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プロローグ 「日常崩壊⇔決意」
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赤い彼岸花が咲く世界で、白髪で紅色の目の美しい少年が、?を見つめていた。後ろでは、この赤と白の世界に不似合いな、あの子達が?を泣きそうな目で見ていた。其処で私はおかしなことに気づく。
『?とはだれなのだろう』
此処から見える世界では、?という人物が見えないのだ。私は何故、?が見えないのにあの子たちや少年が?を見ているということがわかるのだろうか。不思議なことだが、まぁそれもいいだろう。時間が止まることはないのだ。たとえ私に未来がなかろうと、世界は止まらない。この世界に未来がないのならば、人間は過去を繰り返すだけ。私は時に身を任せ、〝時間〟という鳥籠の中で未来に手を伸ばせばいいのだ。
白髪の少年は、?に手を伸ばす。潤んだ目が、〝私〟の目に映った。綺麗な紅に、透き通る涙が映える。
「なんで、そんなこと…」
運命は、突然に。
(誰だろう)
ピピピピ!ピピピピ!
「あぁもう、うるさいなぁ…」
無機質な目覚まし時計の音に起こされ、不満そうに目覚まし時計を叩いたのは四歳の少女。名を、紅白 神華という。
「おはよ~」
「おはよう、神華…」
そういい眠たそうに瞬きをした少年の名は紅白 神。神華の弟である。神華も神も黒髪に黒と紅色の目が映える、まだ幼い子供だ。二人は朝食の美味しそうな香りのするリビングへと歩いて行った。
「おはよう神華」
「お、起きたな」
「おはよう、ママ、パパ」
神華はそう言い、いつものニュースをみるためテレビをつけた。テレビの中では、いつものように美人な気象予報士が日本のマップの前に立って愛想笑いをしていた。
「今日の天気は、晴れです。西から…え、何!?キャー!!!」
「!?」
神華が見るのは、いつもの日常のはずだった。いま目の前の気象予報士が死ぬなんて、あるはずのないとても平和な日常。テレビは煙と破壊音で、何も見えず、何も聞こえなかった。家が地震も起こっていないのにガタガタと揺れた。神華が怯えている神に駆け寄ろうとした瞬間、破壊音とともにすさまじい速度で神華と神の間の地面に亀裂が走った。
その時、地球が割れた。
何の脈略もなく。誰が仕組んだことでもなく。幼い人生で体験したこともなかった世界の驚異に、神華は震えた。
そして神華は目の前で、神華と神の間に立っていた両親が落ちていくのを見てしまった。そこのない暗闇に、宇宙に、両親が落ちていくのを。
震える手で神の方に手を伸ばしたのは、幼子ならではの抵抗だったのだろうか。亀裂の向こうの神も、こちらへと手を伸ばしていた。
「神っ!!」
「神華っ!!」
二人の手がつかめそうになった時、すごい力で後ろへと地面が動いた。亀裂はどんどん広がり、その亀裂の間の長さは、三十メートルほどになった。
「ママ…パパ…神…」
神の手をつかもうとした手は空をひっかいただけだった。二人は、割れ目と割れ目で完全に分かれてしまったのだ。
「…私は絶対に向こう側へ行く…神と、また会って、一緒に暮らしてやる…!」
その瞬間、神華の目から光が消えた。
『?とはだれなのだろう』
此処から見える世界では、?という人物が見えないのだ。私は何故、?が見えないのにあの子たちや少年が?を見ているということがわかるのだろうか。不思議なことだが、まぁそれもいいだろう。時間が止まることはないのだ。たとえ私に未来がなかろうと、世界は止まらない。この世界に未来がないのならば、人間は過去を繰り返すだけ。私は時に身を任せ、〝時間〟という鳥籠の中で未来に手を伸ばせばいいのだ。
白髪の少年は、?に手を伸ばす。潤んだ目が、〝私〟の目に映った。綺麗な紅に、透き通る涙が映える。
「なんで、そんなこと…」
運命は、突然に。
(誰だろう)
ピピピピ!ピピピピ!
「あぁもう、うるさいなぁ…」
無機質な目覚まし時計の音に起こされ、不満そうに目覚まし時計を叩いたのは四歳の少女。名を、紅白 神華という。
「おはよ~」
「おはよう、神華…」
そういい眠たそうに瞬きをした少年の名は紅白 神。神華の弟である。神華も神も黒髪に黒と紅色の目が映える、まだ幼い子供だ。二人は朝食の美味しそうな香りのするリビングへと歩いて行った。
「おはよう神華」
「お、起きたな」
「おはよう、ママ、パパ」
神華はそう言い、いつものニュースをみるためテレビをつけた。テレビの中では、いつものように美人な気象予報士が日本のマップの前に立って愛想笑いをしていた。
「今日の天気は、晴れです。西から…え、何!?キャー!!!」
「!?」
神華が見るのは、いつもの日常のはずだった。いま目の前の気象予報士が死ぬなんて、あるはずのないとても平和な日常。テレビは煙と破壊音で、何も見えず、何も聞こえなかった。家が地震も起こっていないのにガタガタと揺れた。神華が怯えている神に駆け寄ろうとした瞬間、破壊音とともにすさまじい速度で神華と神の間の地面に亀裂が走った。
その時、地球が割れた。
何の脈略もなく。誰が仕組んだことでもなく。幼い人生で体験したこともなかった世界の驚異に、神華は震えた。
そして神華は目の前で、神華と神の間に立っていた両親が落ちていくのを見てしまった。そこのない暗闇に、宇宙に、両親が落ちていくのを。
震える手で神の方に手を伸ばしたのは、幼子ならではの抵抗だったのだろうか。亀裂の向こうの神も、こちらへと手を伸ばしていた。
「神っ!!」
「神華っ!!」
二人の手がつかめそうになった時、すごい力で後ろへと地面が動いた。亀裂はどんどん広がり、その亀裂の間の長さは、三十メートルほどになった。
「ママ…パパ…神…」
神の手をつかもうとした手は空をひっかいただけだった。二人は、割れ目と割れ目で完全に分かれてしまったのだ。
「…私は絶対に向こう側へ行く…神と、また会って、一緒に暮らしてやる…!」
その瞬間、神華の目から光が消えた。
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