が分かっていないが。

「ケーキバイキング、ですね!」

「ドクターが契約の時約束したからね♡月1のケーキバイキングの料金はドクター持ちだから何も遠慮しなくていいわよ♡」

「はい!お腹いっぱい、頂きます!!」

 もうサラの頭はケーキでいっぱいだ。
 診療所の休憩時間にお茶と焼き菓子は出てくるが、生菓子は初めてである。
 生菓子など平民には食べれる機会などほとんどない。
 それが月1で食べられる。
 何と言う好雇用。
 
 人はソレを甘いもので騙されている、と言うだろう。

 だがサラはそれでも良いのだ。
 神殿での祈りと祈祷は1日10時間以上。
 食事はじゃが芋と塩スープ。
 しかも冷たい。
 診療所の休憩時間の温かい紅茶と甘い焼き菓子はサラの心までポッカポカに温めてくれる。
 時間外の仕事はないし、仕事内容がハードでもサラにとって平民街の診療場はブラックではないのだ。

「中心街は、色々と豪華、なのです」

「貴族様中心の街だからね~」

「ケーキバイキングお高くない、ですか?月1でケーキバイキング、セブンさんの負担、なってませんか?」

「大丈夫よ♡あぁ見えてドクターすっごい稼いでるから♡サラちゃんが来てから患者さんも増えて儲けも倍はあるみたいだし♡」

「そんなに増えた、ですか!?」

「そんなに増えたの。しかもサラちゃんの評判は上々、ケーキバイキング位奢って貰ってもばちは当たらないわよ♡むしろ週1でも良いくらいなんだから♡」

「週1は流石に良心が咎める、です。休憩時間にたっぷりお菓子も頂いてます、から」

「健気ね~サラちゃん、可愛くて食べちゃいたい♡」

「わ、私美味しく無い、です~」

「うふふ、十分美味しそうよ♡食べられる心の準備が出来たらお姉さんに言ってちょうだいな♡」

「あうあう…」

 パニックで頭がぐるぐるなサラの手を引いてナナがカフェ迄先導する。

(ナナさん、良いサキュバスだけど危険人物、です~……)

 だがサラの心配もカフェが見えたら消えてしまう。
 カフェはガラス張りで中の様子がよく見える。
 そして置かれているのは。
 ケーキケーキケーキ!
 キラキラ光る果実の山もある。
 櫛に刺されたマシュマロの傍にはチョコレートファウンテン。

 サラはチョコレートファウンテンの存在を初めて見たが、その迫力に圧倒される。

(チョコレートの滝、ですぅぅぅぅぅっ!)

 もう涎を垂らさんばかりの目をキラキラさせたサラを見て、ナナは「サラちゃんチョロくて可愛くて食べちゃいたい♡」なんて小声で言っていたのを聞き取ることが出来なかった。
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