主婦、いいえ戦業主婦ですー7回目の転生で村娘になった英雄は第2皇子に溺愛されるー

高井繭来

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英雄は村娘になりました

3話

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「ミュゲ!うちの子の体調がおかしいんだ!診に来てくれないか!!」

「村長さん、分かりました。すぐ支度をします」

 ミュゲ7歳。
 すっかり村の何でも屋さんである。

 :::

「コルシックちゃんの今日の行動を教えて下さい」

「えぇ、と…いつも通りの朝食を食べて、山の奥まで探検に行ったらしい。小さな湖を見たと言っていたな。帰って来てから暫くは大丈夫だったんだが、肌に発心が出て来て、呼吸もおかしくなって……」

(山の奥の湖…確かあそこにはアレがあったはず)

「もしかして普段食べない木の実とか食べたりしませんでしたか?例えばクルミとか」

「あぁ食べたと言っていたぞ。でも他の子もクルミは食べたし、ソレが原因になることなんてあるのか?」

「多分ナッツアレルギーでしょう。コルシックちゃんはクルミは初めてでしたよね?」

「ナッツアレ、ル、ギ?確かにクルミを食べたのは初めてだが」

「稀に特定の食べ物を受け付けない体質の人が存在するんです。コルシックちゃんは木の実に対してそう言った症状が出る体質なんでしょう。
まだ食べてからそんなに時間が経っていないから処置も可能です。取り合えず呼吸が楽になるように上半身を上げて呼吸しやすいようにしてください。あ、そのクッションを背中にかませましょう。」

(アドレナリンを用意しておいて良かったな)

 「アドレナリン」
 交感神経が興奮した状態、すなわち「闘争か逃走か (fight-or-flight)」のホルモンと呼ばれる。動物が敵から身を守る、あるいは獲物を捕食する必要にせまられるなどといった状態に相当するストレス応答を、全身の器官に引き起こす。
 運動器官への血液供給増大を引き起こす反応
 心筋収縮力の上昇
 心、肝、骨格筋の血管拡張
 皮膚、粘膜の血管収縮
 消化管運動低下
 呼吸におけるガス交換効率の上昇を引き起こす反応
 気管支平滑筋弛緩
 感覚器官の感度を上げる反応
 瞳孔散大
 痛覚の麻痺
 ・アドレナリンの投与法は、その時の病態や個人差による感受性の差があるので一律には決められないが、アナフィラキシーショックの場合は筋肉注射や皮下注射では1回投与量は0.2~0.5mlであり、原則0.5ml以下を守るべきである。
 血圧等vital signを見ながら数秒毎ないし数分毎の追加も考慮しなければならない。
 代謝は速やかなので、1回投与量および必要による複数回追加の配慮、これが治療のポイントである。
 筋注か皮下注かによる臨床上の大きな違いはない。

(まぁ簡単に言えばアレルギー症状を抑える薬だが、聖者をしていた時に転生者の医師を保護してやった時に色々な薬剤の製法を聞いておいたのは正解だったな)

 こうして山奥の村ではとても見る機会もないだろう、アドレナリン(エピネフリン)という薬の筋肉内注射(通常 0.3~0.5 mL)を子供が子供に打つと言う珍しい光景が出来上がったのだった。

 そしてミュゲは益々村の何でも屋さんとして重宝されることとなった。
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