顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、その身を偽り皇太子の護衛として王国へと帰還する

高井繭来

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【2話】

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「もう手遅れです…ご令嬢の顔が元に戻ることは無いでしょう……」

 顔が熱いです。
 そして痛い。
 朦朧とする意識の主治医の声を聞いていました。

「クソッ、顔だけが取り柄だつたのに!これでは皇太子様に嫁がせれんでは無いか!折角の王家との繋がりが出来るチャンスだったのに!」

 父の怒気の孕んだ声が鼓膜を揺らします。
 どうやら父にとっては私は権力を手に入れるだけの道具だったようです。
 父が私を疎んでいる事をしっていましたが、それでも改めて言葉にして聞くと鼻の奥がツンと痛みました。

「だからと言って爵位はカレンに譲るとして、この娘をいつまでも家に置いて行く訳にもいかないわぁ。こんなバケモノみたいな顔の娘なんて」

 義母の言葉に胸が痛みました。
 愛情があるとは思っていませんでしたが、バケモノと言われる程嫌われているとも思っていませんでした。

「でも~お姉様は皇太子様の婚約者だったのよねぇ~?こんな姿を見たら皇太子様はきっと視界に入れるのも嫌がりますわ。もしかしたら婚約破棄の慰謝料を取られるかもしれないわぁ。いっそお姉様はご自分で姿を消した、とした方が良いのではないかしらお父様ぁ~」

 カレンが舌足らずな甘ったるい声で恐ろしい提案をします。
 実の父にも女とした媚びた声を出すカレンを、今はただただ疎ましく感じました。

「そうね、カノンには消えて貰いましょう。顔が焼けたのを苦に自殺したことにしましょう」

「それなら西の荒野の夜盗たちに売るとしよう。幸い体は無事だ。二束三文だが金にはなるだろう」

「大丈夫よぉ~顔なんて麻袋でも被せておけば見えないんだからぁ。お姉様のご無事な体は野盗達には十分価値がありますわぁ~」

 クスクスと義母とカレンの笑い声が聞こえてきます。
 そして私の顔に袋が被されました。

「!?」

「ほら、こうしてしまえば、ねぇ♡」

 本当に顔に麻袋を被せられたのです。
 紐で体を縛られます。

「後は使用人に任せよう。こう言った事が得意な使用人もウチには居るからな」

 ハハハ、と父が愉快そうに笑いました。
 本当に私に愛情が無いのですね。
 そして私は顔を失い野盗に売られる。

 涙が出てきましたがぐるぐる巻きの包帯がソレを吸い込みました。
 涙で焼かれた皮膚がジンジン痛みます。

「グッ!」

 口に布が詰められました。
 叫び声をあげる事も出来ません。

 そうして私は何者かに担ぎ上げられ、荷馬車らしきものに乗せられ邸から捨てられるのでした。
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