聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

文字の大きさ
43 / 297

【閑話・小話詰め】

しおりを挟む
【小話1】

※サイヒの性別が分かる前の話です

ル「クオン明日は王立図書館に向かうぞ」

ク「承知しました殿下」

 次の日。
 そうしてルークとクオンは王立図書館へ向かった。

ク「何を借りられるのですか殿下?」

ル「プライベートなものだ。其方も適当に見たい本を見ててくれ」

 そう言ってルークは事前に調べてあったのかスタスタと歩いて行ってしまった。

ク(お菓子作りの本でも読んでみようか。マロン妃のお手伝いに役立てるかもしれない)

 クオンは手作り菓子の本を選んで読むこととした。

ク(うん、手作りでも色々あるものなんだな。マロン妃に本を持っていったら喜ぶだろうか?いや、いきなりこんな本を持っていったら作れと強要してると思われかねないな。レシピだけメモを取ろう)

 持って行ったらマロンは喜んだだろうが、女心の分からない堅物クオンにはそんな気の廻し方は出来なかった。

ル「クオン、私は借りる本は決まった。早く帰りたいのだが」

ク「ここで読んで行かれないですか?」

ル「部屋でゆっくり読みたいんだ」

ク(何故そこで頬を染める!?)

 そうして帰ってすぐルークは部屋に籠ってしまった。
 本を読んでいると時間がたつのは早い。
 ベッドで読んでいたルークは何時の間にかウトウトと眠ってしまう。

ク「殿下、夕食のお時間です。殿下、殿下!」
 
 返事がしないルークに焦れて、クオンは扉を開ける。
 スペアキーを持っていて良かったものだ。

ル( ˘ω˘)スヤァ

ク「寝られていたのか…そんなに眠くなるほど夢中で何を読まれていたんだ?」

 枕元に散乱されt本を見る。

 《男を喜ばすテクニック》
 《初めての同性同士の愛し方》
 《無理しない下準備・上巻》

ク「な、ななななななっ、ウッ!」

 グハッ!

 その場でクオンは血を吐いて倒れた。

ル「う、んん…いつの間にか寝てしまってーーーーく、クオン!大丈夫かクオン!?誰か医者を!!」

 寝台の横で血を吐いて倒れているクオンの右手人差し指は、自らの吐血の血を使って「ゲイ」とダイイングメッセージが綴られていた……。


【小話2】

 後宮には東西南北にそれぞれの皇太子妃の部屋がある。

 東に第1皇太子妃カスタット。
 西に第2皇太子妃マカロ。
 南に第3皇太子妃マロン。
 北はまだ所属する皇太子妃は存在しない。

 気の弱いM気がある宦官はカスタットを支持している。
 気の強いS気のある宦官もカスタットを支持している。
 Mの者はそのピンヒールで踏まれたいと。
 Sの者はあの高慢な女を支配したいと。

 カスタットの好みは優しくてスレンダーな綺麗系の男なのだ。
 それでいて強い男が良い。
 宦官の中には食指をそそられる者は居ない。
 ”あの事件”を起こした宦官は本当に好みだったのに!
 性格さえ従順だったならば!
 と言ってもその姿を明確に思い出せはしないのだが…。

 東の自室より足を強調した深いスリットのあるドレスのカスタットが歩いてくる。

 反対側の西の自室より第2皇太子妃マカロが歩いてくる。

 マカロは豊満な胸に尻、だと言うのに腰もちゃんと括れている。
 カスタットに比べればかなり豊かな体だ。
 マカロを支持する者はとにかく宦官にもなったのに男が捨てきれない者が多い。
 ”あの胸に挟まれたい”
 ”あの尻に敷かれい”
 皆あの豊かな体に夢中だ。

 二人して道を譲らないから必ずぶつかる事になる。

「カスタット様ぁ、ご機嫌麗しくぅ。今日も肩こりに悩まされず良く寝れたのでしょうねぇ、羨ましぃ。でもお肌がくすんでいますわぁ。あぁそれはご年齢からくるものでしたっけぇ?」

 マカロが胸の下で腕を組んでグイ、と持ち上げる。
 ただでさえ大きな胸がより強調される。

「「「「おぉぉぉぉぉぉっ」」」」

 宦官達から嬉しい悲鳴が上がる。

 ピキ

 カスタットの額に青筋が浮き上がる。

「マカロ妃は今日も重そうですわねぇ。胸も尻も腹も。そんなにコルセットを目一杯締めたら呼吸が苦しんでは無くて?まあ私はコルセットなど必要ないのですけど。体が重すぎて足が短くなったんじゃなくって?」

 カッ、とスリットから足を出しその長さを強調する。

「「「「おぉぉぉぉぉぉっ」」」」
 
 どちらかが引けばよいのだがこの2人、己が引く気はない。
 バチバチと火花が散る。

「まぁカスタット様、マカロ様、おはようございます。今日もお2人ともお美しいですね♪」

 火花を散らす2人の元にやってきたのは第3皇太子妃であるマロンだ。
 ニッコリと笑うマロンは可憐だ。
 思わず守ってあげたくなる華奢な体つき(でもカスタットと違って胸はある)でほわほわと愛らしさを振りまいている。
 これが計算された者でなく天然なのだから邪険にも出来ない。

(やっぱりマロン様だな)

(あの愛らしさ、華奢なのに出てるところは出てる体。あーいうのが良いんだよあーいうのが!)

(性格も素朴で愛らしい…)

(何より若いからな!!)

 ピキピキピキ×2

 カスタットとマカロの額に青筋が浮かぶ。
 笑顔なだけに余計怖い。
 が、宦官連中はそれに気づかない。

 カスタットとマカロに釘付けだった宦官の視線は今はマロンに釘付けだ。
 皆熱に浮かされたように頬を染めマロンを見ている。
 
「では私は失礼します。今日のお茶の準備をしたいので」

 栗色の髪がふわふわ揺らしながらマロンは去っていった。
 今日も勝者はマロンである。
 マロンが後宮に来てから1年。
 いまだ無敗のマロンをカスタットとマカロが地に膝を付けさす日は来るのだろうか?
 マロンの周りだけは後宮でも平和なのである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あまりにも下らない小話。
 ただ単にもう1回くらいクオンに吐血して欲しかっただけです。
 ダイイングメッセージが残せたと言う事は絨毯は無かったんでしょうかね?
 それにしても流石は帝国の王立図書館。
 ラインナップが豊富です(・∀・)ニヤニヤ

 そしてマロンが何時の間にか天使にジョブチェンジをはたしていました。
 頑張れクオン!
 ライバルは多いぞ!!

 ※書き手はちゃんとクオンの事大好きです♡
しおりを挟む
感想 1,137

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

処理中です...