37 / 38
エピローグ
しおりを挟む
クヴルール王国を隕石で処断した俺は、亜人達から統一国家の王として選出されてしまった。
時代の強力なうねりは俺の抵抗を許さず、結局王へと祭り上げてしまったのである。
「「「魔王エリクに幸あれ!」」」
何十人も女を連れてパレードを行う羽目になって、まるで公開処刑だと思った。
俺の隣にアリアとドロテが居たのも大変に不味かったと思う。
新しい王は子供さえ妻にするヘンタイなのかと疑われてしまいそうだし、実際その通りだったからもうどうにでもなれという感じだった。
かくして、俺は統一国家エリクシル共和国の初代皇帝となり、妻達は王宮へ移動、村はそのまま王である俺の所領となったのである。
ちなみにネリーは笑顔で切れていたが、ドロテの猛アタックの末に俺が敗れた。
初夜まで指一本触れていなかったという大嘘で何とかお目こぼしいただけた。
「まさか一領主から王になってしまうなんてな」
「エリク様なら成し遂げてしまうと思っていました」
凱旋パレードが終わったあと、俺は謁見の間で妻達と過ごしていた。
「王様になったら兄さんに料理は作れなくなるのかな」
「いや、そんなこともないだろ。その辺は好きにさせてもらうつもりだ」
「こんなロリコンが王なんて世も末だな」
ロゼールが皮肉るが、少しウキウキしているようにも見える。
「エリク様がどんな世界を作ってくださるか、私達も楽しみにしています」
「アリア。俺がどんな世界を作るかは、お前達次第だぞ。俺にとっては村も国も変わらない。ただそこに住んでる家族が幸せであれば構わないと思ってる」
「立派な意見だけど、クヴルール王国の王子殿下が海を渡って復讐の機会を探っているそうよ。近隣諸国と頭だったクヴルール王国は併合したけど、まだまだ火種は残ってる。海を渡った先にはクヴルール王国より遥かに強大で文明の栄えた国もたくさんあるんだから」
冷静なセレスを手招きしてキスをする。
「もう……何……」
「心配してくれてるんだろ? まあ、何とかなると思う。実は俺、正式に神に選ばれたらしくてな」
「「「「はい?」」」」
さすがに嫁達が引いてるのが分かる……。
分かってたのはスフィアだけだな。
神の住む神界でサロメが俺との婚姻届けを出したらしいことは聞いていたが、それが正式に受理されたようだった。つまり、サロメはまだ死んでいないし、相変わらず神界から俺のことを覗いてるってことだ。何かの拍子にスフィアが死んだり力を失ったりすれば、すぐさまその身体を乗っ取って俺を神界に連れて行こうとすると思う。
厄介な話ではあるんだが、それはそうと神になった俺にはある権能が備わった。
「同時存在」
「エリク様がもう一人……?」
ネリーが驚愕している。
この権能はその時間、居たい場所に居ることができるというシンプルな能力だ。
力は分散するが、意識は常に共有しており、自我も一つしかない。
脳が増えて色々なことを同時に考えられるという副産物もあり、戦闘でも役に立ちそうな力だと思う。
「エリクネットワークとでも言うべきかな。これからは皆と思う存分一緒にいれる。ただ、皆からしたら同じ顔がたくさんあると面倒だろうから、近くにいる俺しか認識できないようにはする。嫁一人につきもう一人俺がいれば十分だろ?」
「すごいすごいすごい! 兄さんとずっと一緒?」
「ああそうだ。神レベルのヤバい敵が出てきたら一時的にバイバイするが、そんなことはそうそうないだろう。あとは、そうだな。俺自身も自分の顔を見るのは変な感じがするから、こういう風に集まってる時とか、複数人と話したりする時はさすがに自動で統合する。それくらいかな」
嫁達は概ね喜んでいるようだ。
それだけ、今まで不便をかけていたということでもある。
「ネリーも今までシフトを作ってくれてありがとな」
「あの……。エリク様は本当にそれでよろしかったのですか? せっかく神様になれたのに、私達の為にしか能力を使おうとしてないように見えます。本当は、理想の嫁を作る能力とか、もっとすごい力が授かれたんじゃないですか?」
はしゃいでいた妻達が沈黙してしまう。
「気の回し過ぎだ。何より、俺は自分の為に力を授かったんだ。理想の妻なら今目の前にいるじゃないか。皆と過ごす時間がもっと欲しい。だから、同じ時間をもっと自由に使えるようにしたんだ。俺はこんな男だけど、皆のことを大事に思ってる。誰の方が好きとか、そんなことはないんだ。目の前にいるお前達を全力で愛してる。これはそんな俺にこそ相応しい力だと思ってるよ」
嫁達がすすり泣いている。
「必ず幸せにする。一人残らずな。改めて、神となった俺と結婚して欲しい」
集まってきた嫁達と抱擁する。
この世界に転生してよかった。
俺の旅路はまだまだ続くが、人生に第2章があるとしたら、今日の俺はこんな所だ。
