148 / 297
そして全能神は愉快犯となった
【126話】
しおりを挟む
その日珍しくサイヒは女装していた。
いや、サイヒは女なのだから女装と言うのは少し違うのだが、その言葉が見事にしっくり当て嵌まるのでしようがない。
何故そのような恰好をしているのか?
それは女でないと入れない店に入る為だ。
女でないと入れない店。
様々な愛らしいからセクシー迄の身に付けるものを売っているお店。
下着屋であった。
「ユラさん、下着くらい1人で買いましょうよ」
「無理!絶対無理!可愛い下着とか、1人で買うとか無理!!」
コミュ障気味の喪女、ユラにはブランド品の下着屋に入るのはハードルが高すぎたのだ。
そしてサイヒが付き添いとして着ている訳である。
ちなみに今のサイヒは黒髪はそのままに、瞳の色は若葉色に変えている。
髪まで変えると『リリー・オブ・ザ・ヴァリー』と同色になってしまうので瞳の色だけ変えてあるわけだ。
『リリー・オブ・ザ・ヴァリー』は男で通しているので、女ではないかと疑いの目が向けられるのは少しでも減らしたい。
なので瞳だけなのだ。
ちゃんと【認識阻害・中】をかけているので全能神が王都の下着屋迄足を運んでいると気付く者は居ないだろう。
「で、何で下着を新調したいのですか?」
ニヨニヨと笑いながら尋ねる。
理由など分かっている癖に、この愉快犯は先祖の友人を揶揄いたくて仕方ないらしい。
先祖も愉快犯だが子孫のサイヒも十分愉快犯である。
「だって…下着が可愛くなくてがっかりされたらイヤだし………」
「ほぅ、下着を見せる相手が出来たと?」
「出来てない!相手できてないから!!まだ全然そんなんじゃないから!!」
「はいはい、”まだ”ですね」
「うぅぅぅぅ~」
ユラの顔は真っ赤である。
このぶんなら体の方も真っ赤かも知れない。
まぁ今の状態では見れないので確認できないが。
それでも店に入ってしまえば試着があるし、肌を見る機会もあるだろう。
サイヒはそこまでユラの肌に執着はしていないが。
揶揄えるならその状況は大変面白そうである。
サイヒは愉快犯で少々外道であった。
:::
「お客様~良いのは見つかりましたか~?」
アパレル店あるある”やたらと話しかけてくる量産型従業員”が現れた。
【コマンド】
・話す
▶・逃げる
ユラは逃げようとした。
だが回り込まれてしまった。
「サイズの確認はいかがですか~?ちゃんとサイズの合ってるものを付けないと形も崩れますよ~」
さすがは量産型店員。
脅しをジャブに打ってくる。
サイズを計られたら最後、サイズの合う下着を全て持って来られる危険性がある。
「あぅあぅ…」
「アンダー65のCカップだ。しばらくは下着をゆっくり見たいから2人にしてくれると有難い。試着の際には声をかけよう」
ニコリ、とサイヒが微笑んで店員に告げた
「は、はははははいぃ~」
【サイヒは敵を追い払った】
「ありがとうサイヒちゃん~~~グズッ」
「泣くような事ですか?」
「だって~だって~……」
「まぁ理解してくれる者で良かったです」
「いや、あんなに色気振りまいて…あの店員さん腰砕けになってフラフラしながら帰って行ったわよ。あれは理解じゃなくて色仕掛けだと思うのだけど」
「色気、振りまいてましたか?今日はちゃんと女に見える格好をしてきたのですが」
確かに女に見える格好である。
服装はユニセックスのものだが、布を押し上げて主張する胸元で女だと分かる。
なのに何処か女を堕とす、性別をものともしないフェロモンが発生しているのだ。
何この全能神、怖い…。
そう思ったユラは悪くない。
サイヒの質が悪過ぎるはずだ。
だが今回はその質の悪さに救われた。
もう量産型店員は現れないだろう。
「さて下着を選びましょうか。どういったのが欲しいんですか?」
「う~ん、下手に若作りしてないけど、それなりに可愛い奴、かな?」
「可愛い系ですね。セクシー系は選択肢には無いんですか?」
「せ、せせせせセクシーはまだ私には早い、です……」
(う~ん、真っ赤だ。ドラジュが見たら喜ぶのだろうなぁ)
「じゃぁコレとか?」
「それ紐じゃない!?」
「じゃぁこっち?」
「なんでそんな違和感のある所にリボン付いているの!?それリボン解いたら全部見えちゃうじゃない!!」
「ではコレ?」
「全体レースは履いてないも同然じゃないの?違うの!?」
(面白い、大変面白い。ドラジュの気持ちが少し分かったな)
揶揄い易すぎる。
リアクションもこちらが求めたモノが帰って来る。
ユラへのアプローチが少々意地悪な行動なドラジュの気持ちが少し分かってしまったサイヒだった。
結局セクシー系は一切購入せず、幼過ぎない愛らしいデザインのブラとショーツを数枚購入した。
ついでにサイヒも下着を購入した。
ユラに勧めていたセクシー系の物ばかりを。
今夜のルークはケダモノルークかも知れない。
「早く見せる機会があったら良いですね」
「べ、別に見せるために買った訳じゃなくて!万が一見えた時がっかりされたくないだけだから!特に誰かに見せるために買った訳じゃないから!!」
「はいはい、ドラジュには下着の柄を伝えるのは止めておきますよ」
ニッ、とサイヒが唇を吊り上げた。
その言葉に真っ赤になって、ユラはショートしてしまうのだった。
いや、サイヒは女なのだから女装と言うのは少し違うのだが、その言葉が見事にしっくり当て嵌まるのでしようがない。
何故そのような恰好をしているのか?
