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そして全能神は愉快犯となった

【169話】

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「あったな」

「コレが道の駅……」

 ルークが目をキラキラさせる。
 どうも最近のルークは幼児化が進んでいるような気がする。
 いや、前からこうだっただろうか?

 まぁサイヒ的にはピュアルークもワイルドルークもご馳走なので問題ない。

「サイヒ、野菜が売っている!新鮮だ!このナスなんて黒くて太くて長くて美味しそうだぞ」

 ルークが農林産物直売所でナスを手に取って微笑んだ。

「うっ!」

「くっ!」

「ふんっ!!」

 大勢の男達が前屈みになった。
 仕方あるまい。
 ルークは何も考えずに無邪気に感想を述べただけである。
 選んだ野菜と言葉のワードが悪かった。

 ちなみに前屈みになった男の近くに居た女たちが冷たい目で男たちを見る。

 仕方あるまい。
 ルークの色気はそこいらの女子に出せるものでは無いのだよ。
 サイヒは心の中で「私の番は可愛いかろう」と気分を上昇させた。

「サイヒ、肉まんだ!食べよう」

「では2つ貰おうか」

 とんでもない美貌の男性2人組に注文されて、もう月の物も上がったお婆ちゃんが頬をポッ、と赤く染めた。
 年をとっても女は女。
 美形の男には弱いのである。

 そう、サイヒは現在男装だ。
 こちらの方が動きやすいししっくりくるので自然普段着が男物になる。
 ルークは男装姿のサイヒにもメロメロなので無問題だ。

「ホカホカだな、サイヒ」

「あぁ、温かくて柔らかくて良い匂いがする。何時までも愛でることが出来そうだ」

「肉まんは愛でるもんでなく食べるものだサイヒ」

「ふふ、分かっているさルーク。では私も温かい間に頂こう。ん、熱いな、汁(肉汁)がトロトロ溢れて来て、中も柔らかくて最高の肉だな」

(((((あぁぁぁぁぁぁぁぁ美少年が卑猥な言葉をぉぉぉぉぉぉぉっ!!あぁんしゅごぃぃぃぃエッチィィィィィィィィィッ!!!))))))

 腰が砕けている女性が急増した。
 サイヒの色気は女により効くのである。

「ルーク、今日はここの温泉に泊まろうか」

「また布団一緒でも良いか?やはりサイヒの匂いは安心する」

「悪い訳が無いだろう」

 美貌の2人が頭を寄せ合って、こしょこしょと内緒話をする。
 眼福である。
 道の駅に来ていた女性たちは網膜にその光景を焼き付けた。

 ”丹波山温泉 のめこい湯”
 「のめっこい」とは丹波山の方言で「つるつる、すべすべ」という意味です。
 源泉温度44度の硫黄泉は、神経痛、筋肉痛、冷え性、疲労回復などの一般効能に加え、
 入浴後にはしっとりつるつるする美人の湯として評判。
 丹波川沿いの趣あふれる景色に囲まれて、心も体もゆったりくつろいで行きませんか?

「ふむ、これ以上ルークが魅力的になると困るな」

「それはこちらの台詞だぞ!」

「ふむ、宿泊施設が出来たのは最近のようだな。食事は食事処でとるのか。部屋に持ってきてくれるサービスは無いらしい。
”郷土料理から洋食まで幅広いメニューをご提供いたします。
狼ビールや百名山の日本酒などもご用意しております。”とのことだ。メニューは良く見るものだがこう言う所で食べるのは別格だからな。楽しみだ。
丹波山名物のジビエ「鹿肉」メニューが豊富だな…鹿肉ばぁーがー、鹿肉ゴロッケ、鹿カレー、鹿肉そば・・・などなど、か。私は普段ジビエは嗜まないから、折角だし挑戦してみようか」

「鹿肉は美味しいぞサイヒ!」

「うーん、あの愛らしい姿を見ると食べるのが可哀そうになってな…ジビエは得意では無いんだ。豚・牛・鶏なんかは家畜として頭に染みついているから食べれるんだが……」

「サイヒの可愛い所を知った……」

「お前は可愛さの塊だがなルーク」

「ひゃ♡」

 耳に息を吹きかけながら囁かれ、ルークが可愛い声を出す。
 周囲の男性たちがまた前屈みになっているがどうか許してやって欲しい。
 こうして2人は”のめいこの湯”で今夜を過ごすこととした。
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