男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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 白ヤギさんからお手紙着いた♫
 黒ヤギさんたら読まずに食べた♪

 なんて事は魔道具なので起こることは無い。

 ルーシュは己の持つ魔道具(メモ帳型)に届いた文を見て頭を抱えたくなった。
 つい最近来た文で嫌な予感はしていたのだ。

 ”大型犬を拾ってしまった”

 この時点で何かに巻き込まれる予感はしていた。
 昔から友人の誑しフェロモンのせいでルーシュは迷惑しか被った事しかない。

 ”家出するからしばらく泊めて貰う”

 この文が止めだった。
 友人はすぐにルーシュの元に来るだろう。
 そう今この瞬間に。

「久しいなルーシュ!頭抱え込んでどうしたんだ?地面が恋しくなったか?何なら背が低くなる魔術でも開発してやろうか?」

 何故神はこの人物に大陸中を【空間転移】で移動するような人外な能力を与えたもうたのか…。

「サイヒ、頼むから避難先は別の人物にしてくれ」

「仕方ないだろう?私の伝手などカカンか他国の聖女くらいしかない。カカンは自分から出て来た訳だし、他国の聖女は私を崇拝しているからな。正直言って面倒臭い。お前の所が不自由なくて1番都合が良いんだ」

「せめてコチラの都合を調べてから来てくれ」

「ちゃんと調べたぞ?だから屋敷でも聖騎士用の宿舎でもなくコチラに来たのではないか。それにしても変わるものだな、メイド服が意外と似合っている」

「お前にだけはメイド服見られたくなかったよ畜生!!」

「人生とは苦難の連続だ。悔しさをバネに頑張れルーシュ」

「お前が出て行ってくれたら苦難の1つは去るんだけどな!」

「若い頃の苦労は買ってでもしろと言うだろ?私はその点、お買い得だぞ」

「自分からセールスしてくる奴にろくな奴は居ねーよ!!」

「あまり怒るな、血圧が上がるぞ。私の2人しかいない親友の1人が齢15で脳梗塞を起こして亡くなるのは勘弁して欲しいな。流石に私も涙の1粒位は流すかも知れんぞ?」

「何で疑問文なんだよ!そして私の血圧を上げているのはお前だサイヒ!そのノウコーソクとやらは良く分からないが若くしてなる病気じゃないことぐらいは分かるぞ!」

「流石親友。理解力が高くて助かるな」

「褒められてるのに嬉しくない!!」

「年長者からの好意は遠慮せずに受け取っておけ。遠慮せんで良いぞ」

「受け取る行為以上にデメリットが大きすぎて受け入れられないんだろうが!大体他国の聖女が居る神殿に入ってきて大丈夫なのか?」

「案ずるな、この国の結界のセキュリティなど私には無いに等しい」

「今すっごい嫌な情報を与えられた!」

「フレイムアーチャは聖女が交代してまだ半年もしていないだろう。私の存在を知らないから動きやすい。【認識阻害】もかけて私は神官か何かの仕事をするから寝る場所だけ提供してくれればよい。相部屋に1人で暮らしているんだ、ベッドは1つ余っているだろう?」

「何で知ってるかなぁ!?」

「事情を調べて来いと言ったのはお前だろうが。大丈夫だ、がっつり事情を調べて来た。後はルーシュが受け入れるだけだ」

「ちなみに拒否権は?」

「最近、性別を操る呪術師の存在を知ってだな、この国の第1王女に報告するか悩んでいる所だ」

「どうぞ好きなだけ止まって行ってくれ!」

 何故か家出してきたサイヒに、転げ込まれたルーシュが土下座をすると言う謎の光景が展開されていた。
 きっとルーシュは、サイヒのガフティラベル帝国の胃痛持ちの友人とも仲良くなれる事だろう。
 お人好しで苦労性な人間同士気が合うに違いない。

「それは有難いな。泊まらせて貰っている間は幾らでも手合わせに付き合うぞ?」

「え、マジ!?」

 とたんルーシュの目が輝いた。
 ルーシュは中々のバトルジャンキーなのである。
 そこに恐らく大陸1の力を持つサイヒの登場だ。
 目を輝かせるのも無理もない。

 こうしてルーシュの部屋に人外(本人は否定している)がしばらく居候することになったのだった。


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 この話は【聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~】とリンクしていますのでソチラを読んだ方が意味が分かりやすいです。

 どちらかと言うとあちらの話がメインでこちらがサブなので(;^ω^)

 その内、キャラがごちゃ混ぜになって話の垣根なく交流を深めていく事になります。
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