顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、その身を偽り皇太子の護衛として王国へと帰還する

高井繭来

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【25話】

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 本日は気分を変えてカッティングしないケーキをお茶のおともに。

 ☆材料☆
  スポンジケーキ横48×縦34×高さ4cm
  生クリーム8パック
  ストロベリー、ラズベリー、ブラックベリー等2パックずつ
  食紅少々
  ナパージュ一瓶

 ☆工程☆
 1・スポンジケーキは二段にカットしセットする。
 2・生クリームを泡立ててゆるい七分立てにする。1/3を別のボウルにとり、2/3に水でといた食紅少々を混ぜピンクに染める。
 3・スポンジケーキにピンクの生クリームを塗る。白い生クリームを搾り出し袋に入れ、縁取るように絞る。
 4・ベリーにナパージュを縫ってツヤを出して並べる。好みで食用バラ、ミント、ハートのチョコレートを飾る。
 5・ハートのチョコレートにメッセージを入れる。

 完成!!

「おぉぉぉ凄いな!夜会出てくるケーキより綺麗だ」

「久しぶりに腕を振るいたくなりまして」

「まるで…結婚式のケーキみたいだな………」

 ………
 ……………
 …………………
 
 本気で照れないで下さいよ。
 こっちも反応に困るじゃないですか。

 と言うか、皇太子様の言った通り実はこれ”ウェディングケーキ”のつもりです。

 もう誰も覚えていないでしょうけど、今日は本当なら私と皇太子様が結婚する予定だった日です。
 プレートには”HAPPY♬AFTERNOON”なんて書いているけど、本音では”HAPPY♡WEDDING”と書きたいところでした。
 流石にそれは露骨すぎるので止めましたが。

「ポリフォニーが切り分けるのか?」

「皇太子様がしたいのですか?」

「いや、切るのは任せるが…ナイフを一緒に入れたい………」

「………何を言ってるんですか?」

「駄目か?」

 ウルウルお目目で見ないで下さい。
 私の極細ポ〇キーより折れやすい理性が簡単にぽきりと折れます。
 
「はい、ではこちらを持ってください」

「ふふふ、やはりポリフォニーは優しいな」

 そんなに嬉しそうにしないで下さいよ。
 私は仮面付けてますが、口元が出てるので笑うと一発でバレるんですから。
 思わずにやけそうな口を意地で我慢。

 そして2人でケーキにナイフを入れました。

「ほら、ポリフォニーあ~ん」

「何で私が食べるんですか?」

「良いからあ~ん!」

 まぁ良いですけど。
 1口食べて、合格点を自分に出しました。
 マロン様に扱いてもらった腕は落ちてませんね。
 そこいらでは食べれない美味しいケーキが出来上がってます。

「次はポリフォニーが私に」

 そう言って口をぱかり、と開けております。
 少し子供っぽい仕草と表情に思わず微笑みが漏れてしまいそうです。
 この位の我儘、聞いてあげても良いでしょう。

「はい、あーん」

「ん」

 パクリ、とイチゴとたっぷりと生クリームの乗ったスポンジを1口で食べました。
 皇太子としては威厳が無いうえマナーがなっていないけど、美味しそうにモグモグ食べる姿は可愛いから許してしまいます。

「美味しいですか?」

「凄く、美味しい…これでファーストバイトは出来たな………」

 あ、やっぱりファーストバイト意識してましたか。
 でも護衛とファーストバイトしてこの方どうするつもりでしょう?

 ファーストバイトとはウエディングケーキを新郎新婦がお互いに食べさせ合うこと。バイトは英語のbiteからなので、最初のひとかじり、最初の一口といったところでしょうか。
 意味を考えるとしたら、夫婦となり食べものを分かち合うことで、これからはなんでも分かち合っていこうということではないかと思います。

 一生食べるものには困らせません
 一生おいしいものを作ります

 そんな意味が込められているとアナウンスされたりもしていますが、いずれにしても、食べさせ合いっこする様子は場も和むし、結婚式らしいイベントだと思います。

 その意味を分かってしたのなら、この先私と共に居たいと思っていてくれていると思っても良いのでしょうか?

 貴方が望むなら、一生貴方のお食事を作っても良いんですよ私は?
 本当にソレを望んでくれますか?

 でもそんなことは不可能です。

 だって私は男の護衛。
 皇太子様は何時か王族の血を残すために妻を娶らなければなりません。
 それを傍で見る勇気は私にはありません。

 貴方の食事を作り続けたかった。 
 貴方のお世話をずっとしたかった。
 貴方の身を1番傍で護りたかった。

 でも私の復讐が終わりに近づいた今、もうポリフォニーの存在は必要ありません。
 何処かに消える時期でしょう。
 天界でまた神様の元で働かせて貰えますかね?

 そんな事を考えていた私は、神様が気に入ったものに対してどれだけ激甘なのかまだ知らないのでした。
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