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真相
アルゲティからの手紙1
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◆
メメはルクバトを気にすることも無く背中から黒い翼を出すと、シャム達に大きく手を振る。
ククは先にふわりと空高く飛び上がると、黒く美しい翼から羽根を1枚取り空に投げる。すると羽根は黒く大きな魔法陣になった。ククは何の迷いもなく先に入った。
対するメメはニッコリと笑い1度こちらに大きく手を振った。シャムとフィレムはメメに手を振り見送ると、メメは満面の笑みを浮かべ笑った。黒い翼で踊る様にククの作り出した魔法陣に入り魔法陣は消えた。
ルクバトは黒い翼を見て思う、色こそ違うが人型で翼がある。そのことから空の人族と同じなのだろうと考えたが、フィレムもシャムも黙ったまま空を見上げていた。フィレムはずっとククとメメの目の前では言えず悩んでいたが、後々出てきたらまた驚くことになるのは嫌だ。そう思いシャムに聞くことにした。
「昔3人だったわよね?」
「...クロは3代目に自由でいたいと言って、昔祈りの乙女と始まりの乙女に願い解放された。そう日記に書いてあったわ、精霊だから空に帰っては無いと思う、だけど居場所は知らない、今一緒にいるのククとメメだけよ、」
シャムはククとメメが転移し魔法陣が消えるまで空を見上げ見送った。
クク達と入れ替わる様に魔法陣が現れ緑色に光った。魔法陣の中から現れたのは、背中の筋肉を見せつける様にポージングを決め立つ男と、土下座し頭を擦り付けてるタブエルが現れたからだ。シャムはゲッソリしながらピクピク動く筋肉と土下座をするタブエルを見る。むしろ筋肉を見ないと、この司祭は後からとても煩い、シャムは筋肉を見ながら思う、私何かしたかしら?
先代の祈りの乙女が空に帰る前、何度か教会には行った事がある。しかし毎回避けられている様に祈りの乙女は対応しなかった。シャムは薄ら祈りの乙女に怖がられてるのは知っていた。教会にシャムが行けば3人いる司祭の誰かがシャムの話を聞いていた。その内の1人は筋肉バ...筋肉の話になると話がなかなか止まらない進まない事を肝に銘じ目の前の男を見る。
「シャム様のお呼びにより参上いたしました。最近映えるポージングを思い付きまして、シャム様このポージング等いかがでしょう?」
「...ヒィ」
「はぁ...タブエルは前もそれだった気がする。クシャあなたも相変わらずね。」
タブエルは転移した事が分かると、さらに頭を地面に擦り付けているし、司祭は隣にいるタブエルを気にすることも無く、昔永遠に見せられたポージングを次々と取っている。
とても残念な事にここに突っ込み役が居ない、ライラが居たらそれとなく言ってくれただろうが、その気はシャムにはない、その為シャムはフィレムに手短に目の前の男について手短に取り扱いの説明をする、
「フィレム絶対筋肉の事を目の前にいるムキムキ男にだけは言ってはダメよ、話が止まらなくなるし進まなくなる。フィレムがする事は筋肉だけを見て笑ってくれればいいわ、でも誤解しないで、空の人族はあんなゴツイ人しかいない訳では無いの、ルクバト聞こえた?」
ルクバトは返事の代わりに片手をサッと上げ、また魔法陣に手を添えたらしい魔法陣が赤く光る。フィレムがルクバトを見て頷いた。なんだかキラキラした瞳で目の前にいる大男を見てるけど大丈夫かしら?まぁ多分大丈夫でしょう、とフィレムは思いシャムに言われた通り微笑む、
微笑みながらフィレムの頭の中は今??が沢山浮かんでいる。たとえば魔法陣から一緒に来たのはいいが項垂れている男とか、なぜ司祭と言われた人は横の男の人を気にしないの?とか、現にルルと小さな子達は項垂れている男の側に行ってふわふわと浮かび声を掛け慰めている。
「えぇ...分かったわ。それで隣の人は大丈夫なの?」
「隣はまた後から説明するわ、私の前だとあれが普通だから気にしないで、」
「あれが普通なのね...」
シャムとフィレムはやや引き攣った笑顔でパチパチと拍手をする。気をよくした男はにこやかに笑う、そして頼まれてもないのに自慢の上腕二頭筋を見せつけると、更にニッコリとこちらに顔を向け笑う、
「これはこれは今回は美人様がご一緒ですね、このクシャポージングしがいがあります。では!次はクシャ自慢の大腿四頭筋をお見せしましょう!」
そう言うと裾が短くピチピチなズボンに力を入れ自慢の太ももの筋肉を見せ白い歯を見せ笑う、昔散々見せられた記憶が蘇ったシャムは、1度太ももを見て苦笑いに近い笑みをみる。それを見てフィルムはなんだかんだ言ってもシャムは付き合ってあげるから優しいわね。と目尻を下げる。シャムは深くため息を吐きつつ、昔何度も言った事を再度言う、
「あーはいはい!昔に教会行った時散々見たから、また次会った時また見るわ、それよりもタブエル今の状況を説明して、本当にアルゲティは空に帰ったのよね?」
「...私は」
タブエルが話しをするまでシャムは辛抱強く待った。しかしタブエルはそのまま泣き始めてしまった。
「はぁ...肝心のタブエルから説明を求めてもあれじゃ無理ね、クシャあなたが説明して、手紙に書いたことで何か分かったことを教えて、」
クシャと呼ばれた男は「御意」と返事をするが、残念な事に言動と行動が伴っていない、いつもの事かとシャムは思いゲンナリとした顔をしたが、フィレムはキチンと聞く姿勢になる。美人に見られクシャは張り切った。
クシャの頭の中は胸筋や腹筋を空の人族の長であるシャム様、どの様にポージングしたら美しく見えるかとしか考えてない、筋肉を見せる為だけに法衣を改造を施していた。布の少ない法衣の間から大胸筋や腹筋を見せつける様にポージングを取る。つまり腰に両手を当てエッヘンポーズをとった。
「シャム様の手紙を貰い、横に居るタブエルの許可を貰い、素早く儀式の準備を整え、今も静かに眠る墓に祈りを捧げました。そして第25代祈りの乙女の墓を開けました。保存の魔法が掛かった花が中にありました。私達は眠る乙女の棺を取り出し、眠りを妨げる事を許して欲しいと更に祈りを捧げ、棺を開けました。」
「そう。やっぱり保存の魔法を掛けていたのね。」
横で頭を擦り付ける様に座るタブエルは縮こまった。シャムの言葉にクシャは静かに首を横に振る。もちろんポージングは一行話す度に変わっている。今は両腕を上にあげ上腕二頭筋を見せる格好、顔は神妙な表情をしてる為、シャムは身体は見ず顔だけ見て頷く、気にしていたら負けである。
「祈りの乙女はそこに居ませんでした。ですがシャム様確かに我々司祭3人は祈りの乙女が空に帰ったことを確認しております。まだ年若い祈りの乙女の埋葬は司祭3人で適切な方法でおこなっております。家族の意向で保存の魔法を掛けました。100年前保存の魔法が切れる頃でした。棺を開けた所当時の姿そのもので、魔法を確認した所祈りの乙女の保存の魔法がまだ効いてました。ライラ様やタブエル様も確認しております。棺に入り静かに眠る祈りの乙女を我々司祭は確認しております。」
そこに丁度オーキッド色した魔法陣が出現した。現れた姿はシャムにそっくりだった為、司祭が慌てポージングを変える、ライラはゆっくり髪飾りを外した。すると背丈は大人の者となり、司祭は驚きまたポージングを変えた。ライラはシャムと司祭、それと自分の代わりにシャムの横にいてくれたフィレムにお礼の意味も込め頭を下げた。ライラは夫が地面に擦り付け跪いた姿を見てすぐに駆け寄ると、夫は小さな声で「すまない」とひとことだけ言った。
「ライラ丁度いいわ、アルゲティの墓を見たわ、結果中に誰も居なかった。花畑を守る精霊に私の魔力とアルゲティの魔力を探すよう言ったわ。それとあの子達が満足するまで私は自分の家から出られないの、だからルピーの教師は貴女がやって、魔力を流出させないようにしてたけどかなり流れてしまったみたいなの、もちろん魔力が回復したら教師をするわ、」
「教師の件は分かりました。娘は...生きている...生きている。夢ではないのね...本当に良かった。」
ライラはやっとそこで実感が沸いた。空に帰ったと思っていた可愛い一人娘は空に帰っていなかった。タブエルは妻が泣いてるのに気が付きそっと抱きしめる。ライラもタブエルにしがみついて涙を流した。
「空に帰ったと思ってた娘が生きてる。その言葉だけでこんなに嬉しい事など他にあるのでしょうか?夢を見てる気持ちになります。」
シャム達も落ち着くまで静かに待った。ライラは静かに泣き落ち着くと空間ポッケから1つ手紙を取り出しシャムに手渡す。
「えっ?えっ?アルゲティからの手紙なの?私が先に読んでいいの?」
「はい、宛名はシャム様か私になっています。はいエニフ王国王妃マタルから手紙を貰いました。手紙は絵の後ろに挟まっていたそうです。」
シャムは封筒から中身を取り出して手紙を開いた。文字はとても癖が強く読みづらい、シャムは1度読んでみようと何度か試みたが、しかしやはり癖が強く読めない、ライラの方に手紙を差し出した。
「ライラ、アルゲティの文字少し読みづらいわ、ライラが読んで聞かせて、」
シャムから手紙を受け取ったライラは文字を見て苦笑いをする。あの子は昔からせっかちな子だった。アルゲティからの手紙と聞いてタブエルは慌てて顔を上げる。
「あらあらあの子相当慌てて書いたのね。シャム様こちらの絵もご覧下さい。エニフ王国で借りてきました。先に夫に見せても良いでしょうか?」
「絵?そうね。見たらタブエルも落ち着くかもね。」
ライラはもう1つ空間ポッケから長方形の絵を取り出すと、タブエルの肩を優しく抱いてそっと絵を見せた。
見た目は2人の空の人族の絵だ。
「これは...私の可愛い娘アルゲティ、丁寧に保存の魔法を掛けたなぜ居なくなった?それに横にいる子はまさか?!シ...シャムちゃん?そんな事は無いはずだ。それにあの子は俺達と同じ年齢のはずだ。ライラも知ってるだろう?
