もしも生まれ変わっても、キミと私は遠回りをするのかな?

彰野くみか

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犬猿の仲②

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 引っ越すとか引っ越す理由とかはよく分からない。

 だけど、これからはもう今までみたいに簡単に会えなくなる。

 それだけは理解出来たから、4歳の私の胸は痛みを感じた。

 単純に寂しい。今みたいに良ちゃんと遊べないことは、私には絶望的だった。


 だけど、この時はまだ涙はあふれなかった。


 それでも漠然とした不安は幼い私の心に棲みついていた——。


✳︎




 不安感が消えないまま、別れの時だけが刻々と近づく。

 コツコツと足音を立てながらやって来た〝別れの時〟になって、私は初めて泣いた。


 ふたりでよくかけっこをして遊んだ桜のトンネル。

 私と良ちゃんは、ここが大好き。

 いつもは大好きな場所の大好きな桜の木も今日だけは好きになれない。

 風に揺られてひらひらと桜の花びらが舞う。


「今日……行っちゃうんだね……」

「……うん」


 良ちゃんは、悲しく微笑んだ。

 私も負けじと涙を拭いて笑った。

 子ども心に、笑顔で良ちゃんを送り出したいって思ったから。


「…………」

「…………」


 お互いが沈黙し、無言の時が流れる。

 サラサラという風の音だけが聞こえていて、その音はまるで泣いているかのようだ。


 どのくらい話さなかったのだろう? この長い沈黙を先に破ったのは、良ちゃんだった。


「由香理ちゃん」

 ジャンパーのポケットをゴソゴソと探っている良ちゃんを見て、何をしているのか分からなかった。

「良ちゃん? なにしてるの」

 すると良ちゃんは、プラスチックの宝石の付いた、オモチャの指輪を取り出した。


「はいっ‼︎」

「え?」


 やっぱり状況が呑み込めない私——。

「由香理ちゃん! 僕は大きくなったら必ずこの街に戻って来ます‼︎——だから」


 よくは分からないけど、良ちゃんの言った「戻ってくる」のひと言に、私の心はポッと明かりが灯った。


「だから、ね。その時は、僕と結婚してください‼︎」


 突然の良ちゃんからのプロポーズに、一度は止まった涙が再びあふれ出した。

 だけど今度は、嬉しいの涙だ。


「はいっ‼︎」

 嬉しくて、涙声のまま私は頷いた。



✳︎

✳︎
✳︎
✳︎
✳︎


 私たち、大丈夫だよね?


 私は今日この日の約束を忘れない——。



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