男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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 深夜、広い荒野でルーシュはぶっ倒れていた。
 その額は赤くなり煙を吹いている。
 その光景を使い魔のドラゴンであるルインは震えながら眺めていた。

(ドラゴンと肉弾戦だけで同等に渡り合える【身体強化】した主殿を、デコピン1発!?…化け物なのじゃ!サイヒに逆らってはいかぬ!妾はTPOを弁えているドラゴンなのじゃ!)

 短いドラゴン生でもこれ程圧倒的な実力を持つ者などルインは初めて見た。
 あまりの恐怖に尻尾を股に挟む。
 失禁しなかっただけ褒めて欲しいくらいだった。

「ふむ、1.2秒。なかなか持ったなルーシュ」

(1.2秒は持ったと言わぬのじゃ!)

 感慨深げなサイヒにルインは心の中で突っ込みを入れた。
 あくまで心の中で。
 口に出してルーシュと同じ目に合うのは勘弁だった。

「意識を失っているし、もう帰るか。睡眠時間が勿体無い。ルインはどうする?ルーシュと同じく手合わせをするのか?」

「妾は結構ですのじゃ!それではサイヒ殿も良い夜を、なのじゃ!」

「あぁ、良い夜を」

 言うが否やサイヒはルーシュの足首を掴んで【空間転移】で消えてしまった。

「恐ろしいのじゃ!主殿は何故あのような化け物と手合わせなどしたがるのか!?やはり妾の主殿は少し頭が足りぬのであろうか…?」

 本人のいないところで無茶苦茶言われているルーシュだった。

 :::

 日が変わり、窓から太陽の光がカーテン越しに部屋に差し込む。
 その明かりでルーシュは目を覚ました。

 額が痛い…。

 どうやら友人は【治癒】の法術をかけてくれなかったらしい。
 仕方がないのでシップを貼る。
 尋ねられたらベッドから落ちた事にしよう。
 これくらいの怪我では神殿のポーションは使わせてくれないだろう。
 聖女にも頼みたくない。
 何を言われるか考えたくもない。

「サイヒが居ない、と言う事はもう朝食の時間か」

 食い意地が張っている友人が食事時間に行動しない訳がない。
 そして面倒臭がりなのでシスターとしての仕事はいつも【式神】にやらせて、本人はベッドで惰眠を貪っている。
 全く羨ましい立場である。

 食堂へ行くとサイヒのトレイだけ食べ物が山のように積まれていた。

「シスターハナ、これも良かったら食べて下さいまし」

「私の分もどうぞ!」

「はぁ、幸せそうに食べられているお顔も素敵…♡」

 神殿に来て3日。
 すでにフレイムアーチャの神殿はサイヒ、否シスターハナのハーレムと化していた。
 老若男女関係ない。
 神殿の者がすべて乙女の様に頬を染めて潤んだ瞳でサイヒを見る。

「皆優しいな、感謝する」

 ふっ、とサイヒが微笑みを浮かべる。
 それだけでバタバタと色香に当てられた者たちが腰を抜かす。
 慣れた光景なのかサイヒは気にもせずに食事をモキュモキュ頬張ってる。

「だからお前を迎えるのが嫌だったんだよ…こういう時位、部外者見つけ出して排除しろや糞聖女……」

 その糞聖女はサイヒにフォークで刺したリンゴを口元へ運んでいる途中だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 フレイムアーチャの苦労性ルーシュ。
 サイヒのお迎えが来るまで頑張ってね。
 ルークがお迎えに来るまではシスターハナが神殿で人を誑かします。
 早く迎えに来ないとシスター姿のサイヒが拝めないぞルーク!
 ルーシュは何か色々と頑張ってね(*´▽`*)
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