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そして全能神は愉快犯となった
【139話】
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ギィンッ!!
ダイカーン伯爵の剣が折れる。
護衛が持っていたのは所詮そこいらにある剣だ。
リリーの剣とは格が違う。
リリーの剣は魔力が込められるミドルソードだ。
材質はミスリル。
最初から素材の差があるのに、そこに魔力を乗せられたら普通の剣が打ち合いで持ち堪えられる訳がない。
「はい、リーチ」
リリーの剣がダイカーン伯爵の喉元に突き立てられる。
ツプリ
薄皮1枚だけを切り裂き、血が1滴喉を流れていった。
「お前の負けだ」
「クソクソクソクソッ!何故、何故お前のような存在が!!」
ダイカーン伯爵の欲しいものをすべて持っているリリー・オブ・ザ・ヴァリー。
美貌も能力も。
目と鼻と耳と口から血を流しながらダイカーン伯爵は呪いの籠った目でリリーを睨んだ。
だからと言って何が起こるでもない。
リリーはそんなものに恐怖は抱かない。
己より劣る者の恨みなど恐ろしくもない。
リリーに恐怖を抱かせることが出来るのは、その家族に危害が及んだ時であろう。
その家族も一筋縄でいくものは存在しないが。
「哀れだな、歴史ある伯爵家に生まれて法力が無いとは。年相応の老い、さぞや苦しんだだろう」
「同情する気か小僧!」
「いいや、同情なんてするものか。お前は哀れだが、それ以上にやりすぎた。お前が手にした乙女たちはお前よりさらに哀れだ。愛していない男との間に無理やり子供を作らせられるのだからな」
「新しい、体さえあれば!」
「もうソレは呪いだよ伯爵。そこまで手を染めてはいけない。お前は留まるラインを踏み越えた。罪には罰を…」
リリーの手がダイカーン伯爵の額に伸びる。
そして光る指先でその額に触れた。
ドクンッ
ダイカーン伯爵の心臓が激しく動く。
「き、さま…何、を……!?」
「少しは純潔を散らされた乙女たちの気持ちを理解するんだな」
心臓の鼓動が早い。
体が火照る。
汗が止めどなく流れる。
腰が砕けて足に力が入らない。
ダイカーン伯爵の息が上がる。
その様を、リリーはダイカーン伯爵に触れた指先をハンカチで拭きながら眺めていた。
「伯爵、ご無事ですか!?」
護衛の男がダイカーン伯爵の肩を掴む。
「うああああああああああっ!!!」
ドクドクドクドク
ダイカーン伯爵の体が痙攣した。
「貴様!伯爵に何をした!?」
「何かしてるのはお前だろう護衛?」
「何?」
ヒューヒューと喉の絞まった呼吸がダイカーン伯爵の口から洩れる。
「はな、せ…うっあああああああっ!!!」
ドクドクドクドク
「何が…!?」
護衛の男は気付いた。
ダイカーン伯爵のズボンの股部分がぐっしょりと濡れて床を濡らしているのだ。
「女の気持ちを分かるようにな、男に触れられただけでも絶頂出来るほどに感度を上げてやった。尿を漏らすほどの吐精はどうだ?気持ち良いだろう?
お前が少女たちに媚薬を盛ったように、ちゃんと好きでもない男が触れても感じるようにしてやったぞ。ついでに女に触れると体に虫唾が走るようにしておいた。
これで女はもう抱けまい?そんなに早漏では男も抱けんな、これからは男に掘られる人生を楽しむがいいよダイカーン伯爵」
クツクツと肉食獣のような獰猛な笑みで喉でリリーが笑う。
その場にいた誰もがその笑みに恐怖を抱いた。
「おっと、か弱き乙女を脅してはいかんな」
リリーはその笑みを引っこめると、先ほどとは真逆の酷く優しい笑みを浮かべる。
「もう大丈夫ですよ、お姫様」
柔らかい笑顔を浮かべたリリーはクムリーに手を差し出した。
クムリーはその笑顔に見惚れて、ぽーっと頬をバラ色に染める。
そして差し出された手を取る。
「キャッ!」
可愛い悲鳴が上がる。
リリーが腕を引いて、クムリーをお姫様抱っこをしたのだ。
「しっかり首に手を廻して?」
「は、はい………」
なんと言うかクムリーはもういっぱいいっぱいであった。
そうしてクムリーはリリーに抱きかかえられたままチャペルを後にしたのだった。
絶頂が激しすぎて意識を失ったダイカーン伯爵を放置して。
ダイカーン伯爵の剣が折れる。
護衛が持っていたのは所詮そこいらにある剣だ。
リリーの剣とは格が違う。
リリーの剣は魔力が込められるミドルソードだ。
材質はミスリル。
最初から素材の差があるのに、そこに魔力を乗せられたら普通の剣が打ち合いで持ち堪えられる訳がない。
「はい、リーチ」
リリーの剣がダイカーン伯爵の喉元に突き立てられる。
ツプリ
薄皮1枚だけを切り裂き、血が1滴喉を流れていった。
「お前の負けだ」
「クソクソクソクソッ!何故、何故お前のような存在が!!」
ダイカーン伯爵の欲しいものをすべて持っているリリー・オブ・ザ・ヴァリー。
美貌も能力も。
目と鼻と耳と口から血を流しながらダイカーン伯爵は呪いの籠った目でリリーを睨んだ。
だからと言って何が起こるでもない。
リリーはそんなものに恐怖は抱かない。
己より劣る者の恨みなど恐ろしくもない。
リリーに恐怖を抱かせることが出来るのは、その家族に危害が及んだ時であろう。
その家族も一筋縄でいくものは存在しないが。
「哀れだな、歴史ある伯爵家に生まれて法力が無いとは。年相応の老い、さぞや苦しんだだろう」
「同情する気か小僧!」
「いいや、同情なんてするものか。お前は哀れだが、それ以上にやりすぎた。お前が手にした乙女たちはお前よりさらに哀れだ。愛していない男との間に無理やり子供を作らせられるのだからな」
「新しい、体さえあれば!」
「もうソレは呪いだよ伯爵。そこまで手を染めてはいけない。お前は留まるラインを踏み越えた。罪には罰を…」
リリーの手がダイカーン伯爵の額に伸びる。
そして光る指先でその額に触れた。
ドクンッ
ダイカーン伯爵の心臓が激しく動く。
「き、さま…何、を……!?」
「少しは純潔を散らされた乙女たちの気持ちを理解するんだな」
心臓の鼓動が早い。
体が火照る。
汗が止めどなく流れる。
腰が砕けて足に力が入らない。
ダイカーン伯爵の息が上がる。
その様を、リリーはダイカーン伯爵に触れた指先をハンカチで拭きながら眺めていた。
「伯爵、ご無事ですか!?」
護衛の男がダイカーン伯爵の肩を掴む。
「うああああああああああっ!!!」
ドクドクドクドク
ダイカーン伯爵の体が痙攣した。
「貴様!伯爵に何をした!?」
「何かしてるのはお前だろう護衛?」
「何?」
ヒューヒューと喉の絞まった呼吸がダイカーン伯爵の口から洩れる。
「はな、せ…うっあああああああっ!!!」
ドクドクドクドク
「何が…!?」
護衛の男は気付いた。
ダイカーン伯爵のズボンの股部分がぐっしょりと濡れて床を濡らしているのだ。
「女の気持ちを分かるようにな、男に触れられただけでも絶頂出来るほどに感度を上げてやった。尿を漏らすほどの吐精はどうだ?気持ち良いだろう?
お前が少女たちに媚薬を盛ったように、ちゃんと好きでもない男が触れても感じるようにしてやったぞ。ついでに女に触れると体に虫唾が走るようにしておいた。
これで女はもう抱けまい?そんなに早漏では男も抱けんな、これからは男に掘られる人生を楽しむがいいよダイカーン伯爵」
クツクツと肉食獣のような獰猛な笑みで喉でリリーが笑う。
その場にいた誰もがその笑みに恐怖を抱いた。
「おっと、か弱き乙女を脅してはいかんな」
リリーはその笑みを引っこめると、先ほどとは真逆の酷く優しい笑みを浮かべる。
「もう大丈夫ですよ、お姫様」
柔らかい笑顔を浮かべたリリーはクムリーに手を差し出した。
クムリーはその笑顔に見惚れて、ぽーっと頬をバラ色に染める。
そして差し出された手を取る。
「キャッ!」
可愛い悲鳴が上がる。
リリーが腕を引いて、クムリーをお姫様抱っこをしたのだ。
「しっかり首に手を廻して?」
「は、はい………」
なんと言うかクムリーはもういっぱいいっぱいであった。
そうしてクムリーはリリーに抱きかかえられたままチャペルを後にしたのだった。
絶頂が激しすぎて意識を失ったダイカーン伯爵を放置して。
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