それに後に生まれたアルゲティよりも幼いんだ?ん?まて、なぜ長のシャム様と同じ名前なんだ?」
タブエルは娘の絵を見て懐かしむ様にその絵を撫でた後驚いた。娘の横に居る女の子に見覚えがあったからだ。その女の子は幼少時に姿を消してしまった女の子であった事、更に驚いたのは女の子は別れた当時そのままの姿で娘のアルゲティの横に立ちニッコリと笑っている。それと同時にタブエルは、自分達の長であるシャム様をなぜ今まで怖がっていたのか分からなくなった。
「今気がついたの?それにあなたはアルゲティの居場所をわかると思っていたわ、私はあの子を隠してるのはあなただとばかり、」
「いや俺は何もしてない、アルゲティを迎えに行った辺りは何をしたか全く思い出せない、その部分だけモヤが掛かっているようなんだ。」
「思い出せないの?ゆっくり思い出せば良いと思うの、それに焦っていては何もいい事ないわ、」
ライラはタブエルにそっと寄り添い言葉をかけ、次はシャム様に絵を見せようと立ち上がりシャム様を見る。
先程はタブエルが両手で頭を抱え悩んでいた。しかしシャム様の顔を見れば、シャム様はとてもバツの悪い顔をしている。
ライラは不思議に思いながら目の前のシャム様をじっと見る。
「シャム様何か困り事ですか?」
「な…なんでもない!少しの間考えさせて!」
他人から愛情を込められなければある程度成長した所でそれ以上成長しないのは空の人族だけ、
見た目と精神的に成長が緩やかなシャム様を気遣うと同時に、シャム様に不敬に感じないように気をつける、シャム様の見た目は想像よりもとても幼い、まずはしゃがみこんで視線を合わせた。上から大人が見下ろし話せば小さな子供は恐怖を感じてしまう、椅子に座っているシャム様に目線を合わせる為、屈んで視線の高さを合わせ、そっとシャム様の両手を取り優しく摩る。
(懐かしいわ、アルゲティの子供の頃を思い出すわね。落ち着かない時、あの子はこうしてあげると落ち着いていたわ。)
ライラの家には代々長に仕え残した日記と手記がある。
日記にはおばあちゃんと出会った頃の話や、ライラが生まれ育ち結婚して、おばあちゃんはアルゲティが産まれるほんの少し前に空に帰ってしまった。おじいちゃんはアルゲティが空を飛んだのを見届けた後、空に帰ってしまった。おじいちゃん達夫婦はいつもニコニコしていた。夫婦共に助け合い、励まし合い、慰めあった。たまに喧嘩もしたらしいが理想の夫婦といえるだろう、ライラはシャム様をじっと見て寂しく笑う、
「では読みますね。やっぱりあの子は文字の癖がとても強い、」
「ライラお願い、」
おじいちゃん達の日記を見て大体これ位の歳だろうと予想はついている。長達は私達空の人族よりも数倍長生きするという、シャム様に仕えていた人達を数え計算すると1600年、見た目年齢はトゥカーナと変わらない、始まりの乙女でもある空の人族の長は現在7人目、長が成長すれば歴代の長の見た目は変わらない、
なぜ分かるのかといえば、ライラの家は代々長の身の回りのお世話をする役割を持って産まれる為、特徴等の情報が細かく書かれており、事細かな特徴が全て一致している。
空の人族は生まれ物心がつくと自ずと天職がわかる。勿論役割は向き不向きもあるが、1部例外を除いてほぼ全ての人が疑問を抱くこともなく与えられた役割を果たしている。
例外はシャム様が行った世話人の役割放棄それと、アルゲティ失踪により役割を失った人くらい、役割を失ってもどうもない趣味に生きるだけ。
『シャムちゃんライラお母さん、ある人の助言に従って私は自分にそっくりな人形を作りました。人形には自分の魂の一部を込め本物に見えるように願いを込めました。父様や母様を騙す様な事をしてごめんなさい、それにシャムちゃんが連れていた精霊と約束したわ、今も始まりの乙女の家族がいるはずなの、私は探してあげたい、いいえちがう、探さなきゃダメなの、
それに助言を受け人形を作った時分かった事があるの、なぜか分からないけど、あの子私が作った人形の魂を持っているって分かったの、回収もしたいから追いかけるね。』
「アルゲティと会った時にあの子が助言をしたのよ。だけど肝心のアルゲティは帰ってくるつもりは無いみたい、気になるのは最後の一文ね、私はトゥカーナの魂を見た事あるけど、変わった子としか思わなかったわ、」
シャムはここでやっと祈りの乙女が空に帰ってすぐ、次代が生まれない原因が分かった。シャムは感情を見せないように瞳を伏せ考えると同時に納得をする、やっぱりそうなのね。と心の中で呟いた。
