男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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「いらっしゃ~い。ルーシュちゃんだよね?サイヒ様から聞いてるよ~」

 町外れの工房。
 中から出て来たのは気だるげな美女。
 否、美女に見えるが美青年。
 その事はサイヒから聞いていたから知っていたが…。

 負けた_| ̄|○

 ルーシュは心に深い傷を負った。
 まだ話の序盤である問うのに。

 色気も顔の造りも相手の方が何枚も上だ。

 きっとここに彼女の居ない男を100人用意したら99人はフェルゴールを選ぶだろう。
 奇遇な1人はきっとアンドュアイスに違いない。

「主殿、大丈夫じゃ。主殿にはちっさいがおっぱいがあるではないか。彼奴はまな板なのじゃ。股間にも男のシンボルが付いておる!100人中5人くらいは主殿を選ぶこともあるかも知れんのじゃ!!」

 グサッ

 何だか使い魔にフォローの様な心を抉るセリフを放たれてしまった。
 もうルーシュは立ち直れないかも知れない。

 ”おぉルーシュ、死んでしまうとは情けない”

 何故かサイヒの声が頭の奥で響いた。
 もしかしたら何かの術で此方の様子を見ているのかもしれない。
 前科もある。
 サイヒは盗聴傍聴が大好きな困った全能神なのだ。

 だがその声にルーシュの意思がムクリと起き上がった。
 
 アイツを楽しませてたまるか!
 心友に思う感情ではないが、それでもルーシュは立ち上がることが出来た。
 有難うサイヒ。
 次会った時1発ぶん殴る!!

 まぁ相変わらずデコピン1つでのされる未来が見えているのだが。

「取り合えず中にどうぞ~。お茶いれるね~」

 そうしてルーシュは小型化したルインを肩に乗せて工房へと入っていった。
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