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20 ゲームの終わり
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「身体を麻痺させただけです。まだ息はあります」
陛下の近衛騎士たちが殿下に報告をします。
「リア、今の内に身体を戻そう」
「分かりました」
(女神様、リアの身体を元に戻してください)
『はいよー』
雑な返事と同時に身体が元に戻りました。
「殿下、戻りましたよー!」
「良かった。俺のリアが戻って来たんだ」
殿下に抱きしめられます。ガチガチに勃起したアソコがリアのお腹に当たってて、何日も我慢してたっていうのが分かります。せっかく元の身体に戻れたので、たっぷりヌキヌキしてあげたいですね。
「父上、この度は力を貸していただきありがとうございました」
「可愛いリアの為だ。どうということはない。それよりも、この娘の処遇を決めねばな」
マリエルさんが今回したことはきっと許されないことだと思います。
王国の政治を混乱させて、リアの身体も奪いました。
お馬鹿な私でも分かるくらい、彼女が重ねたのは重罪なんです。
「首を落とすか……」
(……マリエルさん。どうしてこんなに悪いことをしたんですか?)
『気になるなら本人と会って話してみるー?』
(そんなことできるんですか!?)
『いいよー。ゆっくり話しておいでー』
女神様の起こした奇跡で、気がつくと私は白い部屋にいました。
そこにはソファが3つ用意してあって、座っているのはマリエルさんとクラリスさんでした。
「あんたも来たのね」
「ここはどういう空間なんでしょうか……」
「さぁ? 女神様が最後にお別れ会を開いてくれたのかもしれないわね」
「お別れ会……ですか?」
「そうよ。ゲームクリアおめでとう、悪役令嬢さん。あなたの本名が知りたいわ」
マリエルさんに聞かれますけど、リアは何のことか分かりません。
「悪役令嬢……ですか?」
「冷めるわー。もうごっこ遊びはいいじゃない。あんたも日本で死んで転生したんでしょ?」
「本当に分からないです。二ホンってなんですか?」
「まさか……。ここがトライ・デスティニーの世界だって知らないわけ?」
「なんですかそれ?」
リアが小首を傾げると、マリエルさんが盛大に溜息をつきました。
「もしかして、悪役令嬢リアの性格が変わったのって、マリエルさんが計略を巡らして彼女の生活環境が変わったせいじゃないですか?」
「……嘘でしょ。策士策に溺れるってこのことじゃない。あーもう! ありえない!」
マリエルさんが年相応に怒ってるのを見て私は笑ってしまいました。
「えへへ。女の子の友達がいたらこんな感じなんですかね」
「「……………………」」
二人が黙り込んでしまいます。
先に謝ってきたのはクラリスさんの方でした。
「ごめんなさい。私は、自分が上手くいかない理由を全部あなたに被せて勝手に逆恨みしてました」
「そんな、いいんですよ! リアは馬鹿なのに殿下と一緒にいたいって思って……。きっと目障りだったと思います」
「そんなことない。あなたは自分の努力で殿下を落としました。運命を変えたんです。私は失敗したけど、どうかクラリスの分まで幸せになってください」
せっかく本音で話せたのに、クラリスさんとはきっともう会えなくなります。
そう思うと、途方もない悲しさを覚えました。
こんな風に素直に気持ちを吐き出せる友達、リアにはいなかったですから。
「あー。きっと私、これから地獄に落ちるけど。謝っとくわ」
「……マリエルさん」
「あんたみたいな純真で馬鹿正直な子を押しのけて殿下と幸せになろうとした罰が、これから私には降り注ぐと思う。間違っても同情だけはしないでね。当然の報いってやつだから」
マリエルさんは清々しいくらい自分の罰を受け入れています。
リアには分かりません。どうして、こんなにいい人そうなのに悪い道に走ってしまったのか……。
「マリエルさんは殿下が好きだったんですか?」
「そうだね。前世の私ってヴァレールラブな人だったから。イベントに向かう途中で事故に巻き込まれちゃったから、私を憐れんだ神様がご褒美をくれたんだって、勝手に勘違いしちゃったみたい。もう一回やり直せたら、リアの恋を応援しながら自由に生きられたかなぁ」
「無理でしょ。あなた酷い女だもの。クラリスのこともバッサリ切り捨てようとしたし」
「そうかもね。でもこうして話してみるとさ。あんたたちと生きてみるのも面白かったかもしれないって思うわ」
「リアも、二人と友達になりたかったです」
間違って、悪い道に行っちゃいましたけど。
二人と仲良くする道だってあったはずなんです。
「……終わったことを悔いてもしょうがないよ。まあ、クラリスだけは終身刑で済むように頑張ってみるわ。全部私が悪いことにするから」
「勝手なこと言わないで。自分の尻拭いくらいできるし」
「真面目ちゃんは真面目に更生して恩赦にでも期待しときなさい」
「……そういうのいいですから。今さら善人ぶらないで」
クラリスさんが鼻を啜ります。
リアももらい泣きしちゃいました。
「マジで巻き込まれただけなんだから。そんな風に泣かないでよ。泣く奴ってウザいなぁ」
「マリエルだって少し泣いてるでしょ」
「うぜー」
素の二人とたくさんお話をして。
リアは楽しいけど、切ない気持ちでいっぱいになりました。
陛下の近衛騎士たちが殿下に報告をします。
「リア、今の内に身体を戻そう」
「分かりました」
(女神様、リアの身体を元に戻してください)
『はいよー』
雑な返事と同時に身体が元に戻りました。
「殿下、戻りましたよー!」
「良かった。俺のリアが戻って来たんだ」
殿下に抱きしめられます。ガチガチに勃起したアソコがリアのお腹に当たってて、何日も我慢してたっていうのが分かります。せっかく元の身体に戻れたので、たっぷりヌキヌキしてあげたいですね。
「父上、この度は力を貸していただきありがとうございました」
「可愛いリアの為だ。どうということはない。それよりも、この娘の処遇を決めねばな」
マリエルさんが今回したことはきっと許されないことだと思います。
王国の政治を混乱させて、リアの身体も奪いました。
お馬鹿な私でも分かるくらい、彼女が重ねたのは重罪なんです。
「首を落とすか……」
(……マリエルさん。どうしてこんなに悪いことをしたんですか?)
『気になるなら本人と会って話してみるー?』
(そんなことできるんですか!?)
『いいよー。ゆっくり話しておいでー』
女神様の起こした奇跡で、気がつくと私は白い部屋にいました。
そこにはソファが3つ用意してあって、座っているのはマリエルさんとクラリスさんでした。
「あんたも来たのね」
「ここはどういう空間なんでしょうか……」
「さぁ? 女神様が最後にお別れ会を開いてくれたのかもしれないわね」
「お別れ会……ですか?」
「そうよ。ゲームクリアおめでとう、悪役令嬢さん。あなたの本名が知りたいわ」
マリエルさんに聞かれますけど、リアは何のことか分かりません。
「悪役令嬢……ですか?」
「冷めるわー。もうごっこ遊びはいいじゃない。あんたも日本で死んで転生したんでしょ?」
「本当に分からないです。二ホンってなんですか?」
「まさか……。ここがトライ・デスティニーの世界だって知らないわけ?」
「なんですかそれ?」
リアが小首を傾げると、マリエルさんが盛大に溜息をつきました。
「もしかして、悪役令嬢リアの性格が変わったのって、マリエルさんが計略を巡らして彼女の生活環境が変わったせいじゃないですか?」
「……嘘でしょ。策士策に溺れるってこのことじゃない。あーもう! ありえない!」
マリエルさんが年相応に怒ってるのを見て私は笑ってしまいました。
「えへへ。女の子の友達がいたらこんな感じなんですかね」
「「……………………」」
二人が黙り込んでしまいます。
先に謝ってきたのはクラリスさんの方でした。
「ごめんなさい。私は、自分が上手くいかない理由を全部あなたに被せて勝手に逆恨みしてました」
「そんな、いいんですよ! リアは馬鹿なのに殿下と一緒にいたいって思って……。きっと目障りだったと思います」
「そんなことない。あなたは自分の努力で殿下を落としました。運命を変えたんです。私は失敗したけど、どうかクラリスの分まで幸せになってください」
せっかく本音で話せたのに、クラリスさんとはきっともう会えなくなります。
そう思うと、途方もない悲しさを覚えました。
こんな風に素直に気持ちを吐き出せる友達、リアにはいなかったですから。
「あー。きっと私、これから地獄に落ちるけど。謝っとくわ」
「……マリエルさん」
「あんたみたいな純真で馬鹿正直な子を押しのけて殿下と幸せになろうとした罰が、これから私には降り注ぐと思う。間違っても同情だけはしないでね。当然の報いってやつだから」
マリエルさんは清々しいくらい自分の罰を受け入れています。
リアには分かりません。どうして、こんなにいい人そうなのに悪い道に走ってしまったのか……。
「マリエルさんは殿下が好きだったんですか?」
「そうだね。前世の私ってヴァレールラブな人だったから。イベントに向かう途中で事故に巻き込まれちゃったから、私を憐れんだ神様がご褒美をくれたんだって、勝手に勘違いしちゃったみたい。もう一回やり直せたら、リアの恋を応援しながら自由に生きられたかなぁ」
「無理でしょ。あなた酷い女だもの。クラリスのこともバッサリ切り捨てようとしたし」
「そうかもね。でもこうして話してみるとさ。あんたたちと生きてみるのも面白かったかもしれないって思うわ」
「リアも、二人と友達になりたかったです」
間違って、悪い道に行っちゃいましたけど。
二人と仲良くする道だってあったはずなんです。
「……終わったことを悔いてもしょうがないよ。まあ、クラリスだけは終身刑で済むように頑張ってみるわ。全部私が悪いことにするから」
「勝手なこと言わないで。自分の尻拭いくらいできるし」
「真面目ちゃんは真面目に更生して恩赦にでも期待しときなさい」
「……そういうのいいですから。今さら善人ぶらないで」
クラリスさんが鼻を啜ります。
リアももらい泣きしちゃいました。
「マジで巻き込まれただけなんだから。そんな風に泣かないでよ。泣く奴ってウザいなぁ」
「マリエルだって少し泣いてるでしょ」
「うぜー」
素の二人とたくさんお話をして。
リアは楽しいけど、切ない気持ちでいっぱいになりました。
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