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《49話》

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 獣車のスピードは速い。
 馬車とは比べ物にならない馬力(獣力?)だ。
 当然である。
 元は魔物。
 それも大型種だ。

 獣車の御者にとって、魔物のレベルは御者のステータスに繋がる。
 
 自分はこのレベルの魔物テイムするレベルですから!ドヤァ

 と言う訳だ。

 そしてセブンが選んだ獣車は上等なクラスである。
 この辺り育ちの良さが出る。
 安かろう悪かろうではないが、優れたテイマーが御者をする獣車に乗れれば危険は少ない。
 荷を引いている魔物そのものが戦闘力になるのだ。
 雑魚の魔物も野党も、軽々しく仕掛けてはこない。

 逆にモグモグされてしまう事受け合いだからだ。

 なのでクロイツ迄の旅は平和な旅になりそうであった。

「獣車って案外揺れないのね?」

「まぁ上等な獣車は風属性の術で揺れないよう術をかけてあるからな」

「揺れない…揺れ、な、い、ですか?」

 サラが納得いかない顔をした。
 何故なら軽い振動でナナが胸がポヨンポヨンと揺れているからだ。
 もう車体の中の男の目線はナナの胸に釘付けだ。
 下着も付けていないので揺れも激しい。
 トップの位置も分かる。

 獣車が急停止したら男がみなナナの胸にダイブするんじゃないかと言うレベルで凝視している。

 何故前屈みなのか考えたらいけない。

 小さな子供が「パパなんで丸まってるの~?」なんて聞いているがママの射殺さんばかりの目に恐れをなし、子供は口を噤んだ。
 賢明な判断である。
 きっと適応能力の高い良い子に育つだろう。

 そしてこの獣車は護衛を2人連れていた。
 雇ったにしては御者と気安そうだったので元冒険者のパーティーだったのかもしれない。
 生死をかけずに冒険者と同程度の給金が稼げるのだ。
 テイマーの居る冒険者パーティーが獣車の御者と護衛になるのも珍しくない。

 さらに質が良い元冒険者なら上流階級の護衛などの仕事もしていたりするので、客に対する接遇もなっている。

 このクラスで無ければセブンにとっては金を払う価値がない、と言う事だ。
 そんな訳で良質な獣車の旅なのである。

「エロナース、お前向こうで1人で座れ。視線が鬱陶しい」

「こんな美女が隣に座っているのに嫌がるなんて…やっぱりお子ちゃまよねドクター♡」

「心身ともに大人だ。むしろお前と関わらなくていいならお子ちゃまのままで結構だ」

 何て言いながら、セブンは最近大人の階段を駆け上がりつつある。
 何せ初勃起!
 そして夢精の回数が増えた。
 30台にもなると体力も無くって、その手の生理現象も減少しようものだがセブンの体は今までのを取り戻す勢いで反応してくれる。
 宿をなんとしても3部屋取らなくてはならなかった理由である。

 宿でパンツを洗いたくないので使い捨てにする気である。
 毎日新しいパンツに履き替える。
 汚れた古いパンツは捨てる。
 今回の旅でセブンのパンツは総入れ替えだ。
 新しいパンツで是非新天地に臨んで欲しい。
 捨てたパンツはナナに見つからないよう気を付けよう。

 何せサキュバス。
 【防臭】の魔術をかけなければゴミ箱のパンツに気付かれてしまうだろう。
 何て面倒臭い生き物だサキュバス。

 学生の折、ナナに目を付けられたのが運のつきだ。
 EDだったのも運のつきだ。
 せめてちゃんと反応したら1発限りの関係で、今後関係を持つことなど無かっただろう。
 セブンがナナのプライドを傷つけたために纏わりつかれる羽目になった。
 まぁ今となっては看護師としてそれなりに役に立っているが…。

 そして3部屋にしなくてはならなかった理由。
 コレがサラに出会った頃なら2部屋にした。
 女同志相部屋で良いだろうと。
 ナナが悪戯心を出してサラに手を出しても問題ないと。
 それくらいセブンは人に興味が無かった。

 だが、どうも自分は…認めたくないがサラに欲情に似た感情を抱いているらしい………。
 本気で認めたくない。
 あの蟻に!
 あのアホ犬に!!

 セブンの好みは知的な女性だ。
 儚げな、を加えても良いかも知れない。
 胸にこだわりは無いがロリコンでは無いので絶壁などありえない。

 だが実際に反応しているのだから認めざるを得ない。

 この体の状態も調べたいのが人間ドックの目的でもある。
 何故恋愛感情も抱いていない小娘に反応するのか?

 ここでサラに恋愛感情を抱いているのだと認識出来るほど、セブンの恋愛偏差値は高く無かった。
 第3者の意見が必要だろう。
 エロナース、もといナナ以外の者で。
 この旅行はセブンのそう言った自分の見つめ直しの旅になるかも知れない。
 本人にその意図はないのだが。

 獣車に揺られ、それぞれ思惑を胸にクロイツへと向かうのだった。

 ちなみに人間の3代欲求は睡眠欲・食欲・性欲である。
 2人が性欲での面で思惑を凝らしているのに対して、サラだけは食欲に意識を持っていかれていた。

(早く、セブンさんのお弁当、食べたい、です)

 1番の幸せ者はサラなのかもしれない。
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