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学園編

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私は入学前に貰った寮案内の紙を持ち、あちこちとウロウロと歩く。寮の名前は前世で聞いた事のある花の名前。

今日入る寮の名前はジャスミン。私前世でジャスミンティー結構好きだった。なんて思いながら、前世で聞いたジャスミンティーの歌を歌う。眠りを誘うのよね?味は好き嫌いはあるけど。フフフッ・・・。考えて一人で笑っていると


「素敵な歌声だね?」

「ひゃ!アウラ様?ビックリさせないで下さい!ドキドキしましたよ!」


物陰からスっと出てくるからビックリした!
アウラはイタズラが成功した時の様な笑顔でゴメンと言いながら、その歌は?と聞いてきたので、例の設定を言う。

「夢の中で聞きまして、つい歌っていました」
「ふーん。今、その夢の中の話をしようか?」
「え?!今ですか?私、今は急いで寮に行かないといけなくて、まだ説明を受けていないので、」
「うーん。そんなに時間が無いね?次でいいよ」
「ありがとうございます。アウラ様」

アウラは次は聞かせてね?と笑っている
私はお礼を言いながらも、内心はドキドキした。

それは転生を2回してる事だ、1つはアルゲティとしての人生これはアウラは知っている、もう1つは後藤ミクとしての人生、歌の説明と言われるとこちらになる、ミクとしての人生の説明は複雑になるし、ここが乙女ゲームの世界なんて言ったって信用して貰えない。下手すると頭が残念な子になってしまう。それにアウラが諦めてくれて私は助かったとホッとする。


それにしても?アウラはここで何をしているのだろうか?まさか!私が迷子なのバレたか?

「アウラ様?どちらへ行かれるのですか?」
「カーナが迷子になってると思ってね。」
「なぜ迷子だと分かったのです?その通りです。なかなかジャスミン寮が見つからなくて」
「んー。ここは男子棟の近くなんだ。」

アウラは本当に迷子なんだと思った様で、私は寮迄の道を書いてある紙を見せる。
学園から寮への行来は、魔力があれば反応をする転移の魔法陣があるそうで、普段はその魔法陣を使う事になる。今日は散歩してしまったが、

「えぇ!この地図にはこの様に書いてあるのですが?」
「ん?どれどれ?」

アウラに地図を見せてみた。前世地図は苦手だった。なぜなら頭が混乱するからだ、ミユキは地図を見るのは得意で、そっちじゃないよーミク姉!と怒られたなぁ。


「ここは全く違う方向だね。カーナ?」
「えっ逆方向?」
「てっきり僕に会いに来たかと思ったけど、違うのか・・・。」
「うぅ・・・すいません、でも何ででしょう?」
「それを僕に言われても分からないよ」

アウラは肩を竦めて苦笑いをしている。私はとても恥ずかしくなり手で顔を隠す。すいません。

「僕が近く迄なら送って行くよ流石に女子棟までは近付けないからね」
「ありがとうございます。アウラ様」

私は嬉しくてアウラの腕にしがみついてしまったが、もうこれ以上アウラに何も言わせない様に、今日アウラと別れてからの出来事を話す
ケーティヒロインの事を話したら、知っていた。どこまで聞いてるのか迄は話してくれなかったけど、

それと、あの記憶の事に関してはまだ内緒にする事にした。妖精に関しては不思議な光だった。と話すとカーナは妖精見えるんだね!その内にチカラを貸して貰えるんじゃないかな?と話をしている内に、女子棟の近くまで着いた。

「アウラ様ありがとうございました。また明日ですね」
「カーナと話せて楽しかったよ。また明日」

アウラと別れしばらく歩くと、ジャスミンと書かれた寮に着いた、寮の前でウロウロとしている姉様が居た。姉様は確か教師専用の寮があるはずだけど、なぜここに居るのだろうか?
私に気がついた姉様が、かなりの速さで近付いて来てちょっと怖い。

「トゥカーナ!無事?」
「え?お姉様?どうなさったのです?」

その慌てた様子にビックリしていたら、姉様にあちこち私に触って色々な所を見てる。私転んでないよ?

「トゥカーナ?あの王太子様に何もされなかった?」
「えぇ!アウラ様ですか?何もされてませんよ?ちょっとだけ迷子になってしまい、近くまで送って頂きました。」

よく考えると、アウラやヒロインと話をして、探索をしていた気がする朝から学園に行き、入学式が終わったのが多分2時間位だと思う、今は夕方に近い時間だろう。

姉様は少しだけ納得をした様だ。たが、あの王太子とはかなりの言い草だ。姉様が不敬罪にならない様に、静かに心の手を合わせ祈る。ナムナム。

「それにしてもお姉様?どうしてこちらへ?」
「フフフ。トゥカーナ良く聞いてくれたわ!教師専用の寮はこの寮の隣りなの!」

前世のお隣は一軒家でも近い場所にあるが、ここは貴族女子達が入る寮なので、隣りと言ってもかなりの距離がある。

姉様は安心したのか、トゥカーナの顔も見たから帰るわ!と寮へと帰って行く、私は姉様を見送ってから、寮に入ると寮母さんが出迎えてくれた。

「私はシータだよ!シータさんとか、シータお母さんとか、色々と呼ばれているから好きに呼んでおくれ!」
「では、シータさんと呼びますね。!イプシロン・トゥカーナと言います。よろしくお願いします。」

王太子様の婚約者だろ?知ってるよ。と言われた、シータの見た目は恰幅のいい、昔の肝っ玉母さんのイメージだ。
シータの名前で思い浮かべたのは、あの空飛ぶ島と。何だか光る石を持っていて、空から落ちて来るイメージ。
そんな事を思い浮かべていると、シータが寮の規則を話し出す。

そして規則として、男性は勿論だが、
他の寮生が遊びに来る時も、部屋に入れる寮生の許可と、受け入れる寮の寮母の許可を貰わないと入れない。かなり厳しい規則となっている。
姉様も例外なく、私が帰って来る迄は外で待っていた様だ。

「トゥカーナ様の所のお姉さんは過保護だね!」
「はい。お姉様はとても可愛がってくれているのです。私はまだ甘えていれば良いと言われて甘えてばかりです。」

シータは腰に手を当てると、少しキツイけど聞いてくれるかい?と言い出す

「お姉さんに甘えるのもいいけど、甘え過ぎず一人で行動出来ないと、結婚してから大変だよ!」
「はい・・・肝に銘じておきます」

「別に甘えるなとは言わない!そりゃ相談も大切だよ!何かあった時に人に頼らないと、生きていけない子には、なって欲しくないからね」

何があってからじゃ大変だからね!と言い、朝夕食の時間や学園への転移の仕方迄伝えると、
後少しで夕食の時間だから、それまでゆっくり部屋にいなさい。と部屋まで案内をしてくれて私は部屋へと入った。
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