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23.救世主
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「ずっと不思議だったのよ。記憶がないからってこんなに人が変わるかしらって」
「あまりに強すぎると思ってたんです。ジョブとスキルってとんでもない加護ですよ」
それぞれに疑問は抱いてたらしい。まあ、そりゃそうだよな。全く自重してなかったし。
「転生者って聞いて気持ち悪いとか思わないか?」
「逆に聞くけど、私達が転生者だったらアシルは引くの?」
「いや、俺は引かないけど」
「私達だって同じよ。そんなことで嫌いになったりしない」
「エレナさんの言う通りです。ずっと秘密を抱えて頑張ってきたんですね」
ヨシヨシとリーナが頭を撫でてくれた。
肩の力が抜けて、気持ちが楽になるのを感じる。
誰にも打ち明けられない秘密を抱えて生きることに、心は疲弊していたんだな。でも、これからは違う。俺にはエレナとリーナがいるんだ。
「ありがとう。それと、今まで黙っててごめんな」
「私達を思ってのことでしょう? 許すけど、これからはちゃんと素直に頼ること。まだリーナに聞きたいことがあるんでしょ?」
「俺は知らないことだらけだからな」
王子の婚約者として妃教育を受けてきたリーナ。彼女の知識量はこの国でも最上位のものだし、頼りになる。リーナがいなかったら、俺は魔神王という存在に辿りつけなかっただろう。
「リーナは魔神王になりそうな王族に心当たりはあるか?」
「私も考えていたのですが、今のところは思いつきません。各国の神獣は穏やかな気性だと聞きますし」
「もしかして、神獣の性格は召喚する王の心に影響されるのか?」
「神獣は王の心を糧に成長しますから。穏やかな王の元では穏やかな神獣が、気性の荒い王の元では、気性の荒い神獣が育ちます。未熟な王が育てた神獣はコントロールが難しく暴走の危険があるので、王家は性格に難がある者は王位につけないようにしています。下手をしたら自国を滅ぼす災害になってしまいますし」
「レオンのような王子が王になったりしたら大変そうだな」
「高慢で排他的な神獣に育つでしょうしね。それでも、あの方が魔神王と呼ばれるほど恐ろしい野心を持っているかは疑問です」
リーナは困り顔で溜め息をついた。彼女の知識をもってしても、魔神王の特定には至らないようだ。
「人間の力で神獣に太刀打ちすることはできないかな」
「加護を得たアシル様の力でも、どこまで対抗できるかは未知数ですね。神獣は単体で国落としができる程の戦力ですから」
可能な限り準備をして、やってみるしかないということか。
魔神王について現段階で特定するのは不可能なようだ。
そして、今の俺に単体で国を落とすだけの力はない。神獣に対抗する力が必要だ。
「魔神王の特定は今後も続けるとして、もっと協力者は必要だと思う。何かいい手はないかな」
「もし本当に魔神王が復活すれば、国家レベルで対処する問題になると思います。ただ、女神様が遣わした救世主という話を信じさせるには、相応の根拠は必要だと思うんです」
「待ってくれ。救世主って俺のことか?」
「アシル様、自覚をお持ちになってください。魔神王に対処する為に加護を授かって転生してるんですよ? これを救世主と言わずに何と言いましょう」
エレナが空気が抜けるような笑い声を漏らした。
「ふ……ふふっ……。ごめんなさい。アシルが救世主って似合わなくて……ふふっ」
「もう、笑わないでください! 女神様が地上に救世主を遣わせてくださるなんて、ありがたいことなんですよ?」
「ふふ、謝ってるじゃない。じゃあ、ひとまずアシルが救世主だってことを皆に認めさせるってことでいいのね? そうすれば国王陛下だって動いてくださるかもしれないし」
「手っ取り早く分からせるスキルがあればいいんだけどな。魔法じゃないかって疑われればそれまでだろうし……。あー、アレならいけるかな」
できれば頼りたくない方法で証明できるかもしれない。
「俺、実は死んでも一日99回までなら蘇生できるっていう加護があるんだよ」
「「えええええ!?」」
さすがに驚いたらしかった。2人共、今までで一番驚愕してる。
「剣で刺しても死ななかったら王様も認めてくれるんじゃないか?」
「馬鹿、その前に悪魔と思われて処刑されちゃうわよ! 不死者なんて聞いたこともないんだからね!」
「私も同意見です。どちらかといえば救世主よりも悪魔寄りなイメージだと思います。見栄え的にもショッキングですし……」
残機はダメか。
「教会を頼ってみるのはどうでしょうか。過去に聖人や聖女の認定をしていた教会なら、救世主の認定もしてくれるかもしれません」
「リーナは教会ともパイプがあるのか?」
「お父様を頼ったら何とかしてくれると思います」
公爵家って強いな……。
「リーナが味方で良かったわね?」
「ああ、本当だよな」
頭が良くて知識量も半端なくて行動力があり、しかも権力と美貌すら兼ね備えた令嬢を敵に回したアホ王子がいるらしい。無知ってのは恐ろしいな……。
「あまりに強すぎると思ってたんです。ジョブとスキルってとんでもない加護ですよ」
それぞれに疑問は抱いてたらしい。まあ、そりゃそうだよな。全く自重してなかったし。
「転生者って聞いて気持ち悪いとか思わないか?」
「逆に聞くけど、私達が転生者だったらアシルは引くの?」
「いや、俺は引かないけど」
「私達だって同じよ。そんなことで嫌いになったりしない」
「エレナさんの言う通りです。ずっと秘密を抱えて頑張ってきたんですね」
ヨシヨシとリーナが頭を撫でてくれた。
肩の力が抜けて、気持ちが楽になるのを感じる。
誰にも打ち明けられない秘密を抱えて生きることに、心は疲弊していたんだな。でも、これからは違う。俺にはエレナとリーナがいるんだ。
「ありがとう。それと、今まで黙っててごめんな」
「私達を思ってのことでしょう? 許すけど、これからはちゃんと素直に頼ること。まだリーナに聞きたいことがあるんでしょ?」
「俺は知らないことだらけだからな」
王子の婚約者として妃教育を受けてきたリーナ。彼女の知識量はこの国でも最上位のものだし、頼りになる。リーナがいなかったら、俺は魔神王という存在に辿りつけなかっただろう。
「リーナは魔神王になりそうな王族に心当たりはあるか?」
「私も考えていたのですが、今のところは思いつきません。各国の神獣は穏やかな気性だと聞きますし」
「もしかして、神獣の性格は召喚する王の心に影響されるのか?」
「神獣は王の心を糧に成長しますから。穏やかな王の元では穏やかな神獣が、気性の荒い王の元では、気性の荒い神獣が育ちます。未熟な王が育てた神獣はコントロールが難しく暴走の危険があるので、王家は性格に難がある者は王位につけないようにしています。下手をしたら自国を滅ぼす災害になってしまいますし」
「レオンのような王子が王になったりしたら大変そうだな」
「高慢で排他的な神獣に育つでしょうしね。それでも、あの方が魔神王と呼ばれるほど恐ろしい野心を持っているかは疑問です」
リーナは困り顔で溜め息をついた。彼女の知識をもってしても、魔神王の特定には至らないようだ。
「人間の力で神獣に太刀打ちすることはできないかな」
「加護を得たアシル様の力でも、どこまで対抗できるかは未知数ですね。神獣は単体で国落としができる程の戦力ですから」
可能な限り準備をして、やってみるしかないということか。
魔神王について現段階で特定するのは不可能なようだ。
そして、今の俺に単体で国を落とすだけの力はない。神獣に対抗する力が必要だ。
「魔神王の特定は今後も続けるとして、もっと協力者は必要だと思う。何かいい手はないかな」
「もし本当に魔神王が復活すれば、国家レベルで対処する問題になると思います。ただ、女神様が遣わした救世主という話を信じさせるには、相応の根拠は必要だと思うんです」
「待ってくれ。救世主って俺のことか?」
「アシル様、自覚をお持ちになってください。魔神王に対処する為に加護を授かって転生してるんですよ? これを救世主と言わずに何と言いましょう」
エレナが空気が抜けるような笑い声を漏らした。
「ふ……ふふっ……。ごめんなさい。アシルが救世主って似合わなくて……ふふっ」
「もう、笑わないでください! 女神様が地上に救世主を遣わせてくださるなんて、ありがたいことなんですよ?」
「ふふ、謝ってるじゃない。じゃあ、ひとまずアシルが救世主だってことを皆に認めさせるってことでいいのね? そうすれば国王陛下だって動いてくださるかもしれないし」
「手っ取り早く分からせるスキルがあればいいんだけどな。魔法じゃないかって疑われればそれまでだろうし……。あー、アレならいけるかな」
できれば頼りたくない方法で証明できるかもしれない。
「俺、実は死んでも一日99回までなら蘇生できるっていう加護があるんだよ」
「「えええええ!?」」
さすがに驚いたらしかった。2人共、今までで一番驚愕してる。
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「私も同意見です。どちらかといえば救世主よりも悪魔寄りなイメージだと思います。見栄え的にもショッキングですし……」
残機はダメか。
「教会を頼ってみるのはどうでしょうか。過去に聖人や聖女の認定をしていた教会なら、救世主の認定もしてくれるかもしれません」
「リーナは教会ともパイプがあるのか?」
「お父様を頼ったら何とかしてくれると思います」
公爵家って強いな……。
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