50 / 69
50 救いの手
しおりを挟む
聖地エレノア。ここは初代聖女にして、建国の王クワハラの妻だった女が異教徒の凶弾に倒れた場所だとされている。信徒達にとって重要な地だが、普段は大司教が管理をしており、一般の信徒を入れることは固く禁じられている。
「どうしてこんなところにくるの? 私のこと襲う気でしょ?」
「大司教にまつわる情報を手に入れてから、俺は徹底的に奴が足を運んだ先を調べていった。そして、見つけたのがこの悪徳の都、ソドムだ」
碑文の刻まれた石板で壁ドンをする。
聖女はビクリと肩を竦ませている。
「これから真実を見せてやる」
碑文に魔力を注ぐと裏側に地下へ通じる階段が現れた。
「こ、こんな仕掛けあったの? 魔法も使えない国なのに、たまに変なのが見つかるわね」
「いいからついてこい」
トリテアにある魔法の痕跡は、クワハラ達のものだ。
今は廃れてしまった技術が過去にはあった。そういうことだろう。
カツ、コツ、と石造りの階段を降りていく。長い階段を五分ほど無言で降りると、地下の部屋に通じる扉が現れる。俺が扉を押すと、そこはベッドだけが置かれた手狭な隠し部屋だった。
「え……」
アンナが言葉を失う。獣人の少女が鎖に繋がれていた。
肩で髪を切り揃えた、褐色の肌の娘だ。
身体中に殴られたような痣があり、口の端は切れていた。服は着ていない。
鞭でも使ったのか、あちこちに裂傷まであった。
俺達と目が合うと、彼女は頭を抱えて縮こまった。
「た、助けにきたのよ?」
アンナが安心させるように話しかける。
亜人なんかどうでもいいと言っていた彼女だが、人間として最低限の良心は捨てていなかったらしい。
「お姉ちゃん……」
「うん。……うん。もう大丈夫だから」
「たたかないでぇ」
アンナは言葉を失くしてる。
想像と現実は違う。
「あいつ……許せない……」
「そうだな。今すぐ解放してやろう」
鎖を破壊し、娘を解放してやる。
「俺の仲間のところに送る。もう大丈夫だからな?」
「……もうたたかれない?」
「誰もあなたを叩いたりしないから。……今までごめんね。助けてあげられなくて、本当にごめんね」
獣人の少女を転移魔法で本邸に送る。
エメリスに事情は話しておいたから、彼女ならうまくやってくれるだろう。
「何よ……。なんなのよ。どうしてあんな小さい子がこんな目に……!」
「噂で知ってたんだろ? あいつが獣人の子供を暴行するペド野郎だってことはな」
「悪い噂はあったけど……あんな……」
「これが現実なんだよ」
無理に性交すれば壊れてしまう程の幼子だ。
それを、ライアスは痛めつけていた。
「どう感じた? お前が亜人だからという理由で救わなかった子供だ」
「こんな酷いって知らなかった」
「俺が気づくよりも早く、聖女であるお前なら大司教を断罪できた。それをしなかったのは怠慢だ」
俺は転移門を開いた。
「どうする。俺が大司教の始末をつけてもいいが、望むならお前に判断を委ねる」
「私に疑われるなんて思ってないでしょうし、こっちで証拠を見つけてケリをつけるわ」
「そうか。俺はさっきの娘の治癒をするから帰る」
「私を抱いていかないの? それが目的だったんでしょ?」
それは誤解だ。俺はするなんて一言も言ってない。
「今日は亜人を救いにきた。それだけだ。お前のことは抱きたいけどな」
「噂通りね。それでも、大司教よりは遥かにマシよ」
「どうしてこんなところにくるの? 私のこと襲う気でしょ?」
「大司教にまつわる情報を手に入れてから、俺は徹底的に奴が足を運んだ先を調べていった。そして、見つけたのがこの悪徳の都、ソドムだ」
碑文の刻まれた石板で壁ドンをする。
聖女はビクリと肩を竦ませている。
「これから真実を見せてやる」
碑文に魔力を注ぐと裏側に地下へ通じる階段が現れた。
「こ、こんな仕掛けあったの? 魔法も使えない国なのに、たまに変なのが見つかるわね」
「いいからついてこい」
トリテアにある魔法の痕跡は、クワハラ達のものだ。
今は廃れてしまった技術が過去にはあった。そういうことだろう。
カツ、コツ、と石造りの階段を降りていく。長い階段を五分ほど無言で降りると、地下の部屋に通じる扉が現れる。俺が扉を押すと、そこはベッドだけが置かれた手狭な隠し部屋だった。
「え……」
アンナが言葉を失う。獣人の少女が鎖に繋がれていた。
肩で髪を切り揃えた、褐色の肌の娘だ。
身体中に殴られたような痣があり、口の端は切れていた。服は着ていない。
鞭でも使ったのか、あちこちに裂傷まであった。
俺達と目が合うと、彼女は頭を抱えて縮こまった。
「た、助けにきたのよ?」
アンナが安心させるように話しかける。
亜人なんかどうでもいいと言っていた彼女だが、人間として最低限の良心は捨てていなかったらしい。
「お姉ちゃん……」
「うん。……うん。もう大丈夫だから」
「たたかないでぇ」
アンナは言葉を失くしてる。
想像と現実は違う。
「あいつ……許せない……」
「そうだな。今すぐ解放してやろう」
鎖を破壊し、娘を解放してやる。
「俺の仲間のところに送る。もう大丈夫だからな?」
「……もうたたかれない?」
「誰もあなたを叩いたりしないから。……今までごめんね。助けてあげられなくて、本当にごめんね」
獣人の少女を転移魔法で本邸に送る。
エメリスに事情は話しておいたから、彼女ならうまくやってくれるだろう。
「何よ……。なんなのよ。どうしてあんな小さい子がこんな目に……!」
「噂で知ってたんだろ? あいつが獣人の子供を暴行するペド野郎だってことはな」
「悪い噂はあったけど……あんな……」
「これが現実なんだよ」
無理に性交すれば壊れてしまう程の幼子だ。
それを、ライアスは痛めつけていた。
「どう感じた? お前が亜人だからという理由で救わなかった子供だ」
「こんな酷いって知らなかった」
「俺が気づくよりも早く、聖女であるお前なら大司教を断罪できた。それをしなかったのは怠慢だ」
俺は転移門を開いた。
「どうする。俺が大司教の始末をつけてもいいが、望むならお前に判断を委ねる」
「私に疑われるなんて思ってないでしょうし、こっちで証拠を見つけてケリをつけるわ」
「そうか。俺はさっきの娘の治癒をするから帰る」
「私を抱いていかないの? それが目的だったんでしょ?」
それは誤解だ。俺はするなんて一言も言ってない。
「今日は亜人を救いにきた。それだけだ。お前のことは抱きたいけどな」
「噂通りね。それでも、大司教よりは遥かにマシよ」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる