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波乱の手紙
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「未来の王国を支える為、優秀な令嬢達を賭けての神明裁判を開く……。なんだこの荒唐無稽な手紙は。本当に王子が差出人なのか?」
ジュン宛に届いた手紙の情報はすぐに共有されて、屋敷では中央に対する不信感が噴出していた。
ジュンが珍しく言葉を荒げて、アレンに詰め寄る。
アレンは面倒そうに首肯した。
「王家の家紋で封蝋されています。こんなもの偽造したら即死刑です」
「愚かだとは思っていたが、ここまで愚かとはな。こんな手紙、議会を敵に回すだけだぞ。王族だけで国の運営ができるとでも思っているのか?」
「団長、まさか参戦したりしませんよね?」
私は、二人のやり取りを遠い世界の出来事のように見ていた。
やっと、王子から解放されて自由になれたと思っていたのに。
「リリナは渡せない。避けて通れない道なら俺が出るのが確実だ」
「自ら出るつもりですか!? 他にも適役はいるでしょう!? 団長の為だったら僕だって……」
アレンが焦るけど、そんなの当たり前だ……。
レギ王子が主催する闘技大会。
そのルールは無茶苦茶なもので、レギが指名した令嬢の代理人が闘技大会で互いに争い、令嬢を賭けてのトーナメントを行う。
そして、最後に生き残った一人とレギの用意した代理人が戦い、勝ち上がった方が全ての令嬢を得るというルールだった。
参加すれば、他の代理人たちと命がけの潰しあいをした後、王子の代理人と戦わされる羽目になる。
きっと無事で帰ってくることはない。
「こんな俺に恩義を感じてる馬鹿が何人かいるのは知ってる。それでも、リリナの代理人だけは任せられない」
ジュンが言い切れば、誰も反論などできない。
私を除いて……。
「命の危険があるルールです。それでも私の為に赴くんですか」
「抗議はするが、王命には逆らえない。だから、最悪はトーナメントに参加してでも君を守るしかない」
少しでもジュンの生存率を上げる為に、思いついたことがある。
レギの考えたこのゲームは穴だらけで抜け道が多すぎる。
たとえば……。
「この代理人を立てるというルール。令嬢が同じ代理人を指名すれば、トーナメントで争う必要はなくなります」
本当はこんな荒唐無稽なゲームに参加させたくない。
それでも、私はジュンと一緒に居たいし、彼の力を頼ることしかできない。
自分の弱さが、無力さが悔しい。
「そうか。あらかじめ他の令嬢の代理人を俺一人に絞っておけば、少なくともこちらで争う必要はなくなるか」
「私が手紙を書きます。実家にも連絡をして、お父様からも働きかけていただきます。そうすれば、極秘裏に示し合わせてレギに対抗することもできると思います」
「君の知恵が心強いよ。頼んだ。僕は君と一緒に生きていきたい。少しでも生きて帰る確率を上げる為に協力して欲しい」
「私もです。私も、ずっとジュンと一緒にいたいです。だから……」
ジュンが私を力いっぱい抱きしめる。
滲んでぼやけた視界の中で、アレンたちが白けた視線を私たちに向けてることに気づく。
あれ? ちょっとひどくない?
私たち、こんな大変な事態に巻き込まれてるのに!
「浸ってるところ申し訳ないですけど、団長が負けるとかありえないんで」
「それはそうだなぁ。この人は本当に強いし」とクマが頷いてる。
ジュン・アルガスの不敗神話はあちこちで語り草になってる。
たった一人で帝国の部隊を全滅に追い込んだとか、殿を務めたと思ったら返り討ちにして悠々と帰還していたとか。
うーん……。
そう考えると心配するだけ無駄な気が……。
「まあ、リリナは何も心配しなくていい。僕が君を守るし、思い詰めてご飯を残さないようにね」
「はい、ジュン様」
「最近、たまに団長がお兄ちゃんしてるように見えるんですけど。その優しさを一欠片でも部下にいただけるとありがたいんですがねぇ」
「それは違いない!」
アレンの言葉に皆さんがドッと湧く。
戦場に慣れ切った彼らの平静さが、今は心強かった。
ジュン宛に届いた手紙の情報はすぐに共有されて、屋敷では中央に対する不信感が噴出していた。
ジュンが珍しく言葉を荒げて、アレンに詰め寄る。
アレンは面倒そうに首肯した。
「王家の家紋で封蝋されています。こんなもの偽造したら即死刑です」
「愚かだとは思っていたが、ここまで愚かとはな。こんな手紙、議会を敵に回すだけだぞ。王族だけで国の運営ができるとでも思っているのか?」
「団長、まさか参戦したりしませんよね?」
私は、二人のやり取りを遠い世界の出来事のように見ていた。
やっと、王子から解放されて自由になれたと思っていたのに。
「リリナは渡せない。避けて通れない道なら俺が出るのが確実だ」
「自ら出るつもりですか!? 他にも適役はいるでしょう!? 団長の為だったら僕だって……」
アレンが焦るけど、そんなの当たり前だ……。
レギ王子が主催する闘技大会。
そのルールは無茶苦茶なもので、レギが指名した令嬢の代理人が闘技大会で互いに争い、令嬢を賭けてのトーナメントを行う。
そして、最後に生き残った一人とレギの用意した代理人が戦い、勝ち上がった方が全ての令嬢を得るというルールだった。
参加すれば、他の代理人たちと命がけの潰しあいをした後、王子の代理人と戦わされる羽目になる。
きっと無事で帰ってくることはない。
「こんな俺に恩義を感じてる馬鹿が何人かいるのは知ってる。それでも、リリナの代理人だけは任せられない」
ジュンが言い切れば、誰も反論などできない。
私を除いて……。
「命の危険があるルールです。それでも私の為に赴くんですか」
「抗議はするが、王命には逆らえない。だから、最悪はトーナメントに参加してでも君を守るしかない」
少しでもジュンの生存率を上げる為に、思いついたことがある。
レギの考えたこのゲームは穴だらけで抜け道が多すぎる。
たとえば……。
「この代理人を立てるというルール。令嬢が同じ代理人を指名すれば、トーナメントで争う必要はなくなります」
本当はこんな荒唐無稽なゲームに参加させたくない。
それでも、私はジュンと一緒に居たいし、彼の力を頼ることしかできない。
自分の弱さが、無力さが悔しい。
「そうか。あらかじめ他の令嬢の代理人を俺一人に絞っておけば、少なくともこちらで争う必要はなくなるか」
「私が手紙を書きます。実家にも連絡をして、お父様からも働きかけていただきます。そうすれば、極秘裏に示し合わせてレギに対抗することもできると思います」
「君の知恵が心強いよ。頼んだ。僕は君と一緒に生きていきたい。少しでも生きて帰る確率を上げる為に協力して欲しい」
「私もです。私も、ずっとジュンと一緒にいたいです。だから……」
ジュンが私を力いっぱい抱きしめる。
滲んでぼやけた視界の中で、アレンたちが白けた視線を私たちに向けてることに気づく。
あれ? ちょっとひどくない?
私たち、こんな大変な事態に巻き込まれてるのに!
「浸ってるところ申し訳ないですけど、団長が負けるとかありえないんで」
「それはそうだなぁ。この人は本当に強いし」とクマが頷いてる。
ジュン・アルガスの不敗神話はあちこちで語り草になってる。
たった一人で帝国の部隊を全滅に追い込んだとか、殿を務めたと思ったら返り討ちにして悠々と帰還していたとか。
うーん……。
そう考えると心配するだけ無駄な気が……。
「まあ、リリナは何も心配しなくていい。僕が君を守るし、思い詰めてご飯を残さないようにね」
「はい、ジュン様」
「最近、たまに団長がお兄ちゃんしてるように見えるんですけど。その優しさを一欠片でも部下にいただけるとありがたいんですがねぇ」
「それは違いない!」
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戦場に慣れ切った彼らの平静さが、今は心強かった。
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