時代の強力なうねりは俺の抵抗を許さず、結局王へと祭り上げてしまったのである。
「「「魔王エリクに幸あれ!」」」
何十人も女を連れてパレードを行う羽目になって、まるで公開処刑だと思った。
俺の隣にアリアとドロテが居たのも大変に不味かったと思う。
新しい王は子供さえ妻にするヘンタイなのかと疑われてしまいそうだし、実際その通りだったからもうどうにでもなれという感じだった。
かくして、俺は統一国家エリクシル共和国の初代皇帝となり、妻達は王宮へ移動、村はそのまま王である俺の所領となったのである。
ちなみにネリーは笑顔で切れていたが、ドロテの猛アタックの末に俺が敗れた。
初夜まで指一本触れていなかったという大嘘で何とかお目こぼしいただけた。
「まさか一領主から王になってしまうなんてな」
「エリク様なら成し遂げてしまうと思っていました」
凱旋パレードが終わったあと、俺は謁見の間で妻達と過ごしていた。
「王様になったら兄さんに料理は作れなくなるのかな」
「いや、そんなこともないだろ。その辺は好きにさせてもらうつもりだ」
「こんなロリコンが王なんて世も末だな」
ロゼールが皮肉るが、少しウキウキしているようにも見える。
「エリク様がどんな世界を作ってくださるか、私達も楽しみにしています」
「アリア。俺がどんな世界を作るかは、お前達次第だぞ。俺にとっては村も国も変わらない。ただそこに住んでる家族が幸せであれば構わないと思ってる」
「立派な意見だけど、クヴルール王国の王子殿下が海を渡って復讐の機会を探っているそうよ。近隣諸国と頭だったクヴルール王国は併合したけど、まだまだ火種は残ってる。海を渡った先にはクヴルール王国より遥かに強大で文明の栄えた国もたくさんあるんだから」
冷静なセレスを手招きしてキスをする。
「もう……何……」
「心配してくれてるんだろ? まあ、何とかなると思う。実は俺、正式に神に選ばれたらしくてな」
「「「「はい?」」」」
さすがに嫁達が引いてるのが分かる……。
分かってたのはスフィアだけだな。
神の住む神界でサロメが俺との婚姻届けを出したらしいことは聞いていたが、それが正式に受理されたようだった。つまり、サロメはまだ死んでいないし、相変わらず神界から俺のことを覗いてるってことだ。何かの拍子にスフィアが死んだり力を失ったりすれば、すぐさまその身体を乗っ取って俺を神界に連れて行こうとすると思う。
厄介な話ではあるんだが、それはそうと神になった俺にはある権能が備わった。
「同時存在」
「エリク様がもう一人……?」
ネリーが驚愕している。
この権能はその時間、居たい場所に居ることができるというシンプルな能力だ。
力は分散するが、意識は常に共有しており、自我も一つしかない。
脳が増えて色々なことを同時に考えられるという副産物もあり、戦闘でも役に立ちそうな力だと思う。
「エリクネットワークとでも言うべきかな。これからは皆と思う存分一緒にいれる。ただ、皆からしたら同じ顔がたくさんあると面倒だろうから、近くにいる俺しか認識できないようにはする。嫁一人につきもう一人俺がいれば十分だろ?」
「すごいすごいすごい! 兄さんとずっと一緒?」
「ああそうだ。神レベルのヤバい敵が出てきたら一時的にバイバイするが、そんなことはそうそうないだろう。あとは、そうだな。俺自身も自分の顔を見るのは変な感じがするから、こういう風に集まってる時とか、複数人と話したりする時はさすがに自動で統合する。それくらいかな」
嫁達は概ね喜んでいるようだ。
それだけ、今まで不便をかけていたということでもある。
「ネリーも今までシフトを作ってくれてありがとな」
「あの……。エリク様は本当にそれでよろしかったのですか? せっかく神様になれたのに、私達の為にしか能力を使おうとしてないように見えます。本当は、理想の嫁を作る能力とか、もっとすごい力が授かれたんじゃないですか?」
はしゃいでいた妻達が沈黙してしまう。
「気の回し過ぎだ。何より、俺は自分の為に力を授かったんだ。理想の妻なら今目の前にいるじゃないか。皆と過ごす時間がもっと欲しい。だから、同じ時間をもっと自由に使えるようにしたんだ。俺はこんな男だけど、皆のことを大事に思ってる。誰の方が好きとか、そんなことはないんだ。目の前にいるお前達を全力で愛してる。これはそんな俺にこそ相応しい力だと思ってるよ」
嫁達がすすり泣いている。
「必ず幸せにする。一人残らずな。改めて、神となった俺と結婚して欲しい」
集まってきた嫁達と抱擁する。
この世界に転生してよかった。
俺の旅路はまだまだ続くが、人生に第2章があるとしたら、今日の俺はこんな所だ。
12
あなたにおすすめの小説
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる