してるだけ

夏緒

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6話

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 さっきまでとは違って、今度は両手で腰をしっかりと抑えられる。
 一度ぐっと奥まで押されてから、律動が次第に派手になっていく。
 もやは声を抑える努力は諦めた。
 パンパンとお互い汗で湿った肌が打ち付けられる度に、またナカがぞわぞわしてくる。
 落ち着かなくて、両手が勝手に掴むものを探してひらひらと動いた。
 シーツを握っては離し、髪を握っては離した。
 ……駄目だもっかいイッてしまう!
「ああもう! むりぃ!」
 堪らずもうしんどさで半泣きになってしまって、それでも身体は欲望に忠実で、さっきと同じようにナカが痙攣して、また全身から汗が噴き出してくる。
「あっこら! イくな!」
 締めつけてしまったのか、焦ったような声が降ってきた。
 余裕がないのだな、と思うと、少し優越感。
「ふふ」
「なんだよ。……あ」
「ん?」
 急に腰の動きが緩くなる。
 人の顔を見て、何かを考え込んでいた。
「どうかした?」
 不安になって尋ねると、ああ、いや、と、何だか白々しい声が返ってくる。
「何でもないよ」
「はあ……?」
 またすぐに腰を揺すられて、激しさに必死で耐えながらも、眉間に皺が寄っているのが見えて、ああそろそろかな、と思う。
「……出すぞ」
 ぐぐっと一際ナカに押し込まれて、律動が止まる。
 腹の中でなんか、動いてる。
 っあ゛ー……と呻きながら枝豆くんの上半身が倒れ込んでくる。
 まだ抜いてもらえていないので、体制がちょっと苦しい。
 それでも、上に乗っかってきた背中をちょっとさすってみた。
 汗ですごく湿っている。
「ああ……久々だ……」
 感慨深げにそんなことを言われて、何の話か疑問に思う。
「何が?」
「ナカに出したのが」
「……」
 言われて、ああそうか、と思ってから、ん、ちょっと待てよ、と思い直す。
 そうか、今まで避妊のために外で出していたんだな。
 ………………。
「ちょっと」
「何だ」
 さっき一瞬考えていたのはコレか!
「妊娠したらどうすんの!」
「阿呆。冗談に決まってんだろ」
 ゴムくらいつけてるって。
 しれっとした態度に、さっきまでとは別の意味で頭がクラクラする。
「もー! 信じられない何考えてんのあんた! 取り敢えず抜いて!」
 そういえばいつまでもこの体制では苦しい。
 入れていたモノをぬっ……と抜き取ると、ぬるりとしたその気持ち悪い感覚に思わず身震いしてしまう。
 ゴムを外して、予め用意していたらしいティッシュでイチモツを丁寧に拭いてから、またティッシュを引き抜いてこちらのも拭いてくれた。
 そのティッシュたちをぽいっとベッドの下に投げたのを見て、あれ絶対明日の朝寝ぼけて踏むな、と確信する。
 枝豆くんがドサリと横に倒れ込んできて、肘をついて頭を支え、おからちゃん、と名前を呼ぶ。
「どうだった?」
 どう、と言われても……。
 今更ここで意地を張っても仕方がない。
 でも改めてそんなこと聞かれても気恥ずかしさが勝ってしまって何も言えないから、せめてこちらを向いているその胸板に額を寄せる。
 これで顔が見えない。
「……良かった、です」
 なんだか拗ねたような声になってしまった。
 それでも、枝豆くんは背中に腕を回して抱き寄せてくれた。
 改めて感じる体温が心地良い。
「なら、良かった」
 大きな手で頭を撫でてくれる。
 気持ち良い。
 ほどよい倦怠感もあって、このまま眠れそう。
「なあおからちゃん。明日起きたら、もう一度しよう」
「……」
 何て答えよう。
 嫌って言ってみようか。
 でも、
「嫌だ」
「えー?」
「朝は、身体が辛そうだから、嫌。夜なら、いい」
 だって本当に気持ち良かった。
 痛かったけど、別に良いやと思えるほどには。
「おからちゃん、こっち向いて」
 呼ばれたから額を離して顔を上げると、出来過ぎた男前の顔がゆっくりと降ってきた。
 本当、キスが上手。
「じゃ、夜な」
「うん」
 甘ったるい空気に酔いしれながら、脚を絡ませ合って、そのまま抱き合って眠りについた。
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