次代の始まりの乙女と祈りの乙女が空に帰って、次代が産まれないことは無い、先代が空に帰ると必ず産まれる。もうそれは呪いそのもの、シャムは3代前の始まりの乙女の日記を思い出す。
「空の人族は子供の居場所を感知できるのに、まさか昔迷子になった時の様に自分の居場所が分からないようにしたのか?今あの子に手紙送ったら届くのだろうか?よしライラ俺が手紙を送る、送らせてくれ、なぁライラアルゲティが帰ってきたら、あの子が好きだった料理を一緒に食べて過ごそう。あの子が居なくて家の中が暗くなったが、これからはアルゲティがいる。親としてこんなに嬉しい事があっただろうか…。」
「…良かったわねタブエル、」
「シャム様!ありがとうございます。ありがとうございます。空に帰ったと思っていたあの子が生きている!親にとってこれ以上の嬉しい事はありません。私は日々大精霊王様に祈り続けてました。私はこの先シャム様と大精霊王様に感謝をし日々祈りを捧げます。」
「あなた、もうこんな時ばかり早口になって、手紙を書くのでしょ?シャム様申し訳ございません。娘の事になると...」
ライラはそこまで言いかけ言葉に詰まり泣いている。そんなライラ達を見てシャムは視線を下げ自分の感情を押し殺す。
もし自分の子供が生きていたなら、ライラ達の様に泣いていたのかもしれない、何故自分の子供は空に帰ってしまったのだろう。なぜ?と自分に何度も問いかけたが答えは出ない、嬉しそうなタブエルの声が聞こえ咄嗟に耳を塞いだ。
「そうだったライラ、ではシャム様失礼します。」
タブエルは余程嬉しがって喜々と手紙を書き始めた。ライラだって娘が生きていることが嬉しい。しかしずっとアルゲティの生まれ変わりだと信じたトゥカーナの事を考えると気持ちは複雑になる。
「あなたあの子の事どう思ってるの?」
「あの子も私達の子供にすればいい、背中に翼が生えたんだ。空の人族と変わりはない、アルゲティの妹として迎えれば良い、」
タブエルは上機嫌に笑うが、ライラはシャム様に尋ねる事にした。この先絶対ぶつかる壁になる。聞ける事は聞いておいて損は無い、
「シャム様、娘が空に帰っていないようで安心しました。しかし空に帰っていない娘の魂と記憶の解除をされたトゥカーナはどうなるのでしょう?」
「そうね。魂が分かれてるなんて前代未聞だし聞いたことも無い、でもアルゲティが祈って魂を分けたって手紙に書いてあったけど、もしかするとトゥカーナは人形の魂が何らかの形で移ったとしか考えられないわね、祈りを使ったのなら、魂を人形に移したアルゲティが対処するしかないわ、」
すかさずクシャがポージングを変えシャムを笑顔で見る。今は胸の筋肉と腕の筋肉を見せたい様だ。フィレムは顔ではニコニコしているが心の中は無の状態、まるで玩具の様に無心でパチパチと手を叩く、
後ろからルクバトが「フィレムはあれで喜ぶのか」と呟くが無心で手を叩くフィレムには聞こえない、
「シャム様も出来るでしょう?」
シャムはツンと横を向き小さな声で呟く、クシャは顔の位置を変えず器用に身体だけをフィレムに見せるとウインクをする。パキッと音がしそうな程フィレムの笑顔が固まった。
「アルゲティが見つからず、ケーティは戻るからいいとして、もしトゥカーナも戻らなかったらよ、どうしようも無かったら私がするわ。」
「素直じゃありませんね。ではよろしくお願いしますシャム様、ではケーティとは誰のことでしょうか?お教え願います。」
「不思議な子、トゥカーナがケーティの祈りで祈りの乙女を呼び出す事が出来る、と言っていた。私もあの子はできそうな感じがする。クシャ、祈りの儀式をする準備をしてちょうだい、あの湖でやってみましょう。」
「御意、では準備に1日程お時間を頂きます。」
クシャは仕上げと言わんばかりに白い歯を見せ笑う、シャムとフィレムは疲れた顔を見合わせ、ルクバトはクシャに尊敬の眼差しを向けていた。
メメはルクバトを気にすることも無く背中から黒い翼を出すと、シャム達に大きく手を振る。
ククは先にふわりと空高く飛び上がると、黒く美しい翼から羽根を1枚取り空に投げる。すると羽根は黒く大きな魔法陣になった。ククは何の迷いもなく先に入った。
対するメメはニッコリと笑い1度こちらに大きく手を振った。シャムとフィレムはメメに手を振り見送ると、メメは満面の笑みを浮かべ笑った。黒い翼で踊る様にククの作り出した魔法陣に入り魔法陣は消えた。
