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13.聖剣
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「ユリアン様って、気難しくて取り入るのが難しいって評判なの。あの方に気に入られるなんて凄いわね」
結局、『ぜひ泊っていけ』と押されてしまい、本邸の客間を借りることになってしまった。本来は王侯貴族を受け入れる部屋らしく、案内してくれた侍女は笑顔が引きつっていた。
「ユリアン様はずっと独り身なのか?」
ベッドに寝そべってエレナと語らう。彼女の肩を抱いていると安心する。
「そうね……。盗賊の被害にあってご家族を同時に亡くされてからは、ずっとお独りだったわ」
「そうか。正義を愛するというより、悪を許せないのかもしれないな」
潔癖なこの街にいると、彼の持つ妄念のようなものを感じる。悪を見逃さず、断罪に心血を注いでいる。俺のような流れの者を取り立てるのも、悪を潰す為だ。
エレナという愛を注ぐ女性を得たことで、俺にも彼の気持ちが少し分かるようになった。もしもエレナを盗賊に奪われるようなことがあれば、俺も悪を憎むようになっていただろう。
エレナの肩を強く抱く。
連日彼女と肌を合わせている内に、どうにも情が湧いてしまった。
エレナを自分のモノにしたい。恋人にして甘い関係を築きたい。
だが、それは俺の独りよがりだということも自覚している。エレナは奴隷としてよく尽くしてくれるが、それは主人に対する愛情であって、恋人に向けるような感情ではない。日頃は気持ちよく感じている彼女の気持ちを、こんな風に不満に思ってしまうのは、単に俺のワガママだ。
「綺麗だ。エレナ」
耳元で囁きながらキスを重ねる。
心が手に入らないなら、せめて身体だけでも。そう考えてしまう自分の醜さに呆れる。
「あ、今日は駄目よ。ベッドを汚したら……」
「若い2人なんだ。それくらい大目に見てくれるさ」
俺はエレナに覆いかぶさり、彼女の柔肌を貪った。
(刻みつけてやる……。俺のモノにしてやる)
いつもよりキツく攻められたエレナは、枕で自分の顔を隠して震えていた。
声は聴こえなくても、身体の反応を見れば分かる。
身勝手な自分に呆れつつ、熱い一夜を過ごした。
――翌日、豪勢な朝食でもてなされた俺とエレナは、ゆっくりと食事を取ってから元の宿へ戻っていった。それから、不動産屋へ向かうことにした。
「ねえ、あの家を購入するの?」
「まあな。金も手に入ったし、この街は他の街に比べれば治安がいいらしいからな」
俺は不動産屋で屋敷を購入する手続きを行い、新しい家に引っ越した。
と言っても、宿に置いてた少量の荷物が移動しただけだ。
部屋の割り当てを行い、エレナにも個室を与えた。
寝室は同じだけどな。
「え? 私にも部屋をくれるの?」
「あった方がなにかと便利だろ」
「ありがとう!」
抱きついてきたエレナが頬にキスをしてくる。
部屋を与えて私物が増えれば、簡単には出ていかないだろう。
打算塗れの判断だったので、素直に喜ばれると少し心苦しい。
「2日くらいは迷宮に行くのを休んで、新しい生活の準備にあてよう」
「当面は遊んで暮らせそうよね。まだ迷宮に入るの?」
「別に拘る訳じゃないが、自分を鍛えて何かあった時に対処できるようにしておきたいんだ」
「迷宮で鍛錬って、凄い発想よね」
「皆はやらないのか?」
ゲームとかで、迷宮ってそういう場だろ?
「やらないわよ。さすがに危険すぎるし」
「そうか。いいと思うんだけどな。そろそろ買い出しに行くか?」
「今日は荷物持ち頑張るから」
意気込むエレナだが、市場で購入した手荷物は俺が持つことにした。俺の方がレベルが高いし、女の子に荷物を持たせるのは傍目から見ていかがなものか。
「あなたがご主人様なのに……」
「だけど、俺がこうしたいんだ」
「そんなに優しくするから、私がつけあがるのよ?」
「つけあがってても可愛いぞ」
「もう~」
照れて怒ったフリをするエレナは、食べてしまいたいくらい可愛かった。
その後、買い物を終えた俺は、一つ実験をすることにした。
「転移魔法?」
「そうだ。聖剣の力で、俺は一度行ったことがある場所に人や物を行き来させられるようになった」
「え? 本当なの?」
「試しに荷物を飛ばしてみようと思うが、エレナは構わないか?」
「うん。ミトのお金で買ったものだし、私も転移魔法とか見たいし」
「じゃあ試してみよう」
答えてから、俺は買い込んだ荷物に転移しろと念じた。すると、瞬く間に荷物が焼失し、魔力が失われた。ステータスを表示させていたが、1/4程の魔力が削られている。
(1日に転移が使える回数は、4回程だな)
「次は俺達の番だ」
「え? え? 心の準備が……」
エレナを伴って屋敷に転移した。
「成功だな」
「もう、いきなり転移なんてひどい!」
驚いたようで、珍しく怒らせてしまった。
「悪かった。それにしても凄い魔法だな」
「そうね。まさか迷宮にも自由に出入りできるの?」
「恐らくできるだろうな。少し飛んでこようと思う。エレナは食事の準備を頼めるか?」
