生存率0%の未来世界からの脱出

UG21

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第二章 サイキック

26話 メイド戦

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 メイド……? とりあえず、スキャンしてみましょう!

 ゲージが100%になるまで、時間が掛かったが、スキャンすることが出来た。

『汚染されたセキュリティメイド』
 危険レベル3
 セキュリティ会社によって開発された警備用の人造人間。オーダーメイドも可能で、メイドやナースなど様々なタイプがある。人工知能を搭載していたが、世界変異以降、人工知能タイプの機械が次々に故障し、動くものを手当たり次第に襲い掛かるようになった。強制停止コードも書き換えられている為、破壊するしかない。原因については現在も調査中。

 耐性:打撃・斬撃・火・水・雷・強制停止コード
 脆弱:EMP兵器

「EMP兵器……ってなんですか?」

「簡単に言うと、電磁波を発生させて、コンピューター類を制御不能にすることだ」

「そういう事でしたか、よく考えたら、EMPグレネードとか、ゲームとかで聞いたことがありましたね」

「EMPグレネード……元の世界だと、実在しない」

「そうなんですか!?」

「ゲームだけだ」

「そうだったんですか……」
 知らなかったです。

「それで、あいつをやるのか? いや、そもそも、動くのか? 見た目は動きそうにないが……?」

「ボロボロですし、動かないとは思いますが……仮に動いたとしても、私とスノーで対処します!」

「分かった」

 スノーと共に廊下にでる。

 瞬間、メイドの人造人間は顔を上げる。

「ウッ……!」
 少し、ゾッと鳥肌が立つ。

 特にメイドの片目部分が破損し、機械部分が露出していて不気味だ。

「……!」
 動きましたか、ここのシステムの電源が生きていましたし、不思議ではありません!

「シ、シシ侵入……者、ハハ、ハッケケン……」
 雑音交じりの抑揚のない声を上げながら、立ち上がる。

「セ、セキュリティ247条ニニ、モ基ヅキ、ハ、ハ排除イタシマス……」
 ぎこちない手で、鉄パイプを掴む。

 私も鉄パイプをサイコキネシスで引き寄せる。

「!」
 そして、メイドに向かって撃ち放つ。

 鉄パイプの先端が真っすぐメイドに向かって行く。

 金属が衝突する音が響いた。

「……!?」

 メイドは無傷だ。そして、鉄パイプを振り上げている。

 私が撃ち放った鉄パイプが地面に落ちて行く。

 弾かれた!?

 弾かれたことをようやく理解した時には、気が付いたら目の前に鉄パイプを振り上げているメイドがいた。

 弾ける様な金属音が響く。

 スノーの剣が目の前にある。

 鉄パイプを受け止めてくれていた様だ。

 火花が飛び散っている。

 メイドはスノーの剣を片手で掴むと、鉄パイプをぎこちない手で振り上げる。

「!!」
 スノーは剣を抜こうとしている様だが、抜けない。

 鉄パイプが振り落とされる寸前、くわえていた剣を離して、回避する。

「……!」
 余りにも想定外で、思考回路が回らない。地面に座り込んだまま、呆然とそれを眺める事しか出来なかった。

「銃を撃つ!!」
 怒声が響く同時に、背後から空気をすりつぶしたかのような銃声が響く。

 銃弾が発射された。

 瞬間、メイドは目に見えない速度で、頭部の位置に拳を作る。

 メイドが拳を開けると、潰れた銃弾が地面に落ちた。

「う、嘘だろ……!?」
 声が震えている。

 メイドは瞬時に、私のそばを通り過ぎる。

「!?」
 爆発したかのような衝撃音と共に、フロストは後ろに倒れる。

 メイドの拳がフロストのいた地面を破壊していた。

 間一髪で避けた様だ。

「ワン!!」
 メイドの背後から飛びかかり、噛みつく。

「!」
 距離をとりながら、メイドに向かって銃を撃つ。

 しかし、何事も無かったかのように、スノーの片足を掴むと、軽々とフロストに向かって投げ飛ばした。

「グッ!?」「キャン!」
 直撃し、地面に激しく倒れる。

 その衝撃でフロストのリックから物が飛び散った。

「ハハ、ハハハイジョ……ハ、イジョ……」
 メイドはスノーの剣を握りしめ、ぎこちない足で壁際に居る2人に向かって行っている。


「……!!」
 ようやく状況が飲み込めて、一気に焦燥感に襲われる。

 ま、まずいです!! 想像以上に強いです! 撤退するのにも、あの速度ですと、非常に困難です!

「ワン!! ワン!!」
 威嚇するように吠えている。

「キャプテンだけでも逃げろ!!」
 拳銃を向けながら声を上げる。


「……ッ!」
 逃げる!? そんなこと出来るほど、神経太くありません!! もしかしたら、後ろからなら、攻撃が効くかも知れません!

 鉄パイプをサイコキネシスで引き寄せようとするが、先に水の入ったペットボトルが目に映る。

 水……!! そうでした! もっといい手段がありました!!

 ペットボトルを引き寄せて、蓋を開ける。

 お願い!!

 念じると、ペットボトル内の水が空に放出され、水の球体が生成される。

 よし! サイコキネシスは液体にも適用されるそうですね! 出来て良かったです!! これを……!

 メイドに照準を合わせる。

 剣を振り上げる。

「クッ……!」
 身構える。

「行け!!」
 撃ち放つ。

「!」
 メイドは瞬時に振り向いて、剣でそれを切る。

 剣は水の球体を両断したが、そのまま、すり抜けて顔面に直撃した。

 水滴が顔から滴り、パチパチと電撃音と共に煙が発生する。

「シ、シシシ深刻……ナ……水没エラーガ、ハハハッセイイイシマシタ、キョ……強制、シャシャットダウン……」
 崩れるように地面に膝を落とすと頭部が燃え始める。

 閃光と共に小さな爆発が発生した。

「……!」
 目を開けると、機械部分が露出している上半身の無いメイドがいた。

「やったようですね……」
 息を吐きながら額の汗を拭う。

 破損している部分が多かったので、水でショート出来ると思いました。予想が当たって、良かったです……

「ナイスだ、キャプテン……」
 よろよろと立ち上がる。

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ。少し腰を痛めたぐらいだ」
 笑みを浮かべる。
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