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【91話】
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「お久し振りですねシジュン様、マガクも大きくなったな」
「お前は人間離れしてるとは思っていたが、まさか本当に人間辞めているとは思わなかったぞ?」
「しかも全能神て神様の中で1番偉い人なんだよね?」
「まぁ今の所天界の最高権力者ではあるな」
「んじゃ好きに地上作り替えたり出来るの?」
「出来るが何か作り変えて欲しいものがあるのかマガク?」
マーガレットとローズ以外で唯一幼い頃から交流のあるマガクはサイヒにはかなり喋りやすい存在だ。
親友、とはいかなくても仲の良い友人枠だとは思っている。
何よりマガクはサイヒに魅了されない所が良い。
何を置いても女王ファーストなのだ。
ジャクタル女王以外に興味が無いので、あっさりとしたその性格は付き合いやすい。
「ん~地上作り替えて欲しいと言うより俺以外の男が女王様に手出せないようにして欲しい」
「はぁ、お前は何を言っているのだマガク……」
マガクの言葉にジャクタル女王が大きな溜息を吐いた。
好かれるのは嫌ではないが、こうも執着心と独占欲が強くては部下としては問題である。
「うん、出来ない事は無いがな、そう言う手はシジュン様は嫌いだと思うぞ?」
「そうなの女王様?」
コテリ、とマガクが首を傾げる。
母性本能を擽る幼いその仕種が様になるのがこの美少年の厄介な所だ。
思わず何でも言う事を聞いてやりたくなる。
が、育ての親であるジャクタル女王には効かない。
マガクと年がそう変わらないように見えても女王は200歳を超えているのだ。
一々子供のおねだりに振り回されるようなメンタルはしていない。
「当然だ。他人の手を借りる輩の手を取るほど私は落ちぶれていないぞ」
「だ、そうだ。自分で頑張るんだなマガク」
女王とサイヒに駄目だしされマガクが頬をプクーと膨らます。
本当に仕種と容姿だけは可愛い少年なのだ。
だが内面が可愛くないことをサイヒも女王も知っている。
こう見えてこの美少年は女王が係わると人(鳥?)が変わるのだ。
闇堕ち気味の時のマガクは質が悪い。
ここ10年、ジャクタル女王に縁談の話しが上がらないのはマガクが裏から潰しているからである。
無邪気な顔をしてやることはエゲツナイし、手段も問わない。
何気にジャクタル王国の上層部では危険物扱いされているのだマガクは。
まぁソレを分かっていて傍に置いているのだから、ジャクタル女王もマガクがそれ相応の力と権力を付けたらその想いに応えてやるつもりはあるのかもしれない。
と言うかそのつもりがあるから、200歳も年の離れた自分よりまだ能力の低いマガクを側近として置いているのだ。
知らぬは本人ばかりである。
マガクはまだ人間年齢でも成人していないし、獣人としてはまだまだ子供である。
恋に盲目で、相手の気持ちに気付けるほど余裕がない。
これが落ち着きを持ち、ジャクタル女王の内面を考えられるようになったら想いは叶うだろう。
サイヒから見て何とも甘酸っぱい青春をしているものである。
ブーケトスはマガクに投げてやるべきか本気で考えてしまった。
ルーシュにも取らせてやりたいし、勿論姉であるマーガレットに捧げたい気持ちもある。
自分に自信がない聖女であるサラにとらせてやりたい気もする。
(トス用のブーケを増やしてみようか?)
いや、それは流石にルール違反である。
全能神のサイヒがアリと言ったらアリになってしまうのだが。
何せ全能神。
サイヒが黒と言ったら白も黒だ。
実際そうなる。
「サイヒ、ブロッコリートスもあるぞ?」
何を考えているか読まれたらしい。
流石は聖女王。
100年以上の国の統治をしている強者である。
まだ若いサイヒの考え何ぞ簡単に読まれたらしい。
亀の甲より年の功である。
「それがありましたね。ルークに投げさせます。ブロッコリー用意しないといけないな」
「マヨネーズも添えてやれ」
「ちゃんと封してマヨネーズも添えましょう。ブロッコリーの料理なんて大陸では珍しいですもんね」
「昔は簡単に手に入ったんだがな。流行病でブロッコリーの種が絶滅寸前までいったからな」
「では全能神としてブロッコリーの手配をしましょう。体に良いですもんね。後ゴーヤの手配ですね…どこぞの司教のせいでゴーヤが独占されてますから………」
「ゴーヤが、何かあったのか?」
「まぁ…あまり説明したくない案件です。その辺りはディノート組に頑張って貰いましょう。政治に手を出さない全能神がモットーなので」
「お前が口を紡ぐとか碌な案件じゃなさそうだな…まぁ、何と言うか頑張れ」
「初の全能神のお仕事がゴーヤか…滅入る………」
「それよりサイヒ、こんなに時間使っていて良いの?」
「マガクが真面目な事言っている。感慨深い」
「サイヒ、俺だってちゃんと仕事が出来る男目指してるんだからね」
「ふふ、頑張れマガク。早くイイ男になってシジュン様を捕まえるんだな、応援している。それでは私は愛する番に捕まえられに行くとしよう。おそらく今物凄く酷いメンタルになっている筈だ。何も言わずに出て来たからな」
「伴侶大切にしてやれよ………」
ジャクタル女王が呆れた声をあげた。
何と言うか、サイヒの伴侶は苦労しそうである。
実際に苦労するのは伴侶の側近の方であるが。
その事はルーシュくらいしか理解していないだろう。
頑張れ側近。
今日もポーションが美味しいぞ。
「では後で」
サイヒは【空間転移】の神術であっという間に消えてしまった。
全能神になっても嵐のような存在である。
そうしてジャクタル女王とマガクも案内に来た武官により白亜の宮殿へ入る事になる。
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ゴーヤの件が気になる方は【婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~】を読んでみて下さい。
ろくでもないお話です。
苦情は受け付けれないので読むときは清涼剤を用意して読みましょう。
気分が悪くなっても責任取りかねますので(;^ω^)
「お前は人間離れしてるとは思っていたが、まさか本当に人間辞めているとは思わなかったぞ?」
「しかも全能神て神様の中で1番偉い人なんだよね?」
「まぁ今の所天界の最高権力者ではあるな」
「んじゃ好きに地上作り替えたり出来るの?」
「出来るが何か作り変えて欲しいものがあるのかマガク?」
マーガレットとローズ以外で唯一幼い頃から交流のあるマガクはサイヒにはかなり喋りやすい存在だ。
親友、とはいかなくても仲の良い友人枠だとは思っている。
何よりマガクはサイヒに魅了されない所が良い。
何を置いても女王ファーストなのだ。
ジャクタル女王以外に興味が無いので、あっさりとしたその性格は付き合いやすい。
「ん~地上作り替えて欲しいと言うより俺以外の男が女王様に手出せないようにして欲しい」
「はぁ、お前は何を言っているのだマガク……」
マガクの言葉にジャクタル女王が大きな溜息を吐いた。
好かれるのは嫌ではないが、こうも執着心と独占欲が強くては部下としては問題である。
「うん、出来ない事は無いがな、そう言う手はシジュン様は嫌いだと思うぞ?」
「そうなの女王様?」
コテリ、とマガクが首を傾げる。
母性本能を擽る幼いその仕種が様になるのがこの美少年の厄介な所だ。
思わず何でも言う事を聞いてやりたくなる。
が、育ての親であるジャクタル女王には効かない。
マガクと年がそう変わらないように見えても女王は200歳を超えているのだ。
一々子供のおねだりに振り回されるようなメンタルはしていない。
「当然だ。他人の手を借りる輩の手を取るほど私は落ちぶれていないぞ」
「だ、そうだ。自分で頑張るんだなマガク」
