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英雄は村娘になりました
2話
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この家の厨房はミュゲの城である。
5歳の幼女が一家の厨房の主とは本来なら有り得ない事だが、精神年齢2000歳のミュゲには問題ない。
ミュゲの両親もミュゲが初めての子供なので、初めての子育てと言う事で、子供と言うのはこう言う成長速度なのだろうと納得してしまっている。
若干天然の入った両親なのである。
2人とも一人っ子で、兄妹が居なかったから子供の成長速度と言うものを知らないのだ。
それに、母のウィエよりミュゲの方が圧倒的に料理が上手いのだから文句をつけるところがない。
5歳の子供がこんなに料理を作れるのを謎に思わないあたり、両親は本当に天然である。
2人揃って「ウチの娘は器用だから~♫」ですましてしまう。
コレを天然と言わずしてどんな人間を天然と言えと?
だが謎に思う両親の友人たちも、ミュゲの料理を食べれば厨房を明け渡すのも納得いくのだ。
何せ美味しい。
今までに食べた事のない味付け。
深みのある旨味が舌の上で蕩ける。
見た事ない調味料はどんな野菜にも合い、野菜嫌いな子供でもミュゲの料理なら野菜をモリモリ食べるようになるくらいだ。
もう村を上げてミュゲの料理に胃袋を掴まれているのである。
ちなみにミュゲ特製調味料の中のソースの1つに「マヨネーズ」なる物がある。
ミュゲが1日目の人生で剣聖であった頃、異世界から召喚された勇者に作り方を教わったモノである。
勇者も料理が上手かった。
その勇者に料理を習ったのだ。
ミュゲのお気に入りは「和食」である。
魔王を倒す度で剣聖の刀剣を操る手が、すっかり包丁を操る手に化けてしまったほどである。
生の魚、意外と旨い。
和食に嵌り倒したせいで、旅の間に日本食に必要な調味料をお手製で作ってしまったくらいだ。
何せ和食を食べる勇者が可愛い笑顔で食べてくれるから、すっかり料理上手になってしまった。
そう勇者は女だった。
普通の日本の食べる事が好きな学生だった。
最終的にミュゲではなく、召喚者の王太子と結ばれたが。
叶わぬ恋であったが、ミュゲの中で輝いていた時の記憶だ。
そんな記憶を持ったまま転生を繰り返したお陰で、すっかり料理上手のミュゲなのだ。
それに人の作った料理を食べるより自分の作った料理を食べる方が美味しいから、自然に自炊が多くなる。
なので2000年、自炊を極めたプロ中の料理人みたいなスキルを持つミュゲである。
美味しくない料理を食べるのは嫌なので、人生の途中から料理に関しては隠さず、自炊が得意な事をアピールすることにしている。
自分の作る料理より美味しい物を作ってくれるなら有難く頂くが。
その機会は滅多にない。
何より、母のウィエが料理があまり得意ではない。
他の家事はそうでもないが、オブラートに包みたいが、壊滅的な料理下手なのだ。
父のアルムはそんな壊滅的な料理でもウィエが作る物はちゃんと間食するが。
結婚の決め手だったらしい。
閑話休題
だがやはり2人とも味覚が死んでいる訳では無いので、美味しい料理には飢えていた。
アルムが作れば良かったかもしれないが、この山奥の村では仕事は力仕事が多い。
男手でないと出来ない仕事が多数なのだ。
やはり効率を考えると、ウィエが家事をし、アルムが働きに行くのが良い。
なのでウィエは頑張って料理を作っていたが、ミュゲの舌が限界が来た。
嫌な臭いのする厨房に飛び込んで、その場で料理の味を調えてしまった。
その日から厨房はミュゲの城になったのだった。
そしてソレはミュゲの人生を大きく左右する出来事の、大きな布石になっていたのだった。
5歳の幼女が一家の厨房の主とは本来なら有り得ない事だが、精神年齢2000歳のミュゲには問題ない。
ミュゲの両親もミュゲが初めての子供なので、初めての子育てと言う事で、子供と言うのはこう言う成長速度なのだろうと納得してしまっている。
若干天然の入った両親なのである。
2人とも一人っ子で、兄妹が居なかったから子供の成長速度と言うものを知らないのだ。
それに、母のウィエよりミュゲの方が圧倒的に料理が上手いのだから文句をつけるところがない。
5歳の子供がこんなに料理を作れるのを謎に思わないあたり、両親は本当に天然である。
2人揃って「ウチの娘は器用だから~♫」ですましてしまう。
コレを天然と言わずしてどんな人間を天然と言えと?
だが謎に思う両親の友人たちも、ミュゲの料理を食べれば厨房を明け渡すのも納得いくのだ。
何せ美味しい。
今までに食べた事のない味付け。
深みのある旨味が舌の上で蕩ける。
見た事ない調味料はどんな野菜にも合い、野菜嫌いな子供でもミュゲの料理なら野菜をモリモリ食べるようになるくらいだ。
もう村を上げてミュゲの料理に胃袋を掴まれているのである。
ちなみにミュゲ特製調味料の中のソースの1つに「マヨネーズ」なる物がある。
ミュゲが1日目の人生で剣聖であった頃、異世界から召喚された勇者に作り方を教わったモノである。
勇者も料理が上手かった。
その勇者に料理を習ったのだ。
ミュゲのお気に入りは「和食」である。
魔王を倒す度で剣聖の刀剣を操る手が、すっかり包丁を操る手に化けてしまったほどである。
生の魚、意外と旨い。
和食に嵌り倒したせいで、旅の間に日本食に必要な調味料をお手製で作ってしまったくらいだ。
何せ和食を食べる勇者が可愛い笑顔で食べてくれるから、すっかり料理上手になってしまった。
そう勇者は女だった。
普通の日本の食べる事が好きな学生だった。
最終的にミュゲではなく、召喚者の王太子と結ばれたが。
叶わぬ恋であったが、ミュゲの中で輝いていた時の記憶だ。
そんな記憶を持ったまま転生を繰り返したお陰で、すっかり料理上手のミュゲなのだ。
それに人の作った料理を食べるより自分の作った料理を食べる方が美味しいから、自然に自炊が多くなる。
なので2000年、自炊を極めたプロ中の料理人みたいなスキルを持つミュゲである。
美味しくない料理を食べるのは嫌なので、人生の途中から料理に関しては隠さず、自炊が得意な事をアピールすることにしている。
自分の作る料理より美味しい物を作ってくれるなら有難く頂くが。
その機会は滅多にない。
何より、母のウィエが料理があまり得意ではない。
他の家事はそうでもないが、オブラートに包みたいが、壊滅的な料理下手なのだ。
父のアルムはそんな壊滅的な料理でもウィエが作る物はちゃんと間食するが。
結婚の決め手だったらしい。
閑話休題
だがやはり2人とも味覚が死んでいる訳では無いので、美味しい料理には飢えていた。
アルムが作れば良かったかもしれないが、この山奥の村では仕事は力仕事が多い。
男手でないと出来ない仕事が多数なのだ。
やはり効率を考えると、ウィエが家事をし、アルムが働きに行くのが良い。
なのでウィエは頑張って料理を作っていたが、ミュゲの舌が限界が来た。
嫌な臭いのする厨房に飛び込んで、その場で料理の味を調えてしまった。
その日から厨房はミュゲの城になったのだった。
そしてソレはミュゲの人生を大きく左右する出来事の、大きな布石になっていたのだった。
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