ルクバトは黒い翼を見て思う、色こそ違うが人型で翼がある。そのことから空の人族と同じなのだろうと考えたが、フィレムもシャムも黙ったまま空を見上げていた。フィレムはずっとククとメメの目の前では言えず悩んでいたが、後々出てきたらまた驚くことになるのは嫌だ。そう思いシャムに聞くことにした。
「昔3人だったわよね?」
「...クロは3代目に自由でいたいと言って、昔祈りの乙女と始まりの乙女に願い解放された。そう日記に書いてあったわ、精霊だから空に帰っては無いと思う、だけど居場所は知らない、今一緒にいるのククとメメだけよ、」
シャムはククとメメが転移し魔法陣が消えるまで空を見上げ見送った。
クク達と入れ替わる様に魔法陣が現れ緑色に光った。魔法陣の中から現れたのは、背中の筋肉を見せつける様にポージングを決め立つ男と、土下座し頭を擦り付けてるタブエルが現れたからだ。シャムはゲッソリしながらピクピク動く筋肉と土下座をするタブエルを見る。むしろ筋肉を見ないと、この司祭は後からとても煩い、シャムは筋肉を見ながら思う、私何かしたかしら?
先代の祈りの乙女が空に帰る前、何度か教会には行った事がある。しかし毎回避けられている様に祈りの乙女は対応しなかった。シャムは薄ら祈りの乙女に怖がられてるのは知っていた。教会にシャムが行けば3人いる司祭の誰かがシャムの話を聞いていた。その内の1人は筋肉バ...筋肉の話になると話がなかなか止まらない進まない事を肝に銘じ目の前の男を見る。
「シャム様のお呼びにより参上いたしました。最近映えるポージングを思い付きまして、シャム様このポージング等いかがでしょう?」
「...ヒィ」
「はぁ...タブエルは前もそれだった気がする。クシャあなたも相変わらずね。」
タブエルは転移した事が分かると、さらに頭を地面に擦り付けているし、司祭は隣にいるタブエルを気にすることも無く、昔永遠に見せられたポージングを次々と取っている。
とても残念な事にここに突っ込み役が居ない、ライラが居たらそれとなく言ってくれただろうが、その気はシャムにはない、その為シャムはフィレムに手短に目の前の男について手短に取り扱いの説明をする、
「フィレム絶対筋肉の事を目の前にいるムキムキ男にだけは言ってはダメよ、話が止まらなくなるし進まなくなる。フィレムがする事は筋肉だけを見て笑ってくれればいいわ、でも誤解しないで、空の人族はあんなゴツイ人しかいない訳では無いの、ルクバト聞こえた?」
ルクバトは返事の代わりに片手をサッと上げ、また魔法陣に手を添えたらしい魔法陣が赤く光る。フィレムがルクバトを見て頷いた。なんだかキラキラした瞳で目の前にいる大男を見てるけど大丈夫かしら?まぁ多分大丈夫でしょう、とフィレムは思いシャムに言われた通り微笑む、
微笑みながらフィレムの頭の中は今??が沢山浮かんでいる。たとえば魔法陣から一緒に来たのはいいが項垂れている男とか、なぜ司祭と言われた人は横の男の人を気にしないの?とか、現にルルと小さな子達は項垂れている男の側に行ってふわふわと浮かび声を掛け慰めている。
「えぇ...分かったわ。それで隣の人は大丈夫なの?」
「隣はまた後から説明するわ、私の前だとあれが普通だから気にしないで、」
「あれが普通なのね...」
シャムとフィレムはやや引き攣った笑顔でパチパチと拍手をする。気をよくした男はにこやかに笑う、そして頼まれてもないのに自慢の上腕二頭筋を見せつけると、更にニッコリとこちらに顔を向け笑う、
「これはこれは今回は美人様がご一緒ですね、このクシャポージングしがいがあります。では!次はクシャ自慢の大腿四頭筋をお見せしましょう!」
そう言うと裾が短くピチピチなズボンに力を入れ自慢の太ももの筋肉を見せ白い歯を見せ笑う、昔散々見せられた記憶が蘇ったシャムは、1度太ももを見て苦笑いに近い笑みをみる。それを見てフィルムはなんだかんだ言ってもシャムは付き合ってあげるから優しいわね。と目尻を下げる。シャムは深くため息を吐きつつ、昔何度も言った事を再度言う、
「あーはいはい!昔に教会行った時散々見たから、また次会った時また見るわ、それよりもタブエル今の状況を説明して、本当にアルゲティは空に帰ったのよね?」
「...私は」
タブエルが話しをするまでシャムは辛抱強く待った。しかしタブエルはそのまま泣き始めてしまった。
「はぁ...肝心のタブエルから説明を求めてもあれじゃ無理ね、クシャあなたが説明して、手紙に書いたことで何か分かったことを教えて、」
クシャと呼ばれた男は「御意」と返事をするが、残念な事に言動と行動が伴っていない、いつもの事かとシャムは思いゲンナリとした顔をしたが、フィレムはキチンと聞く姿勢になる。美人に見られクシャは張り切った。
クシャの頭の中は胸筋や腹筋を空の人族の長であるシャム様、どの様にポージングしたら美しく見えるかとしか考えてない、筋肉を見せる為だけに法衣を改造を施していた。布の少ない法衣の間から大胸筋や腹筋を見せつける様にポージングを取る。つまり腰に両手を当てエッヘンポーズをとった。
「シャム様の手紙を貰い、横に居るタブエルの許可を貰い、素早く儀式の準備を整え、今も静かに眠る墓に祈りを捧げました。そして第25代祈りの乙女の墓を開けました。保存の魔法が掛かった花が中にありました。私達は眠る乙女の棺を取り出し、眠りを妨げる事を許して欲しいと更に祈りを捧げ、棺を開けました。」
「そう。やっぱり保存の魔法を掛けていたのね。」
横で頭を擦り付ける様に座るタブエルは縮こまった。シャムの言葉にクシャは静かに首を横に振る。もちろんポージングは一行話す度に変わっている。今は両腕を上にあげ上腕二頭筋を見せる格好、顔は神妙な表情をしてる為、シャムは身体は見ず顔だけ見て頷く、気にしていたら負けである。
「祈りの乙女はそこに居ませんでした。ですがシャム様確かに我々司祭3人は祈りの乙女が空に帰ったことを確認しております。まだ年若い祈りの乙女の埋葬は司祭3人で適切な方法でおこなっております。家族の意向で保存の魔法を掛けました。100年前保存の魔法が切れる頃でした。棺を開けた所当時の姿そのもので、魔法を確認した所祈りの乙女の保存の魔法がまだ効いてました。ライラ様やタブエル様も確認しております。棺に入り静かに眠る祈りの乙女を我々司祭は確認しております。」
そこに丁度オーキッド色した魔法陣が出現した。現れた姿はシャムにそっくりだった為、司祭が慌てポージングを変える、ライラはゆっくり髪飾りを外した。すると背丈は大人の者となり、司祭は驚きまたポージングを変えた。ライラはシャムと司祭、それと自分の代わりにシャムの横にいてくれたフィレムにお礼の意味も込め頭を下げた。ライラは夫が地面に擦り付け跪いた姿を見てすぐに駆け寄ると、夫は小さな声で「すまない」とひとことだけ言った。
「ライラ丁度いいわ、アルゲティの墓を見たわ、結果中に誰も居なかった。花畑を守る精霊に私の魔力とアルゲティの魔力を探すよう言ったわ。それとあの子達が満足するまで私は自分の家から出られないの、だからルピーの教師は貴女がやって、魔力を流出させないようにしてたけどかなり流れてしまったみたいなの、もちろん魔力が回復したら教師をするわ、」
「教師の件は分かりました。娘は...生きている...生きている。夢ではないのね...本当に良かった。」
ライラはやっとそこで実感が沸いた。空に帰ったと思っていた可愛い一人娘は空に帰っていなかった。タブエルは妻が泣いてるのに気が付きそっと抱きしめる。ライラもタブエルにしがみついて涙を流した。
「空に帰ったと思ってた娘が生きてる。その言葉だけでこんなに嬉しい事など他にあるのでしょうか?夢を見てる気持ちになります。」
シャム達も落ち着くまで静かに待った。ライラは静かに泣き落ち着くと空間ポッケから1つ手紙を取り出しシャムに手渡す。
「えっ?えっ?アルゲティからの手紙なの?私が先に読んでいいの?」
「はい、宛名はシャム様か私になっています。はいエニフ王国王妃マタルから手紙を貰いました。手紙は絵の後ろに挟まっていたそうです。」
シャムは封筒から中身を取り出して手紙を開いた。文字はとても癖が強く読みづらい、シャムは1度読んでみようと何度か試みたが、しかしやはり癖が強く読めない、ライラの方に手紙を差し出した。
「ライラ、アルゲティの文字少し読みづらいわ、ライラが読んで聞かせて、」
シャムから手紙を受け取ったライラは文字を見て苦笑いをする。あの子は昔からせっかちな子だった。アルゲティからの手紙と聞いてタブエルは慌てて顔を上げる。
「あらあらあの子相当慌てて書いたのね。シャム様こちらの絵もご覧下さい。エニフ王国で借りてきました。先に夫に見せても良いでしょうか?」
「絵?そうね。見たらタブエルも落ち着くかもね。」
ライラはもう1つ空間ポッケから長方形の絵を取り出すと、タブエルの肩を優しく抱いてそっと絵を見せた。
見た目は2人の空の人族の絵だ。
「これは...私の可愛い娘アルゲティ、丁寧に保存の魔法を掛けたなぜ居なくなった?それに横にいる子はまさか?!シ...シャムちゃん?そんな事は無いはずだ。それにあの子は俺達と同じ年齢のはずだ。ライラも知ってるだろう?
それに後に生まれたアルゲティよりも幼いんだ?ん?まて、なぜ長のシャム様と同じ名前なんだ?」
タブエルは娘の絵を見て懐かしむ様にその絵を撫でた後驚いた。娘の横に居る女の子に見覚えがあったからだ。その女の子は幼少時に姿を消してしまった女の子であった事、更に驚いたのは女の子は別れた当時そのままの姿で娘のアルゲティの横に立ちニッコリと笑っている。それと同時にタブエルは、自分達の長であるシャム様をなぜ今まで怖がっていたのか分からなくなった。
「今気がついたの?それにあなたはアルゲティの居場所をわかると思っていたわ、私はあの子を隠してるのはあなただとばかり、」
「いや俺は何もしてない、アルゲティを迎えに行った辺りは何をしたか全く思い出せない、その部分だけモヤが掛かっているようなんだ。」
「思い出せないの?ゆっくり思い出せば良いと思うの、それに焦っていては何もいい事ないわ、」
ライラはタブエルにそっと寄り添い言葉をかけ、次はシャム様に絵を見せようと立ち上がりシャム様を見る。
先程はタブエルが両手で頭を抱え悩んでいた。しかしシャム様の顔を見れば、シャム様はとてもバツの悪い顔をしている。
ライラは不思議に思いながら目の前のシャム様をじっと見る。
「シャム様何か困り事ですか?」
「な…なんでもない!少しの間考えさせて!」
他人から愛情を込められなければある程度成長した所でそれ以上成長しないのは空の人族だけ、
見た目と精神的に成長が緩やかなシャム様を気遣うと同時に、シャム様に不敬に感じないように気をつける、シャム様の見た目は想像よりもとても幼い、まずはしゃがみこんで視線を合わせた。上から大人が見下ろし話せば小さな子供は恐怖を感じてしまう、椅子に座っているシャム様に目線を合わせる為、屈んで視線の高さを合わせ、そっとシャム様の両手を取り優しく摩る。
(懐かしいわ、アルゲティの子供の頃を思い出すわね。落ち着かない時、あの子はこうしてあげると落ち着いていたわ。)
ライラの家には代々長に仕え残した日記と手記がある。
日記にはおばあちゃんと出会った頃の話や、ライラが生まれ育ち結婚して、おばあちゃんはアルゲティが産まれるほんの少し前に空に帰ってしまった。おじいちゃんはアルゲティが空を飛んだのを見届けた後、空に帰ってしまった。おじいちゃん達夫婦はいつもニコニコしていた。夫婦共に助け合い、励まし合い、慰めあった。たまに喧嘩もしたらしいが理想の夫婦といえるだろう、ライラはシャム様をじっと見て寂しく笑う、
「では読みますね。やっぱりあの子は文字の癖がとても強い、」
「ライラお願い、」
おじいちゃん達の日記を見て大体これ位の歳だろうと予想はついている。長達は私達空の人族よりも数倍長生きするという、シャム様に仕えていた人達を数え計算すると1600年、見た目年齢はトゥカーナと変わらない、始まりの乙女でもある空の人族の長は現在7人目、長が成長すれば歴代の長の見た目は変わらない、
なぜ分かるのかといえば、ライラの家は代々長の身の回りのお世話をする役割を持って産まれる為、特徴等の情報が細かく書かれており、事細かな特徴が全て一致している。
空の人族は生まれ物心がつくと自ずと天職がわかる。勿論役割は向き不向きもあるが、1部例外を除いてほぼ全ての人が疑問を抱くこともなく与えられた役割を果たしている。
例外はシャム様が行った世話人の役割放棄それと、アルゲティ失踪により役割を失った人くらい、役割を失ってもどうもない趣味に生きるだけ。
『シャムちゃんライラお母さん、ある人の助言に従って私は自分にそっくりな人形を作りました。人形には自分の魂の一部を込め本物に見えるように願いを込めました。父様や母様を騙す様な事をしてごめんなさい、それにシャムちゃんが連れていた精霊と約束したわ、今も始まりの乙女の家族がいるはずなの、私は探してあげたい、いいえちがう、探さなきゃダメなの、
それに助言を受け人形を作った時分かった事があるの、なぜか分からないけど、あの子私が作った人形の魂を持っているって分かったの、回収もしたいから追いかけるね。』
「アルゲティと会った時にあの子が助言をしたのよ。だけど肝心のアルゲティは帰ってくるつもりは無いみたい、気になるのは最後の一文ね、私はトゥカーナの魂を見た事あるけど、変わった子としか思わなかったわ、」
