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エピローグ

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 クヴルール王国を隕石で処断した俺は、亜人達から統一国家の王として選出されてしまった。
 時代の強力なうねりは俺の抵抗を許さず、結局王へと祭り上げてしまったのである。

「「「魔王エリクに幸あれ!」」」

 何十人も女を連れてパレードを行う羽目になって、まるで公開処刑だと思った。
 俺の隣にアリアとドロテが居たのも大変に不味かったと思う。

 新しい王は子供さえ妻にするヘンタイなのかと疑われてしまいそうだし、実際その通りだったからもうどうにでもなれという感じだった。

 かくして、俺は統一国家エリクシル共和国の初代皇帝となり、妻達は王宮へ移動、村はそのまま王である俺の所領となったのである。

 ちなみにネリーは笑顔で切れていたが、ドロテの猛アタックの末に俺が敗れた。
 初夜まで指一本触れていなかったという大嘘で何とかお目こぼしいただけた。

「まさか一領主から王になってしまうなんてな」
「エリク様なら成し遂げてしまうと思っていました」

 凱旋パレードが終わったあと、俺は謁見の間で妻達と過ごしていた。

「王様になったら兄さんに料理は作れなくなるのかな」
「いや、そんなこともないだろ。その辺は好きにさせてもらうつもりだ」
「こんなロリコンが王なんて世も末だな」

 ロゼールが皮肉るが、少しウキウキしているようにも見える。

「エリク様がどんな世界を作ってくださるか、私達も楽しみにしています」
「アリア。俺がどんな世界を作るかは、お前達次第だぞ。俺にとっては村も国も変わらない。ただそこに住んでる家族が幸せであれば構わないと思ってる」
「立派な意見だけど、クヴルール王国の王子殿下が海を渡って復讐の機会を探っているそうよ。近隣諸国と頭だったクヴルール王国は併合したけど、まだまだ火種は残ってる。海を渡った先にはクヴルール王国より遥かに強大で文明の栄えた国もたくさんあるんだから」

 冷静なセレスを手招きしてキスをする。

「もう……何……」
「心配してくれてるんだろ? まあ、何とかなると思う。実は俺、正式に神に選ばれたらしくてな」
「「「「はい?」」」」
 
 さすがに嫁達が引いてるのが分かる……。
 分かってたのはスフィアだけだな。

 神の住む神界でサロメが俺との婚姻届けを出したらしいことは聞いていたが、それが正式に受理されたようだった。つまり、サロメはまだ死んでいないし、相変わらず神界から俺のことを覗いてるってことだ。何かの拍子にスフィアが死んだり力を失ったりすれば、すぐさまその身体を乗っ取って俺を神界に連れて行こうとすると思う。

 厄介な話ではあるんだが、それはそうと神になった俺にはある権能が備わった。

「同時存在」
「エリク様がもう一人……?」

 ネリーが驚愕している。

 この権能はその時間、居たい場所に居ることができるというシンプルな能力だ。
 力は分散するが、意識は常に共有しており、自我も一つしかない。
 脳が増えて色々なことを同時に考えられるという副産物もあり、戦闘でも役に立ちそうな力だと思う。

「エリクネットワークとでも言うべきかな。これからは皆と思う存分一緒にいれる。ただ、皆からしたら同じ顔がたくさんあると面倒だろうから、近くにいる俺しか認識できないようにはする。嫁一人につきもう一人俺がいれば十分だろ?」
「すごいすごいすごい! 兄さんとずっと一緒?」
「ああそうだ。神レベルのヤバい敵が出てきたら一時的にバイバイするが、そんなことはそうそうないだろう。あとは、そうだな。俺自身も自分の顔を見るのは変な感じがするから、こういう風に集まってる時とか、複数人と話したりする時はさすがに自動で統合する。それくらいかな」

 嫁達は概ね喜んでいるようだ。
 それだけ、今まで不便をかけていたということでもある。

「ネリーも今までシフトを作ってくれてありがとな」
「あの……。エリク様は本当にそれでよろしかったのですか? せっかく神様になれたのに、私達の為にしか能力を使おうとしてないように見えます。本当は、理想の嫁を作る能力とか、もっとすごい力が授かれたんじゃないですか?」

 はしゃいでいた妻達が沈黙してしまう。

「気の回し過ぎだ。何より、俺は自分の為に力を授かったんだ。理想の妻なら今目の前にいるじゃないか。皆と過ごす時間がもっと欲しい。だから、同じ時間をもっと自由に使えるようにしたんだ。俺はこんな男だけど、皆のことを大事に思ってる。誰の方が好きとか、そんなことはないんだ。目の前にいるお前達を全力で愛してる。これはそんな俺にこそ相応しい力だと思ってるよ」

 嫁達がすすり泣いている。

「必ず幸せにする。一人残らずな。改めて、神となった俺と結婚して欲しい」

 集まってきた嫁達と抱擁する。

 この世界に転生してよかった。
 俺の旅路はまだまだ続くが、人生に第2章があるとしたら、今日の俺はこんな所だ。
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