乙女ゲームのモブに転生したので、幸せになろうと思います。

木苺

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四阿早稲

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「おいシェルム!!起きろ!!」
私は鍋をガンガン叩く。あれから三年後十三歳になった私はシェルムのおかげでとっても家事上手になっていた。
シェルムはいわゆる仕事はできるけど生活がだらしない人で、それはもうダメ人間。
私が言うことじゃないけど。
…そろそろ殺そうかな。最後の悲劇だ。最後らしく、派手にやろうじゃないか。
罪悪感を感じさせる死に方。人間の心に一番傷が残る死に方。
「自分を守って死んだ」
私は外に出て今回の作戦に使えそうな魔法がないか試行錯誤してみる。
ん~私が直接やったらだめだしな~分身…ダメだ私だってばれる。魅了…いいけどシェルム強いしなぁ…魅了で私を攻撃することってできるの?
…あっそうだ。ふふ……これなら殺せる。
私はシェルムと街を散歩していた。
「おっなんだよ~?おまえ~いつもは外に出ようとか言わないくせに~」
屋根の上を渡って、三つ目の屋根で止まったら、
「いやぁ…たまにはいいかと思って…」
下に私とシェルムがいるから、
上からナイフを持った男が降ってきた。
私を攻撃して。
男はナイフで私を刺そうとするが、シェルムが阻止する。
シェルムがわたしを守ると思うから、私を執拗に攻撃して。
男は私に向かってくる。シェルムが私を庇おうとするが、男は銃を持って私を撃った。
バァン!!!
私に当たった感触はない。見えるのは、倒れる男と崩れていくシェルムだけ。私は目を見開いて言った。
「シェルム!!」
私はシェルムを抱えた。シェルムは苦しそうな顔でしゃべる。
「あ゛~…撃たれちまったな…ぐっゲホッゲホッ…」
血反吐がシェルムの口から出た。
「おい…死なないでくれよ…なんで…なんで…みんな死ぬんだよ……」
目から大粒の涙があふれてくる。
「なんで俺なんか守ったんだ?お前が生きろよ、俺なんか…守らなくてよかったんだよぉ…」
シェルムは最後の力で私の首に手を回す。
「そんなこと言うな…お前は優しい。愛されて…生きろよ…。」
シェルムは最後にそう言って、私の腕の中で息絶えた。同時に私の意識も薄くなってゆく。
あ~…魔法に力、使いすぎたかな?
暗転
ハッ
町の中で気絶をしていた。日が暮れて夕方になっているから、結構な時がたったのではないだろうか。
私はハイライトのない目で俯く。
今ヒロインに私の過去を話していて、此処の部分にナレーションがついていたらきっとそれは私が作った誰かの声でこう言うだろう。
(なんで皆死ぬんだろう。いつも俺の周りからは人が消えていく。なんで…。…俺に関わったからか?俺と一緒にいたからか?
…なら…。欺いてしまおう。誰も近づかないように。誰も愛してくれないように。もう誰も…
傷つかないように)
私は笑顔を作る。人当たりの好さそうな。誰にも恨まれなさそうな。でも、すべてを拒絶しているような…。そんな笑顔。
これで舞台の準備は終わり。これからは、私がステージの上で演技をする番。
絶対に幸せになってやる!!たとえ何かを、捨ててでも。
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