181 / 297
そして全能神は愉快犯となった
【158話】
しおりを挟む
「と、言う訳で今日からドラジュは毎日1回私と手合わせすることとする」
普段笑顔のドラジュの笑みが固まった。
「………何ででしょう?」
「ユラさん」
ピクリ
ドラジュが身じろぐ。
どうやら何が原因か心当たりがあるらしい。
「最近ユラさんが私に助けを求める事が多くてな。いい加減にしてくれないと私とルークがいちゃつく時間が減る。このままでは欲求不満で爆発するぞ、私が。
私と手合わせしてどこまで立ち回れるかで本日のユラさんとの時間を決める事にするぞ」
「そんな!それはもうユラさんに手出しするなと言っているのと同じではないですか母様!!」
「だったら私とルークがいちゃつく時間を捻出してみろ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
何かもう背景が神力で歪みそうなほど殺気をまき散らしている。
大人げない。
そして母親としてその言い分は息子に対してどうかと思う。
だがソレを咎められる者は居ない。
だって全能神だし?
負ける喧嘩を吹っ掛ける愚か者はこの天界には存在しない。
1人だけいるには居る。
その人物はサイヒの宣言に頬を染めて蕩けた目でサイヒを見つめるルークである。
サイヒのルーク愛からの暴走だ。
乙女なら恥ずかしくも嬉しくない訳がない。
つまりルークは乙女なので息子の応援も味方もしない。
2人きりでイチャイチャしたいのはルークも同じなのだ。
そしてルークは現在サイヒをユラに取られそうでしょんぼりだったのだ。
そのサイヒが。
ユラに最近付きっ切りだったサイヒが自分を優先してくれている。
ルークはもう目に♡を浮かべてサイヒを穴が開くほど見ている。
格好良い。
あの格好良い存在が自分とイチャイチャしたいとか言ってくれているのだ。
ときめかない訳がない。
「カマラは愛を貫いたぞ?お前は自分で愛する者との時間を作る努力をせんつもりか?」
「うっ………」
そう今は詳しく言えないが現在ドラジュの双子の半身であるカマラは、地上で伴侶と愛を育んでいる。
己の何もかもを捨てて愛する者のために地上に降りたカマラ。
そして愛を貫き全てを手に入れたカマラ。
親愛する半身がソレをやりきったのだ。
自分に出来ない筈が無い。
ドラジュは唾をのみ込んだ。
「分かりました母様、その手合わせ、受けさせて頂きます!」
全てを捨てて地上に行く方が、全能神との毎日の手合わせより難易度が低いのではないかと周囲の者は思ったが口にするものは居なかった。
ドラジュがこれ以後ユラ欠乏症に陥ったりするが、ソレは後の話である。
全能神強すぎる………。
そしてその日からルークは、最近の不機嫌だったのが噓のように、ご機嫌で朝の仕事に取りかかるようになったと言う。
普段笑顔のドラジュの笑みが固まった。
「………何ででしょう?」
「ユラさん」
ピクリ
ドラジュが身じろぐ。
どうやら何が原因か心当たりがあるらしい。
「最近ユラさんが私に助けを求める事が多くてな。いい加減にしてくれないと私とルークがいちゃつく時間が減る。このままでは欲求不満で爆発するぞ、私が。
私と手合わせしてどこまで立ち回れるかで本日のユラさんとの時間を決める事にするぞ」
「そんな!それはもうユラさんに手出しするなと言っているのと同じではないですか母様!!」
「だったら私とルークがいちゃつく時間を捻出してみろ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
何かもう背景が神力で歪みそうなほど殺気をまき散らしている。
大人げない。
そして母親としてその言い分は息子に対してどうかと思う。
だがソレを咎められる者は居ない。
だって全能神だし?
負ける喧嘩を吹っ掛ける愚か者はこの天界には存在しない。
1人だけいるには居る。
その人物はサイヒの宣言に頬を染めて蕩けた目でサイヒを見つめるルークである。
サイヒのルーク愛からの暴走だ。
乙女なら恥ずかしくも嬉しくない訳がない。
つまりルークは乙女なので息子の応援も味方もしない。
2人きりでイチャイチャしたいのはルークも同じなのだ。
そしてルークは現在サイヒをユラに取られそうでしょんぼりだったのだ。
そのサイヒが。
ユラに最近付きっ切りだったサイヒが自分を優先してくれている。
ルークはもう目に♡を浮かべてサイヒを穴が開くほど見ている。
格好良い。
あの格好良い存在が自分とイチャイチャしたいとか言ってくれているのだ。
ときめかない訳がない。
「カマラは愛を貫いたぞ?お前は自分で愛する者との時間を作る努力をせんつもりか?」
「うっ………」
そう今は詳しく言えないが現在ドラジュの双子の半身であるカマラは、地上で伴侶と愛を育んでいる。
己の何もかもを捨てて愛する者のために地上に降りたカマラ。
そして愛を貫き全てを手に入れたカマラ。
親愛する半身がソレをやりきったのだ。
自分に出来ない筈が無い。
ドラジュは唾をのみ込んだ。
「分かりました母様、その手合わせ、受けさせて頂きます!」
全てを捨てて地上に行く方が、全能神との毎日の手合わせより難易度が低いのではないかと周囲の者は思ったが口にするものは居なかった。
ドラジュがこれ以後ユラ欠乏症に陥ったりするが、ソレは後の話である。
全能神強すぎる………。
そしてその日からルークは、最近の不機嫌だったのが噓のように、ご機嫌で朝の仕事に取りかかるようになったと言う。
2
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる