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10 奴隷市場
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病み上がりから復帰した俺は、二人と共にレべリングを行うことにした。
そうして、レベルアップ時に得たステータスポイントをそれぞれ割り振った。
カナミは魔力を、ネリスは器用さをそれぞれ上げてみた。
少しパラメーターを調整した程度で、まだ本格的に上げることはしない。
一応、俺には俺の考えがあるが、二人の意見についても聞いておきたかったからだ。
「わ、本当に変わった感じがします」
「あたしも手先に意識を集中すると変わった感じがするな」
「これが転生時に授かった力だ。俺は人に備わった才能を覚醒させることができるんだよ。ただし、その為には一度それまでの成長をリセットする必要がある。ネリスに今回、行っておいたみたいにな」
「凄いですよ兄さん。成長しなおすとか変なことを言ってると思ってましたが、こういうことだったんですね」
説明が下手で悪かったな。
カナミの方は既にリセット済だったが、元々村人で大したステータスもなかったので、大きな変化は感じていなかったらしい。
それは、ネリスにしても同じことのようだった。ただ、騎士や冒険者なんかをリセットした場合は、だいぶステータスが下がるから影響はでかいだろうな。誤解を招いて恨まれたりするかもしれない。
自分のステータスを見ると二人がパーティに参加している。
二人とも戦力値30未満で話にならない弱さだが、鍛えればそこらの冒険者レベルには強くなるし、その上も目指せるだろう。
冒険に必要な最低限のレベリングを済ませた俺達は、一度王都へ戻った。
旅の支度は必要だからな。
宿で汗を流した後、店を回って買い出しを行うことにする。
「他の連中はもう動いてるだろうな」
「でも、盗賊団のアジトはまだ誰にも分かってないんじゃないか? 分かってたら依頼の段階でアジトを指定するだろうし」
「ちなみに場所はどこなんですか?」
「砂漠の近くだ」
「それ、本当なのかよ」
「信用ないな」
「だって兄さんはホラ吹きですから」
二人がクスクスと笑ってる。
(呑気なもんだな)
盗賊王ダイババの戦力値だが、俺の記憶が確かなら110はあったはずだ。
俺はともかく、二人はもっと鍛えないと連れて行けそうにない。
「アジトの位置は分かってるから、近くにある街を活動の拠点にしよう」
「盗賊団のアジトの近くで活動なんて、ちょっと怖い気もしますけど」
「連中も、アジトの近くなら逆に騒ぎは起こさないさ。目立ちたくないだろうからな」
俺はサルマンドという街へ向かうことに決めている。
ゲームでは盗賊団はピラミッドの地下迷宮を縄張りにしており、決められたエリアに踏み込まない限りは仕掛けてくることもなかった。
街の周辺で狩りをする分には、盗賊団に狙われることもないだろう。
それに、最悪は『変異体』を発動させて始末してしまえばいい。
そういう算段で俺は動くことにした。
で、出発の準備の為に王都の通りを歩いていたんだが、奴隷市場に通りかかった時にアリシアを発見してしまった。
アリシアは布切れ1枚を纏って、テントの前に置かれた椅子に座らせられていた。
顔には涙の跡が残り、身にまとっていただろう衣服や靴は全て奪われている。
さすがの俺も義憤に駆られてしまった。
アリシアのことはいけ好かない女だと思っていたが、これはやり過ぎだろう。
「アリシア!」
俺がアリシアに近づこうとすると、目の細いデブの商人がニタニタ笑いながら近づいてきた。
気になったのは、アリシアの隣にある首のない磔の死体だ。
嫌な予感がしつつ、俺は尋ねた。
「おい、彼女は俺の村の出身だ。なぜ彼女がこんな場所で売り物にされている。それに、隣の首のない死体は……」
「私はコマネシオン、この奴隷市場の商人です。彼女は同意の元、私の商品になりました。取り返したくば金貨100枚を払っていただきたい」
「金貨100枚だと? 彼女の父親はどこにいる」
「ああ、この首無しこそが彼女の父親ですよ。娘を売ると言ったら掴みかかってきましてね。罰として商品の隣に陳列しているところです。奴隷の殺害は罪ですが、正当防衛なら別ですからね。どうです? 父親を殺された憐れな娘、凌辱したくなりませんか? こうした方が売れると思ったのですが、値段が値段ですからね。まだ買い手はついておりません」
……許せないが、今は時間がない。
「俺が彼女を買う。一週間待ってくれ。そうしたら金貨150枚で彼女を買う」
「ふっふっふ。50枚上乗せですか。いいでしょう、私も気持ちよく商売をしたいですからね。同じ村の出身と言うなら便宜を図りましょう。ただし、七日を過ぎてもあなたが来なければ、その限りではありませんが」
俺は了承してコマネシオンの元を離れた。
そのまま王都を出たところで、カナミに問い詰められた。
「まさか本当に彼女を買うのですか?」
「村長と約束したし、無理やり奪うわけにもいかないだろ。奴隷売買は合法なんだからな。……クソが」
「……なんだか意外でした。兄さんはアリシアを嫌ってると思ってたので、そこまでするなんて」
「俺だって人の子なんだよ。まあ、屑だけどな」
女達は否定しない。
俺が正真正銘のクズだってことは知ってるだろうからな。
「アリシアを助けて村に連れ帰ろう」
呟きながら、俺は思う。
悪にも上がいるものだと。
落ちるところまで落ちたと思ったが、コマネシオンのようにはなりたくない。そんなことを思わされた。
そうして、レベルアップ時に得たステータスポイントをそれぞれ割り振った。
カナミは魔力を、ネリスは器用さをそれぞれ上げてみた。
少しパラメーターを調整した程度で、まだ本格的に上げることはしない。
一応、俺には俺の考えがあるが、二人の意見についても聞いておきたかったからだ。
「わ、本当に変わった感じがします」
「あたしも手先に意識を集中すると変わった感じがするな」
「これが転生時に授かった力だ。俺は人に備わった才能を覚醒させることができるんだよ。ただし、その為には一度それまでの成長をリセットする必要がある。ネリスに今回、行っておいたみたいにな」
「凄いですよ兄さん。成長しなおすとか変なことを言ってると思ってましたが、こういうことだったんですね」
説明が下手で悪かったな。
カナミの方は既にリセット済だったが、元々村人で大したステータスもなかったので、大きな変化は感じていなかったらしい。
それは、ネリスにしても同じことのようだった。ただ、騎士や冒険者なんかをリセットした場合は、だいぶステータスが下がるから影響はでかいだろうな。誤解を招いて恨まれたりするかもしれない。
自分のステータスを見ると二人がパーティに参加している。
二人とも戦力値30未満で話にならない弱さだが、鍛えればそこらの冒険者レベルには強くなるし、その上も目指せるだろう。
冒険に必要な最低限のレベリングを済ませた俺達は、一度王都へ戻った。
旅の支度は必要だからな。
宿で汗を流した後、店を回って買い出しを行うことにする。
「他の連中はもう動いてるだろうな」
「でも、盗賊団のアジトはまだ誰にも分かってないんじゃないか? 分かってたら依頼の段階でアジトを指定するだろうし」
「ちなみに場所はどこなんですか?」
「砂漠の近くだ」
「それ、本当なのかよ」
「信用ないな」
「だって兄さんはホラ吹きですから」
二人がクスクスと笑ってる。
(呑気なもんだな)
盗賊王ダイババの戦力値だが、俺の記憶が確かなら110はあったはずだ。
俺はともかく、二人はもっと鍛えないと連れて行けそうにない。
「アジトの位置は分かってるから、近くにある街を活動の拠点にしよう」
「盗賊団のアジトの近くで活動なんて、ちょっと怖い気もしますけど」
「連中も、アジトの近くなら逆に騒ぎは起こさないさ。目立ちたくないだろうからな」
俺はサルマンドという街へ向かうことに決めている。
ゲームでは盗賊団はピラミッドの地下迷宮を縄張りにしており、決められたエリアに踏み込まない限りは仕掛けてくることもなかった。
街の周辺で狩りをする分には、盗賊団に狙われることもないだろう。
それに、最悪は『変異体』を発動させて始末してしまえばいい。
そういう算段で俺は動くことにした。
で、出発の準備の為に王都の通りを歩いていたんだが、奴隷市場に通りかかった時にアリシアを発見してしまった。
アリシアは布切れ1枚を纏って、テントの前に置かれた椅子に座らせられていた。
顔には涙の跡が残り、身にまとっていただろう衣服や靴は全て奪われている。
さすがの俺も義憤に駆られてしまった。
アリシアのことはいけ好かない女だと思っていたが、これはやり過ぎだろう。
「アリシア!」
俺がアリシアに近づこうとすると、目の細いデブの商人がニタニタ笑いながら近づいてきた。
気になったのは、アリシアの隣にある首のない磔の死体だ。
嫌な予感がしつつ、俺は尋ねた。
「おい、彼女は俺の村の出身だ。なぜ彼女がこんな場所で売り物にされている。それに、隣の首のない死体は……」
「私はコマネシオン、この奴隷市場の商人です。彼女は同意の元、私の商品になりました。取り返したくば金貨100枚を払っていただきたい」
「金貨100枚だと? 彼女の父親はどこにいる」
「ああ、この首無しこそが彼女の父親ですよ。娘を売ると言ったら掴みかかってきましてね。罰として商品の隣に陳列しているところです。奴隷の殺害は罪ですが、正当防衛なら別ですからね。どうです? 父親を殺された憐れな娘、凌辱したくなりませんか? こうした方が売れると思ったのですが、値段が値段ですからね。まだ買い手はついておりません」
……許せないが、今は時間がない。
「俺が彼女を買う。一週間待ってくれ。そうしたら金貨150枚で彼女を買う」
「ふっふっふ。50枚上乗せですか。いいでしょう、私も気持ちよく商売をしたいですからね。同じ村の出身と言うなら便宜を図りましょう。ただし、七日を過ぎてもあなたが来なければ、その限りではありませんが」
俺は了承してコマネシオンの元を離れた。
そのまま王都を出たところで、カナミに問い詰められた。
「まさか本当に彼女を買うのですか?」
「村長と約束したし、無理やり奪うわけにもいかないだろ。奴隷売買は合法なんだからな。……クソが」
「……なんだか意外でした。兄さんはアリシアを嫌ってると思ってたので、そこまでするなんて」
「俺だって人の子なんだよ。まあ、屑だけどな」
女達は否定しない。
俺が正真正銘のクズだってことは知ってるだろうからな。
「アリシアを助けて村に連れ帰ろう」
呟きながら、俺は思う。
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