聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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【オマケが作る近代ビール】

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「では本日はビール作りに入りたいと思います」

「フカミちゃん今日は自信ありそうだね。焼酎の時は不安合ったみたいだけど」

「1口エール飲んでみましたが俺たちの世界のビールとは別物でしたからね。焼酎に比べて作り方も大分簡単な方ですし上手くいくと思いますよ。ばっちり隠し味を入手しましたし。お手伝いして下さったミホク様にも後でお礼しなければいけないですね」

「あーそれで昨日ミホクが兵隊つれて森の方に言っていた訳か」

「本当良い働きをして頂きました」

「で、このテーブルに山ほど乗っているのが隠し味か?」

「ホップと言います。
ホップは多年生、雌雄異株のつる性の植物で、ビールの醸造には雌株につく受精していない毬花を収穫して使います。
ホップがビールに果たす重要な役割は、ビールに独特な芳香と爽快な苦味を与えること。
麦汁の過剰なたんぱく質を沈殿・分離させ、ビールを清く澄んだものにすること。
雑菌の繁殖を抑え、ビールの腐敗を防ぐこと。ビールの泡もちをよりよくすること。
などですが、このような作用はホップの有効成分であるルプリン(黄色い花粉のように見える樹脂の粒)の働きによるものです。
ビールは水・麦芽・ホップのみで作れます。
それでは工程を
▼仕込み
細かく砕いた麦芽と米などの副原料を温水と混ぜ合わせます。
適度な温度で、適当な時間保持すると、麦芽の酵素の働きででんぷん質は糖分に変わり、糖化液の状態になります。これをろ過してホップを加え、煮沸します。
ホップはビールに特有の苦味と香りをつけると同時に麦汁中のたんぱく質を凝固分離させ、液を澄ませる大切な働きをします。
こうしてできた熱麦汁は次に発酵工程に移されます。
▼発酵
 熱麦汁を5℃くらいに冷却し、これに酵母を加えて発酵タンクに入れます。
7~8日の間に酵母の働きによって、麦汁中の糖分のほとんどがアルコールと炭酸ガスに分解されます。
こうしてできあがったビールは若ビールと呼ばれ、まだビール本来の味、香りは十分ではありません。
▼貯酒
 若ビールは貯酒タンクに移され、0℃くらいの低温で数十日間貯蔵されます。
この間にビールはゆっくり熟成し、調和のとれたビールの味と香りが生まれてきます。
熟成の終わったビールはろ過され、透きとおった琥珀色のビールができあがります。
フィルド様、一昨日と同じように回復魔術・氷魔術・熱魔術をお願いします」

「ほいほい、と」

「ビールの種類を語る時には「スタイル」というのが一般的です。
ビールのスタイルは大きく3つの発酵方法に分けられ、それぞれに違いがあります。
「ラガー(下面発酵ビール)」「エール(上面発酵ビール)」「自然発酵ビール」の3スタイルです。
まずは、この3スタイルのビールについて、かんたんに説明します。
「ラガービール」は、下面発酵という発酵方法で醸造されるビールです。
下面発酵では、約10度前後の低温で発酵させ、その後に酵母が下に沈んでいきます。
ビールの製造方法では多く用いられているタイプです。
エールビールの発酵方法は、上面発酵と呼ばれるものです。
15~25度くらいの高めの温度で発酵し、その過程で酵母が上面に移動してくることから、この名で呼ばれます。
エールビールの風味は、豊かで芳醇です。
「自然発酵ビール」
ラガービールやエールビールは、造り手によって発酵させるものですが、これに対して、天然酵母を使用して自然な環境のままで発酵させるのが自然発酵ビールです。
気候の涼しい場所で、空気に存在する酵母を取り入れるため、自然発酵に適した酵母を空気中にもつ地域で製造されています。
今回作るのはラガービールですね。
ラガービールの魅力は、何といっても低温で発酵・貯蔵されたビールならではのマイルドな味わいです。
すっきりしたのどごしなので、ビールが苦手という人でも飲みやすいものが多いことから、俺の世界では世界中で愛飲されています」

 深海の指示に従ってフィルドが魔術をかけていく。
 お陰で時間は殆どかからない。
 全くもって魔術とは便利なものである。
 しかし大陸でも5本の指に入るフィルドをこの様にこき使うのはカグウと深海くらいだろう。
 フィルドの魔術のお陰で数刻で樽一杯のビールは完成した。

「では試飲してみましょうか。冷蔵庫の中に冷やしたジョッキがあるのでソレにビールをついで飲んで見て下さい。あ、フィルド様ビールはキンキンに冷やして下さいね」

「ほい、氷魔術」

 フィルドが樽ごと氷魔術でビールの温度を下げる。

「フカミ、ジョッキと言うのはこのガラス製のグラスか?変わった形をしているな」

「宮廷魔術師団のマヒロさんに錬金術で作って貰いました。あの方色々手伝ってくれるんで助かるんですよね」

「フカミちゃんいつの間にマヒロ誑し込んだの!?アイツ宮廷1の変人で有名なんだよ!誰かに力を貸すなんて珍しい!直属の上司の俺の言う事もろくに聞かないのにどうやって手懐けた訳!?」

 珍しくフィルドが本気で驚いている。
 確かにマヒロと言う存在は宮廷でも浮いている。 
 カグウ派閥でもクロナ派閥でもなく1匹狼だ。

 何を考えているか分からないしマイペースで行動も読めない。
 それを手懐けてしまうとは。

 使用人たちも「流石は聖女様のお兄様だ」などがやがやと話している。
 小声で話してはいるが厨房はそれ程広くないので深海の耳に全部入ってきているのだが。

 まぁオタク同志息が合ったと言うのが本当なところだ。
 マヒロの見たい設定の薄い本をこしらえてやれば大概のお願いは聞いて貰えるので逆に扱いやすい相手なのである。
 オタクの友情は次元も超えるモノらしい。

「まぁそのジョッキにビールを注いで飲んで見て下さい」

 ラキザが樽の蛇口をひねってジョッキにビールを注ぐ。
 他の皆は毒見は任せたとばかりにラキザを見守っている。

「うおっ泡立ちすげぇ!」

 ジョッキに口を付けて1口飲む。
 と、そのままゴクゴクとラキザはジョッキの中のビールを一気に喉の奥へ流し込んだ。

「ぷはーっ!うまっ!この喉越し、切れ味、無茶苦茶旨い!!」

 ラキザを見て使用人たちも我先にとビールを。ジョッキに注いでいく。

「う~んキンキンに冷えてて美味し♫暑い日とか運動の後とかに飲んだら最高に美味しく頂けそう♩」

「ソーセージにもよく合いますよ」

「おぉ確かに合うな!これなら晩餐会でも出せる」

 ラキザのお墨付きを貰え深海も安心する。

「では当日までにビール・焼酎・コーラの仕込み頑張りましょうか」

「「「「「オ――――ッ!!!」」」」」

 食堂に集まったシェフも使用人も拳を高く上げた。
 皆カグウに少しでも助力したいのだ。
 全くもってカグウも愛されたものだ。

 その気になればその美貌だけでクロナ派閥も自陣に鞍替えさせれるだろうにソレをしないカグウは王としてのプライドが高いのだろう。

 実力をもってしか味方を作らないカグウはだからこそ愛されるのだろうと深海は思った。
 勿論自分もその1人だと自覚しながら。
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