シャムはここでやっと祈りの乙女が空に帰ってすぐ、次代が生まれない原因が分かった。シャムは感情を見せないように瞳を伏せ考えると同時に納得をする、やっぱりそうなのね。と心の中で呟いた。
次代の始まりの乙女と祈りの乙女が空に帰って、次代が産まれないことは無い、先代が空に帰ると必ず産まれる。もうそれは呪いそのもの、シャムは3代前の始まりの乙女の日記を思い出す。
「空の人族は子供の居場所を感知できるのに、まさか昔迷子になった時の様に自分の居場所が分からないようにしたのか?今あの子に手紙送ったら届くのだろうか?よしライラ俺が手紙を送る、送らせてくれ、なぁライラアルゲティが帰ってきたら、あの子が好きだった料理を一緒に食べて過ごそう。あの子が居なくて家の中が暗くなったが、これからはアルゲティがいる。親としてこんなに嬉しい事があっただろうか…。」
「…良かったわねタブエル、」
「シャム様!ありがとうございます。ありがとうございます。空に帰ったと思っていたあの子が生きている!親にとってこれ以上の嬉しい事はありません。私は日々大精霊王様に祈り続けてました。私はこの先シャム様と大精霊王様に感謝をし日々祈りを捧げます。」
「あなた、もうこんな時ばかり早口になって、手紙を書くのでしょ?シャム様申し訳ございません。娘の事になると...」
ライラはそこまで言いかけ言葉に詰まり泣いている。そんなライラ達を見てシャムは視線を下げ自分の感情を押し殺す。
もし自分の子供が生きていたなら、ライラ達の様に泣いていたのかもしれない、何故自分の子供は空に帰ってしまったのだろう。なぜ?と自分に何度も問いかけたが答えは出ない、嬉しそうなタブエルの声が聞こえ咄嗟に耳を塞いだ。
「そうだったライラ、ではシャム様失礼します。」
タブエルは余程嬉しがって喜々と手紙を書き始めた。ライラだって娘が生きていることが嬉しい。しかしずっとアルゲティの生まれ変わりだと信じたトゥカーナの事を考えると気持ちは複雑になる。
「あなたあの子の事どう思ってるの?」
「あの子も私達の子供にすればいい、背中に翼が生えたんだ。空の人族と変わりはない、アルゲティの妹として迎えれば良い、」
タブエルは上機嫌に笑うが、ライラはシャム様に尋ねる事にした。この先絶対ぶつかる壁になる。聞ける事は聞いておいて損は無い、
「シャム様、娘が空に帰っていないようで安心しました。しかし空に帰っていない娘の魂と記憶の解除をされたトゥカーナはどうなるのでしょう?」
「そうね。魂が分かれてるなんて前代未聞だし聞いたことも無い、でもアルゲティが祈って魂を分けたって手紙に書いてあったけど、もしかするとトゥカーナは人形の魂が何らかの形で移ったとしか考えられないわね、祈りを使ったのなら、魂を人形に移したアルゲティが対処するしかないわ、」
すかさずクシャがポージングを変えシャムを笑顔で見る。今は胸の筋肉と腕の筋肉を見せたい様だ。フィレムは顔ではニコニコしているが心の中は無の状態、まるで玩具の様に無心でパチパチと手を叩く、
後ろからルクバトが「フィレムはあれで喜ぶのか」と呟くが無心で手を叩くフィレムには聞こえない、
「シャム様も出来るでしょう?」
シャムはツンと横を向き小さな声で呟く、クシャは顔の位置を変えず器用に身体だけをフィレムに見せるとウインクをする。パキッと音がしそうな程フィレムの笑顔が固まった。
「アルゲティが見つからず、ケーティは戻るからいいとして、もしトゥカーナも戻らなかったらよ、どうしようも無かったら私がするわ。」
「素直じゃありませんね。ではよろしくお願いしますシャム様、ではケーティとは誰のことでしょうか?お教え願います。」
「不思議な子、トゥカーナがケーティの祈りで祈りの乙女を呼び出す事が出来る、と言っていた。私もあの子はできそうな感じがする。クシャ、祈りの儀式をする準備をしてちょうだい、あの湖でやってみましょう。」
「御意、では準備に1日程お時間を頂きます。」
クシャは仕上げと言わんばかりに白い歯を見せ笑う、シャムとフィレムは疲れた顔を見合わせ、ルクバトはクシャに尊敬の眼差しを向けていた。
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