「え。一人でも平気なの?」
「心配性だな。無理をするつもりはない」
転移を試してみる。
すると、前回攻略した場所まで飛ぶことができた。
結局、『ぜひ泊っていけ』と押されてしまい、本邸の客間を借りることになってしまった。本来は王侯貴族を受け入れる部屋らしく、案内してくれた侍女は笑顔が引きつっていた。
「ユリアン様はずっと独り身なのか?」
ベッドに寝そべってエレナと語らう。彼女の肩を抱いていると安心する。
「そうね……。盗賊の被害にあってご家族を同時に亡くされてからは、ずっとお独りだったわ」
「そうか。正義を愛するというより、悪を許せないのかもしれないな」
潔癖なこの街にいると、彼の持つ妄念のようなものを感じる。悪を見逃さず、断罪に心血を注いでいる。俺のような流れの者を取り立てるのも、悪を潰す為だ。
エレナという愛を注ぐ女性を得たことで、俺にも彼の気持ちが少し分かるようになった。もしもエレナを盗賊に奪われるようなことがあれば、俺も悪を憎むようになっていただろう。
エレナの肩を強く抱く。
連日彼女と肌を合わせている内に、どうにも情が湧いてしまった。
エレナを自分のモノにしたい。恋人にして甘い関係を築きたい。
だが、それは俺の独りよがりだということも自覚している。エレナは奴隷としてよく尽くしてくれるが、それは主人に対する愛情であって、恋人に向けるような感情ではない。日頃は気持ちよく感じている彼女の気持ちを、こんな風に不満に思ってしまうのは、単に俺のワガママだ。
「綺麗だ。エレナ」
耳元で囁きながらキスを重ねる。
心が手に入らないなら、せめて身体だけでも。そう考えてしまう自分の醜さに呆れる。
「あ、今日は駄目よ。ベッドを汚したら……」
「若い2人なんだ。それくらい大目に見てくれるさ」
俺はエレナに覆いかぶさり、彼女の柔肌を貪った。
(刻みつけてやる……。俺のモノにしてやる)
いつもよりキツく攻められたエレナは、枕で自分の顔を隠して震えていた。
声は聴こえなくても、身体の反応を見れば分かる。
身勝手な自分に呆れつつ、熱い一夜を過ごした。
――翌日、豪勢な朝食でもてなされた俺とエレナは、ゆっくりと食事を取ってから元の宿へ戻っていった。それから、不動産屋へ向かうことにした。
「ねえ、あの家を購入するの?」
「まあな。金も手に入ったし、この街は他の街に比べれば治安がいいらしいからな」
俺は不動産屋で屋敷を購入する手続きを行い、新しい家に引っ越した。
と言っても、宿に置いてた少量の荷物が移動しただけだ。
部屋の割り当てを行い、エレナにも個室を与えた。
寝室は同じだけどな。
「え? 私にも部屋をくれるの?」
「あった方がなにかと便利だろ」
「ありがとう!」
抱きついてきたエレナが頬にキスをしてくる。
部屋を与えて私物が増えれば、簡単には出ていかないだろう。
打算塗れの判断だったので、素直に喜ばれると少し心苦しい。
「2日くらいは迷宮に行くのを休んで、新しい生活の準備にあてよう」
「当面は遊んで暮らせそうよね。まだ迷宮に入るの?」
「別に拘る訳じゃないが、自分を鍛えて何かあった時に対処できるようにしておきたいんだ」
「迷宮で鍛錬って、凄い発想よね」
「皆はやらないのか?」
ゲームとかで、迷宮ってそういう場だろ?
「やらないわよ。さすがに危険すぎるし」
「そうか。いいと思うんだけどな。そろそろ買い出しに行くか?」
「今日は荷物持ち頑張るから」
意気込むエレナだが、市場で購入した手荷物は俺が持つことにした。俺の方がレベルが高いし、女の子に荷物を持たせるのは傍目から見ていかがなものか。
「あなたがご主人様なのに……」
「だけど、俺がこうしたいんだ」
「そんなに優しくするから、私がつけあがるのよ?」
「つけあがってても可愛いぞ」
「もう~」
照れて怒ったフリをするエレナは、食べてしまいたいくらい可愛かった。
その後、買い物を終えた俺は、一つ実験をすることにした。
「転移魔法?」
「そうだ。聖剣の力で、俺は一度行ったことがある場所に人や物を行き来させられるようになった」
「え? 本当なの?」
「試しに荷物を飛ばしてみようと思うが、エレナは構わないか?」
「うん。ミトのお金で買ったものだし、私も転移魔法とか見たいし」
「じゃあ試してみよう」
答えてから、俺は買い込んだ荷物に転移しろと念じた。すると、瞬く間に荷物が焼失し、魔力が失われた。ステータスを表示させていたが、1/4程の魔力が削られている。
(1日に転移が使える回数は、4回程だな)
「次は俺達の番だ」
「え? え? 心の準備が……」
エレナを伴って屋敷に転移した。
「成功だな」
「もう、いきなり転移なんてひどい!」
驚いたようで、珍しく怒らせてしまった。
「悪かった。それにしても凄い魔法だな」
「そうね。まさか迷宮にも自由に出入りできるの?」
「恐らくできるだろうな。少し飛んでこようと思う。エレナは食事の準備を頼めるか?」
「え。一人でも平気なの?」
「心配性だな。無理をするつもりはない」
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