女王とサイヒに駄目だしされマガクが頬をプクーと膨らます。
本当に仕種と容姿だけは可愛い少年なのだ。
だが内面が可愛くないことをサイヒも女王も知っている。
こう見えてこの美少年は女王が係わると人(鳥?)が変わるのだ。
闇堕ち気味の時のマガクは質が悪い。
ここ10年、ジャクタル女王に縁談の話しが上がらないのはマガクが裏から潰しているからである。
無邪気な顔をしてやることはエゲツナイし、手段も問わない。
何気にジャクタル王国の上層部では危険物扱いされているのだマガクは。
まぁソレを分かっていて傍に置いているのだから、ジャクタル女王もマガクがそれ相応の力と権力を付けたらその想いに応えてやるつもりはあるのかもしれない。
と言うかそのつもりがあるから、200歳も年の離れた自分よりまだ能力の低いマガクを側近として置いているのだ。
知らぬは本人ばかりである。
マガクはまだ人間年齢でも成人していないし、獣人としてはまだまだ子供である。
恋に盲目で、相手の気持ちに気付けるほど余裕がない。
これが落ち着きを持ち、ジャクタル女王の内面を考えられるようになったら想いは叶うだろう。
サイヒから見て何とも甘酸っぱい青春をしているものである。
ブーケトスはマガクに投げてやるべきか本気で考えてしまった。
ルーシュにも取らせてやりたいし、勿論姉であるマーガレットに捧げたい気持ちもある。
自分に自信がない聖女であるサラにとらせてやりたい気もする。
(トス用のブーケを増やしてみようか?)
いや、それは流石にルール違反である。
全能神のサイヒがアリと言ったらアリになってしまうのだが。
何せ全能神。
サイヒが黒と言ったら白も黒だ。
実際そうなる。
「サイヒ、ブロッコリートスもあるぞ?」
何を考えているか読まれたらしい。
流石は聖女王。
100年以上の国の統治をしている強者である。
まだ若いサイヒの考え何ぞ簡単に読まれたらしい。
亀の甲より年の功である。
「それがありましたね。ルークに投げさせます。ブロッコリー用意しないといけないな」
「マヨネーズも添えてやれ」
「ちゃんと封してマヨネーズも添えましょう。ブロッコリーの料理なんて大陸では珍しいですもんね」
「昔は簡単に手に入ったんだがな。流行病でブロッコリーの種が絶滅寸前までいったからな」
「では全能神としてブロッコリーの手配をしましょう。体に良いですもんね。後ゴーヤの手配ですね…どこぞの司教のせいでゴーヤが独占されてますから………」
「ゴーヤが、何かあったのか?」
「まぁ…あまり説明したくない案件です。その辺りはディノート組に頑張って貰いましょう。政治に手を出さない全能神がモットーなので」
「お前が口を紡ぐとか碌な案件じゃなさそうだな…まぁ、何と言うか頑張れ」
「初の全能神のお仕事がゴーヤか…滅入る………」
「それよりサイヒ、こんなに時間使っていて良いの?」
「マガクが真面目な事言っている。感慨深い」
「サイヒ、俺だってちゃんと仕事が出来る男目指してるんだからね」
「ふふ、頑張れマガク。早くイイ男になってシジュン様を捕まえるんだな、応援している。それでは私は愛する番に捕まえられに行くとしよう。おそらく今物凄く酷いメンタルになっている筈だ。何も言わずに出て来たからな」
「伴侶大切にしてやれよ………」
ジャクタル女王が呆れた声をあげた。
何と言うか、サイヒの伴侶は苦労しそうである。
実際に苦労するのは伴侶の側近の方であるが。
その事はルーシュくらいしか理解していないだろう。
頑張れ側近。
今日もポーションが美味しいぞ。
「では後で」
サイヒは【空間転移】の神術であっという間に消えてしまった。
全能神になっても嵐のような存在である。
そうしてジャクタル女王とマガクも案内に来た武官により白亜の宮殿へ入る事になる。
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ゴーヤの件が気になる方は【婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~】を読んでみて下さい。
ろくでもないお話です。
苦情は受け付けれないので読むときは清涼剤を用意して読みましょう。
気分が悪くなっても責任取りかねますので(;^ω^)
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