それは女でないと入れない店に入る為だ。
女でないと入れない店。
様々な愛らしいからセクシー迄の身に付けるものを売っているお店。
下着屋であった。
「ユラさん、下着くらい1人で買いましょうよ」
「無理!絶対無理!可愛い下着とか、1人で買うとか無理!!」
コミュ障気味の喪女、ユラにはブランド品の下着屋に入るのはハードルが高すぎたのだ。
そしてサイヒが付き添いとして着ている訳である。
ちなみに今のサイヒは黒髪はそのままに、瞳の色は若葉色に変えている。
髪まで変えると『リリー・オブ・ザ・ヴァリー』と同色になってしまうので瞳の色だけ変えてあるわけだ。
『リリー・オブ・ザ・ヴァリー』は男で通しているので、女ではないかと疑いの目が向けられるのは少しでも減らしたい。
なので瞳だけなのだ。
ちゃんと【認識阻害・中】をかけているので全能神が王都の下着屋迄足を運んでいると気付く者は居ないだろう。
「で、何で下着を新調したいのですか?」
ニヨニヨと笑いながら尋ねる。
理由など分かっている癖に、この愉快犯は先祖の友人を揶揄いたくて仕方ないらしい。
先祖も愉快犯だが子孫のサイヒも十分愉快犯である。
「だって…下着が可愛くなくてがっかりされたらイヤだし………」
「ほぅ、下着を見せる相手が出来たと?」
「出来てない!相手できてないから!!まだ全然そんなんじゃないから!!」
「はいはい、”まだ”ですね」
「うぅぅぅぅ~」
ユラの顔は真っ赤である。
このぶんなら体の方も真っ赤かも知れない。
まぁ今の状態では見れないので確認できないが。
それでも店に入ってしまえば試着があるし、肌を見る機会もあるだろう。
サイヒはそこまでユラの肌に執着はしていないが。
揶揄えるならその状況は大変面白そうである。
サイヒは愉快犯で少々外道であった。
:::
「お客様~良いのは見つかりましたか~?」
アパレル店あるある”やたらと話しかけてくる量産型従業員”が現れた。
【コマンド】
・話す
▶・逃げる
ユラは逃げようとした。
だが回り込まれてしまった。
「サイズの確認はいかがですか~?ちゃんとサイズの合ってるものを付けないと形も崩れますよ~」
さすがは量産型店員。
脅しをジャブに打ってくる。
サイズを計られたら最後、サイズの合う下着を全て持って来られる危険性がある。
「あぅあぅ…」
「アンダー65のCカップだ。しばらくは下着をゆっくり見たいから2人にしてくれると有難い。試着の際には声をかけよう」
ニコリ、とサイヒが微笑んで店員に告げた
「は、はははははいぃ~」
【サイヒは敵を追い払った】
「ありがとうサイヒちゃん~~~グズッ」
「泣くような事ですか?」
「だって~だって~……」
「まぁ理解してくれる者で良かったです」
「いや、あんなに色気振りまいて…あの店員さん腰砕けになってフラフラしながら帰って行ったわよ。あれは理解じゃなくて色仕掛けだと思うのだけど」
「色気、振りまいてましたか?今日はちゃんと女に見える格好をしてきたのですが」
確かに女に見える格好である。
服装はユニセックスのものだが、布を押し上げて主張する胸元で女だと分かる。
なのに何処か女を堕とす、性別をものともしないフェロモンが発生しているのだ。
何この全能神、怖い…。
そう思ったユラは悪くない。
サイヒの質が悪過ぎるはずだ。
だが今回はその質の悪さに救われた。
もう量産型店員は現れないだろう。
「さて下着を選びましょうか。どういったのが欲しいんですか?」
「う~ん、下手に若作りしてないけど、それなりに可愛い奴、かな?」
「可愛い系ですね。セクシー系は選択肢には無いんですか?」
「せ、せせせせセクシーはまだ私には早い、です……」
(う~ん、真っ赤だ。ドラジュが見たら喜ぶのだろうなぁ)
「じゃぁコレとか?」
「それ紐じゃない!?」
「じゃぁこっち?」
「なんでそんな違和感のある所にリボン付いているの!?それリボン解いたら全部見えちゃうじゃない!!」
「ではコレ?」
「全体レースは履いてないも同然じゃないの?違うの!?」
(面白い、大変面白い。ドラジュの気持ちが少し分かったな)
揶揄い易すぎる。
リアクションもこちらが求めたモノが帰って来る。
ユラへのアプローチが少々意地悪な行動なドラジュの気持ちが少し分かってしまったサイヒだった。
結局セクシー系は一切購入せず、幼過ぎない愛らしいデザインのブラとショーツを数枚購入した。
ついでにサイヒも下着を購入した。
ユラに勧めていたセクシー系の物ばかりを。
今夜のルークはケダモノルークかも知れない。
「早く見せる機会があったら良いですね」
「べ、別に見せるために買った訳じゃなくて!万が一見えた時がっかりされたくないだけだから!特に誰かに見せるために買った訳じゃないから!!」
「はいはい、ドラジュには下着の柄を伝えるのは止めておきますよ」
ニッ、とサイヒが唇を吊り上げた。
その言葉に真っ赤になって、ユラはショートしてしまうのだった。
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる