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序章 こんなおじさんいかがですか
めっちゃ聞くよ
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?月 ?日
休憩を提案した発光べっぴん艦長は、「お手洗いをお出ししますね。」と言い出した。
便所は提供するもんじゃなくて案内するもんだろうが、と呆れていると、メタリックな床がウィンウィン言いながら変形し、何もなかった空間に一つの部屋が出来上がった。
目の前で起きた変形合体ショーにガッチリと心を掴まれ、ワックワクで部屋の中を覗くと、それはそれは身近な陶器製の便器が用意されていた。
ありがたい事に、メンズ用スタンディングスタイルだ。
白く輝く便器を見たら、膀胱が思い出したように排泄を催促してきたので、ありがたくトイレを借りる事にした。
「メタリックトイレー♪ メタリックトイレー♪」
…………ふう、よき放尿でした。
ーー ゴポォッ ーー
あ、勝手に流れる子ね? ありがとー。
しかしこんだけSFSFしてんのに便器は陶器なんだな。
……あ、手ェ洗う水道もあんね、どう出すの? センサーかな?
ーー ジャー ーー
おぉ、この辺も我々と変わらぬのね。
これどこにどう繋がって水出てんだ?……まぁ不思議パワーだわな……
……さてと、お手手ウェッティおじさんなんだが……
この箱がハンドドライヤーっぽいな、この下に手か?
ーー プシュンッ ーー
な、一瞬で乾くだと!? ヒュー、カッコイイ!
ドアはどうすりゃ開くんだい? 目の前に立つ感じ?
ーー シュインッ ーー
ンロマンッ! 音も開き方も完璧、上に一気にスライドせんとね。
この後はどうすりゃいいんだ? 艦長に言えばいいか。
「トイレ助かりましたー。」
「それはよかった、素晴らしい歌声でしたね。」
「あ、聞こえてました? いや、お恥ずかしい。」
「それでは格納するので離れてください。」
「はーい。」
数歩その場を離れると、プレハブ大のトイレは機械音と共に変形しながら、元のメタリックな床へと姿を戻した。
トランスフォーム便所とはなんともCOOOOOL、見事な技術の無駄遣いだ。
嬉しくなりながら艦長のもとへ向かうと、元はなかったイスとデスクが用意されている。
取り調べでもされるのだろうか?
テーブルの上には……タバコ様だぁ!!
お迎えに来たお母さんを見つけた子どものように、大喜びでイスへ駆け寄り、流れるように着席した。
「艦長! これオレの吸ってる銘柄じゃないですか。」
「艦長? なぜ私をそう呼ぶのですか?」
キョトンとした顔で、首を傾げている。
笑顔以外の表情を初めて見たが、これはこれで素敵ではないか。
「あぁ、失敬。……頭の中で勝手に艦長って呼んでました。」
「そういう理由でしたか。では、これからはそう呼んでください。」
「じゃあ、そうさせてもらいます。……すんません、なんかメチャクチャ緊張が続いてたのが、トイレ行ったら一気に緩んじゃって。」
「大変な負担をかけてしまってすみませんでした。」
謝罪会見で見るような、丁寧で深々とした綺麗なお辞儀と、本当に申し訳なさそうな表情を見るに、オレを呼び出したのには止むに止まれぬ事情があるのだろう。
「あぁ、イヤミで言ったんじゃなくてですね……と、とにかくもう大丈夫ですよ。不思議を楽しむ事にしましたから。」
「それは素晴らしい! 寛大な心をお持ちなのですね。」
爽やかな、『艦長スマイル』が戻ってきた。
「まぁ、非日常ってのに憧れはありましたからね。……さっきのトイレも興奮しちゃって、気ぃ抜いてオシッコしたからオナラも出ましてね。」
「まぁ! 活発な腸をお持ちなんですね。」
「なんであんな連動してんすかね? 艦長もそういう事ってぇっ!……すみませんでした。」
……ヤベェ、気が緩み過ぎてた。
未知の光体にバチバチのセクハラかますとかイカれてんだろ!
「私は放尿と放屁を……」
「スタァァァァァァァァァァップ!! 何を当たり前に答えてんの? ダメダメ! 聞いたこっちが悪いから、ごめんなさい! 宇宙に放り投げないで。」
「そうですか……あぁ、タバコをどうぞ、他に何か必要な物はありますか?」
「いや、できればコーヒーも飲みたいけど……」
「すぐにご用意出来ますよ。」
くぁぁぁぁあああ! エクセレン! なんて好待遇だ。
……艦長、オレあんたが大好きになってきたよ……
「じゃあ、お願いしたいです。……ミルクも砂糖も必要ないんで。」
「わかりました、少し待っていてくださいね。」
「ふぃー……なんか、艦長って話しやすいですよね。オレさっきから、敬語ちょいちょい忘れちゃってるし。」
「ストックホルム症候群の恐れがありますね。」
ふふふ、誘拐じゃないんだから艦長……
いや?……ほぼほぼそういう状況だな。
爽やかな顔して何恐ろしいこと言ってくれてんのさ……
「……ま、まぁ、一旦忘れましょう。」
「やはり寛大なのですね。……間もなくコーヒーが到着しますよ。」
「いや、さっきから一緒におはな……」
ーー プンッ ーー
「うわぅ! 何さ!?……うん?」
目前のデスク上に突然、カップ、ペットボトルの水、ケトル、カセットコンロ、ドリッパー、フィルター、コーヒー豆、コーヒーミルが次々と瞬間移動のように現れた。
全てオレの部屋に常備している物と同じである。
「……これ全部ウチのヤツ? あ、よく見ると灰皿とライターもだ!」
「はい、施設に用意がないので、あきらさんのお宅から『転送』させていただきました。」
……いや、当たり前みたいな顔してるけど、とんでもない事してないかい?
「……転送って、どういう仕組みなの?」
「仕組みを説明するのに時間を要しますよ。」
「……要は、『不思議パワー』だね?」
「それは素晴らしい言葉ですね、今後使わせていただいても?」
「ぜひぜひ。」
「ありがとうございます。……私はコーヒーを淹れられないのでお任せしても?」
「あぁ、全然いいよ。この作業好きだし、けど時間かかるよ?」
「では、話しながらでもかまいませんか?」
「どうぞどうぞ。」
メタリックな不思議空間でコーヒーを淹れるべく、カセットコンロの上に水を入れたケトルを置いた。
なんともシュールな光景に、思わず吹き出しそうになっていると、艦長が淡々と話し始めた。
「今回、あなた様をお呼びしたのは……」
「あぁ、あきらでいいよ。『様』もやめて。」
「わかりました。では改めまして、今回あきらさんをお呼びしたのはある『お願い』をしたかったからです。」
……お願いだ? クルーになってくれってか? メカニックですか?
まぁ、エースパイロットの機体をカリッカリのピーキー仕様にしてよくて、呼び方を『おやっさん』に統一してもらえるなら、オレもやぶさかじゃないね。
汎用性のある機体にした方が本来はいいんだろうが、主人公機ってのはピーキーじゃなくちゃダメだ。
そうする事によって極限状態での瞬発的な力は、他国の最新鋭機にも負け……
「あきらさん、神妙な顔をされて、どうかなさいましたか?」
「失礼、発作が出て。」
「そんな! ご病気なのですか?」
「…………ロマン、かな?」
「なるほど、健康なのであれば結構です。」
……ツッこんでもらえないのも結構心にきますなぁ……
「『お願い』というのは、あきらさんに『地球とは異なる星』へ行っていただき、私の活動に協力してもらいたい、という事です。」
……ん? 異なるって、他の星? 何しに? いつよ?
……ダメだ、訳がわからん、一旦流れに身を任せよう。
「その……なに? 今から?」
「準備が出来次第で大丈夫ですよ。」
「準備……え、行くってどのぐらい?」
「恐らく一生になるかと思います。」
「えんっっっぐ!」
「えんっっっぐ?」
「あぁ、とてもえげつないですね、という意味だね。」
「理解しました。」
「一生ねぇ、色々言いたいけど……なんで?」
「『よりよい未来』を作る協力をして欲しいんです。」
「フワフワしてますなぁ、よりよい未来とは?」
「『より多くの人が幸せな世界』です。」
結局わかりづらいんかい!
……よその星に行って多くの人を幸せにせぇ、と?
宗教? ずーっとニコニコしてるし、『大宇宙幸せ教』か何かか?
……そもそも、よその星に人がいるの?
「あの……『人?』がいる星があるの?」
「はい。地球と酷似した環境の星であり、いわゆる『人間』も存在します。」
「えぇ~……まぁ、あるとして、幸せって? 魔王を倒して平和にして、みたいな?」
「いいえ、その星に魔王は存在しません。何かを打倒しろという事でもないです。」
……バトル系のお願いではないのね。
安心したような、ガッカリしたようなだな……
「ふーん……あ、お湯沸いたから一度中断しても?」
「どうぞ。」
「ではでは。」
ーー コポコポ…… ーー
……ポケーっと喋ってたけど、なんだこれ? 訳わかんねぇぞ。
便所もあるし友好的だし、この建物だか何だか知らんメタル空間は地球関連の何かで、艦長はハイテクオペレーター的な存在なんだよなきっと……
つか、他の星? 一生? デンジャーじゃないの?
……でも話自体はすげぇ面白い、結論が気になる…………
……タバコーヒーかちこんだら話聞くだけ聞こ。
ーー コポコポ…… ーー
「よし、コーヒーできたよ。」
「どうぞ召し上がってください。」
「じゃあ失敬してタバコも一緒に……艦長は煙平気な人?」
「えぇ、全く気になりませんので、どうぞ。」
「遠慮するとこなんだろうけど、色々限界だからいただきます。」
ーー シュボッ ーー
「…………………ペホーーーーーーーー……たまんねぇ……」
ーー 第三種警戒発令! 第三種警戒発令! ーー
「……なんか、パトランプが騒いでるけど、こりゃ一体何の騒ぎで?」
「大気の汚染を検知したみたいですね。三種なら問題ないんでお気になさらず。」
「はぇ~、タバコ検知して? すっごいんだねー。」
「……あまり驚かれないんですね。」
「タバコタイムで無敵なんだ、あと驚き慣れかな?」
「それは素晴らしい! 地球の人類にはまだ私の知らない機能があったのですね。」
「オレもこの機能は今日初めて知ったねー……」
……あ? 今、『地球の人類』って言ったよな?
「えっ、艦長生まれはどこ? 地球? 地球産ミラクルオペレーターだよね?」
「いいえ、違いますよ。」
「ほぁあっ!? この艦? 施設? 地球ホニャホニャ軍とかじゃないの?」
「地球とは全く関係のない物です。」
「……何くつろいでんのオレ?」
「素晴らしい適応力だと感心していました。」
「はぇ~、勝手に地球の秘密組織だと思ってたわ。……じゃあ、艦長は宇宙人?」
「いいえ、違いますよ。」
「じゃあ……何?」
「地球の皆様からすれば『人智を越えたもの』という表現が正しいでしょうか。」
神でもなく、宇宙人でもなく、人間でもなく……めんどくせぇ、ハイパー面倒だ。
……いっそ細かい事はいいや、エンジョイエンジョイ!
「不思議パワーレディって事でいいかな?」
「そうですね、適切な表現です。」
「……不思議パワーって、マジカルとかミラクルな感じなの?」
「いいえ、サイエンスですね。」
「ウッソだ~、サイエンスでコーヒー召喚すんの無理でしょ。」
「召喚ではなく『転送』ですね、メールの画像添付と要領は一緒ですよ。」
「……メール?……イヤ……え……信じられないよ。」
……メールで『物』を送るなんて出来る訳がないだろ艦長……
どんどん最新のアプリに疎くなってきたけど、そんぐらいオレにもわかるって……
「私とあきらさんの知る文明に差があるので、そう思うのも仕方ないですね。」
「文明?……どういう意味?」
「例えば、江戸時代で生きている方に、『人類は自力で、あの空に輝く月に行けるようになる。』と伝えて、信じてもらえると思いますか?」
「うつけがぁ! からの袈裟斬りですな。……そのぐらいオレ達の文明に差があんのね。……それでもメールが進化して『転送』になるもん?」
「要は、ものすごく容量の大きい添付データといったところですね。」
……まぁ、言わんとする事はわからんでもないけども……
「『転送』の不思議パワーは、今回のお願いにも深く関係しています。」
「……あぁ、そうだそうだ、お願いに関係って?」
「あきらさんには地球の優れたアイテムや思想などを、『異なる星』に持ち込んで欲しいのです。」
持ち込む? 持ち込んでどうすんのよ?
いちいちハッキリしない物言いだよ艦長は……
「持ち込むってのは……えーっと、なんで?」
「文明をより速やかに進化させるためです。」
「うーん……持ち込むと進化するの?」
「はい、劇的な変化が生じますね。例えば、自転車を知らない人達の前で自転車に乗れば、『あれは何だ?』『私も欲しい』『模倣して作ろう』という風に、自転車を見た人が再現するべく技術を磨き、連鎖的に技術や利便性が他の人へと伝播していき、文明に活力が生まれます。」
「……進化の起爆剤になれと?」
「まさしく、その通りです。」
文明が未発達な星に、地球の物を持ってって見せびらかせって事でいいんだよな……
「て事は、便利だと思う物を全部持っていけばいいの?」
「理由は明言できませんがそれは不可能です。一人につき、1カテゴリが基本で、それ以外は制限されます。」
カテゴリ? 制限?……めんどくせぇ。
「ごめん、よくわからん。」
「料理を広めたければ『調理道具』、音楽を広めたければ『楽器類』といった形で、持ち込む物のカテゴリを決めてもらいます。」
「持ち込める物を限定するって事か……一人につき、って事は他にも地球人がいるの?」
「前任者は複数名いらっしゃいましたが、今はいません。これから行くとすれば、『異なる星』の中で、地球出身はあきらさんただ1人です。」
「あら、責任重大だ……そもそもなぜ艦長はそんな事を?」
「私は地球も『異なる星』も含め、人類がより幸せになるために活動する存在です。ですが、私にできる事は『観察』する事と、物や生物を『転送』する事だけなのです。なので、代行者の方に活動の手伝いを頼んでいるんです。」
艦長は宇宙の人々の幸せを願う不思議パワーレディ、って事か?
ほいで、その為の活動に協力して欲しいと?
……ふーん、悪くないねぇ、ロマンだね。
「素敵な話だと思うよ。」
「ありがとうございます。」
……あれ、ダービーも持ち込めんのか?
それが出来るなら、すげぇ魅力的な話だぞ。
「ねぇ艦長、例えばオレが『異なる星』に行くとして、車やバイクを持ち込んでもいいの?」
「はい、持ち込めますね。どちらでもかまいませんし、両方ともでも構いませんよ。」
「え、両方いいの?」
「はい、一台ずつであれば可能です。」
ありがたいけど……両方ありってズルくないのか?
「うーんと、カテゴリなんちゃらみたいなの言ってたよね?」
「『エンジンのついた乗り物』というカテゴリで1くくりになります。」
「なんと!」
すんばらすぃー、先方にエンジンの魅力を教えてやれってことね。
ヤバい、ロマン汁が垂れてきた。
……待てよ、魅力を広めるとなると、向こうのお偉いさんにベタベタ触らせたりせにゃならんのか?
えー、そうなってくると圧倒的に不快だぞ。
「艦長、物を持ち込んだら具体的に何をすればいいの?」
「何をしていただいても構いませんよ。」
「なんでもいいの!? ご機嫌だなぁ!!! あ、ごめん……なんで?」
「『幸せの定義』が不明瞭ですし、『幸せになる方法』も明確ではないので、活動内容は基本的に各々の判断に任せています。」
なるほど、哲学的だけど、確かにそうだな。
金があれば愛がいらないって人もいれば、その逆の人もいるわな……
「自分の思う幸せを広めろ、って事ね。ますます悪くないよ、この乗っけ上手。」
「ありがとうございます。」
要はベイビー達を乗り回して、「超カッコイイ!」「アレ欲しい!」って思わせればいいんでしょ?
『男のロマンスジャーニー異星編』の主人公って事だわな。
……でもジャーニーなら、メシやら何やら必要だぞ、どうすんだ?
バイクと車しか持ち込めねぇ感じか?
「カテゴリに選んだ物以外に、持って行ける物はあるの?」
「生活必需品や消耗品なら、ある程度の物は持ち込み可能ですよ。」
「わーぅ! 破格じゃん! でも、いいの?」
「代行者の方の命を危険にさらす訳にはいきませんので、『最低限快適な生活をする為に必要な物』は持ち込めますよ。ただ、持ち込むカテゴリに選んだ物とは自由度が違います。」
……ふむ、『限られたアイテムだけ持たせて放り込む』なんてマネはしない訳だな。
「……いいね。で、自由度てのはどういうこと?」
「料理のカテゴリを選んだ方は、調理道具全てと、それに付随する物が持ち込み可能で、転送も送り返しも自由です。ですが、それ以外の物、例えば衣服などは量が制限され、持ち込んだ後の管理や保管も自主的に行なっていただきます。」
「はいはい、制限された量だけ持ってけるのね…………ん?『転送が自由』って言った?」
「はい、言いましたよ。送り返しも自由ですとも言いました。」
「うわぁ、カッケェ……するってぇとアレかい? 車乗りたい時は呼び出して、降りたら送り返してが出来ると?」
「その通りです。」
「ギャッバイ。」
「ギャッバイ?」
「とても興奮しますね。という意味だよ。」
「理解しました。」
たまんねぇ! ダービーやショルダーを『召喚』できるって事だよな……
はちゃめちゃカッコイイじゃんか!
「……んで、付随する物だから、カー用品とか修理工具とか燃料とかも?」
「持ち込み、呼び出し、送り返し、全てが可能ですね。」
「ほいで、タバコにコーヒーとか服やら飯やらは、自由じゃないけど持ち込め……?」
「ます。ふふふ……」
「ほっほー、艦長ノリいいじゃないか。……ヤバい、本気で行きたくなってきた。」
「強制はできないので、あくまでも自己判断でお願いします。」
慎ましいねぇ、無理強いしてこないのもいいじゃない……
そんなに低い姿勢で頼まれるとおじさん弱いのよ。
……はら? そもそもお願いする相手がオレでいいのか?
チョロそうなロマンおじさんだからか?
「なんでオレにお願いしたいの? もっとカリスマというか……立派な人いくらでもいるでしょ?」
「残虐な方や非道な方は論外ですが、正義感の強すぎる方や、行動力のありすぎる方もお願いする候補から除外しています。」
「正義マンも!? なんでなんでー?」
「他国に迷惑をかける国があったとして、『その国に関わる物全てを滅ぼす』というような、極端な思考を生み出す恐れがあるからです。」
「あー、一方にとっての正義は、もう一方にとっては……みたいな漫画あるあるね。」
「その通りです。」
なるほどねぇ、深いじゃないのぉ……
「それでも、なんでオレ? オレの両親が伝説のホニャララだった?」
「候補の選定方法はまず、過去数年戦争を行ったことがない国から、高等教育を経験した人間を選び、その中から27~35歳の人間に絞ります。」
「若者じゃなくておじちゃんなの? 人生経験とか?」
「そうですね、経験値と体力のバランスを考慮しています。さらにその中から家族のいる方、地球の社会に大きな影響を与える方、前科と逮捕歴、離婚歴のある方を除外します。」
ここまではガッツリあてはまるねぇ。
『選ばれしおじさん』ってのも悪くないね。
「その中で身体データ、収入、知能指数の平均を割り出し、その中央に位置する100名の過去や現在の行動を精査しました。」
「……行動を精査?」
「不思議パワーで過去も含めて監視させていただきました。」
「はぁぁぁ!? キッツイ事するじゃない。」
「不快な思いをさせてしまって申し訳ありません。」
……深々とお辞儀をしてくれてるけども、おもっくそ個人情報保護法とかにひっかかるんじゃないか?
「……申し訳って……もういいや、いちいち驚くのもめんどいし、オレの情報見たの艦長だけ?」
「はい、私だけです。そしてその監視の結果、最も人に害のない生活を送っていたのが、あきらさんでした。」
「……要は、オレが最高レベルに普通で、人畜無害なおじさんだと?」
「端的に言えばそうなります。」
なんか、理由がカッコよくないなー……
「……自分で言うのもなんだけど、割りと頭変な人だよオレ。荒ぶってるのを隠して生きてるようなもんよ。」
「33年間『変な人』を隠した方の行いも興味深いです。」
「そんな適当でいいの?」
「そもそも人の性格や考えを外側から判断する事は、不思議パワーを持ってしても不可能です。ここから先はいわばギャンブルと言ったところでしょう。しかし、監視の情報と、本日ここに来てからのあなたを見て、いわゆる『悪』の傾向は感じ取れませんでした。」
「そう? 割りと頭の中で悪態つきまくって生きるよ。」
「あなたは近所に住む方や職場の方、飲食店の従業員にも、誠実に対応されていたように見えました。」
……ごりごりのプライベートな部分も監視してるんだね、不思議パワーえげつないね。
「……まぁ、そこは両親の教育に感謝ですな。」
「そして、ここに転送されてからも、活発でありながら思慮深い一面を見せてくださいましたね。」
「……ん? じゃあ登場遅かったのわざと?」
「はい、行動を監視させていただきました。」
「ヒドイじゃん! 泣くとこだったよ。」
「重ね重ね申し訳ありませんでした。追い詰められた状況での行動を確認したかったのです。……あなたは怒りや恐怖で激昂する事なく、突然現れた私にも友好的に対応してくれました。」
こっちは命の危機感じてんだから、謝って済む問題かねぇ?
……ブチ切れてもいいところなんだろうけど、こんな美人さんに笑顔で言われちゃうとなぁー……
「……まぁ、ホッとしたのが強かったから怒るタイミングがさぁ、待ってる間はムカついてたよ。」
「それは当然の事です。あの状況で怒りや恐怖が湧かない人間など、それこそ異常です。それらの抑え方や表現の仕方こそ重要なのです。あきらさんの反応は理性的な方と判断出来るものでした。」
「ふーん、随分買いかぶってくれるね、悪い気はせんよ。」
「そんなあなたが内に秘めた、荒ぶる何かが『異なる星』で発揮されたとしても、人に害を与える可能性は低いと判断しております。」
「じゃあここで暴れたり叫んだりしてたら、お願いされなかったの?」
「そうなります、その場合は記憶を抹消して地球に送り返していました。」
爽やかな顔してメチャクチャ怖い事言うじゃない……
抹消って何さ? 脳みそバグらんのか?
……というかお願い断ったらオレも記憶抹消されるのか?……脅迫じゃないかそれ?
……まぁえぇわい、ここまで来たら最後まで楽しもうじゃない。
「簡単に言うと、オレは『選ばれし者』なんだ?」
「そういう事です。」
「そして『チャンスを掴み取った』と?」
「そういう事です。」
「ほんで、バイクと車持ってって好きにやれと?」
「そういう事です。」
「ンンンロマンッ!」
「どういう事です?」
「悪くないじゃない、って意味。」
「そういう事でしたか。」
「イヤ、マジで行きたくなってきたな……あぁ、でも漫画や映画なんかは流石に持っていけないよね?」
「タブレットを持ち込めばよろしいかと。」
「いや、生活必需品には入らないでしょ?」
「ミュージックプレイヤーや、ナビゲーションとして車に搭載される方もいるので、自動車用品としてカテゴライズしていたのですが、問題ありますか?」
「微塵も問題ありませんな!……いや、でも電波ないよ。」
「『異なる星』からの送信は不可能ですが、この施設から送信した電波を受信する事は可能です。」
「すんげぇ! どうしよう、行かない理由がなくなってく。」
「ご自由に判断してください。」
んん……楽しそうだ、実に楽しそうではないか……でも大丈夫か? 信用していいのか?
……まとまらん……タバコ先生の出番か。
「ねぇ、もう1本吸ってもいい?」
「何本吸っていただいても構いませんよ。」
「吸いながら考えまとめるんで、そのあと細かい事聞かせてもらうね。」
「わかりました。」
?月 ?日
休憩を提案した発光べっぴん艦長は、「お手洗いをお出ししますね。」と言い出した。
便所は提供するもんじゃなくて案内するもんだろうが、と呆れていると、メタリックな床がウィンウィン言いながら変形し、何もなかった空間に一つの部屋が出来上がった。
目の前で起きた変形合体ショーにガッチリと心を掴まれ、ワックワクで部屋の中を覗くと、それはそれは身近な陶器製の便器が用意されていた。
ありがたい事に、メンズ用スタンディングスタイルだ。
白く輝く便器を見たら、膀胱が思い出したように排泄を催促してきたので、ありがたくトイレを借りる事にした。
「メタリックトイレー♪ メタリックトイレー♪」
…………ふう、よき放尿でした。
ーー ゴポォッ ーー
あ、勝手に流れる子ね? ありがとー。
しかしこんだけSFSFしてんのに便器は陶器なんだな。
……あ、手ェ洗う水道もあんね、どう出すの? センサーかな?
ーー ジャー ーー
おぉ、この辺も我々と変わらぬのね。
これどこにどう繋がって水出てんだ?……まぁ不思議パワーだわな……
……さてと、お手手ウェッティおじさんなんだが……
この箱がハンドドライヤーっぽいな、この下に手か?
ーー プシュンッ ーー
な、一瞬で乾くだと!? ヒュー、カッコイイ!
ドアはどうすりゃ開くんだい? 目の前に立つ感じ?
ーー シュインッ ーー
ンロマンッ! 音も開き方も完璧、上に一気にスライドせんとね。
この後はどうすりゃいいんだ? 艦長に言えばいいか。
「トイレ助かりましたー。」
「それはよかった、素晴らしい歌声でしたね。」
「あ、聞こえてました? いや、お恥ずかしい。」
「それでは格納するので離れてください。」
「はーい。」
数歩その場を離れると、プレハブ大のトイレは機械音と共に変形しながら、元のメタリックな床へと姿を戻した。
トランスフォーム便所とはなんともCOOOOOL、見事な技術の無駄遣いだ。
嬉しくなりながら艦長のもとへ向かうと、元はなかったイスとデスクが用意されている。
取り調べでもされるのだろうか?
テーブルの上には……タバコ様だぁ!!
お迎えに来たお母さんを見つけた子どものように、大喜びでイスへ駆け寄り、流れるように着席した。
「艦長! これオレの吸ってる銘柄じゃないですか。」
「艦長? なぜ私をそう呼ぶのですか?」
キョトンとした顔で、首を傾げている。
笑顔以外の表情を初めて見たが、これはこれで素敵ではないか。
「あぁ、失敬。……頭の中で勝手に艦長って呼んでました。」
「そういう理由でしたか。では、これからはそう呼んでください。」
「じゃあ、そうさせてもらいます。……すんません、なんかメチャクチャ緊張が続いてたのが、トイレ行ったら一気に緩んじゃって。」
「大変な負担をかけてしまってすみませんでした。」
謝罪会見で見るような、丁寧で深々とした綺麗なお辞儀と、本当に申し訳なさそうな表情を見るに、オレを呼び出したのには止むに止まれぬ事情があるのだろう。
「あぁ、イヤミで言ったんじゃなくてですね……と、とにかくもう大丈夫ですよ。不思議を楽しむ事にしましたから。」
「それは素晴らしい! 寛大な心をお持ちなのですね。」
爽やかな、『艦長スマイル』が戻ってきた。
「まぁ、非日常ってのに憧れはありましたからね。……さっきのトイレも興奮しちゃって、気ぃ抜いてオシッコしたからオナラも出ましてね。」
「まぁ! 活発な腸をお持ちなんですね。」
「なんであんな連動してんすかね? 艦長もそういう事ってぇっ!……すみませんでした。」
……ヤベェ、気が緩み過ぎてた。
未知の光体にバチバチのセクハラかますとかイカれてんだろ!
「私は放尿と放屁を……」
「スタァァァァァァァァァァップ!! 何を当たり前に答えてんの? ダメダメ! 聞いたこっちが悪いから、ごめんなさい! 宇宙に放り投げないで。」
「そうですか……あぁ、タバコをどうぞ、他に何か必要な物はありますか?」
「いや、できればコーヒーも飲みたいけど……」
「すぐにご用意出来ますよ。」
くぁぁぁぁあああ! エクセレン! なんて好待遇だ。
……艦長、オレあんたが大好きになってきたよ……
「じゃあ、お願いしたいです。……ミルクも砂糖も必要ないんで。」
「わかりました、少し待っていてくださいね。」
「ふぃー……なんか、艦長って話しやすいですよね。オレさっきから、敬語ちょいちょい忘れちゃってるし。」
「ストックホルム症候群の恐れがありますね。」
ふふふ、誘拐じゃないんだから艦長……
いや?……ほぼほぼそういう状況だな。
爽やかな顔して何恐ろしいこと言ってくれてんのさ……
「……ま、まぁ、一旦忘れましょう。」
「やはり寛大なのですね。……間もなくコーヒーが到着しますよ。」
「いや、さっきから一緒におはな……」
ーー プンッ ーー
「うわぅ! 何さ!?……うん?」
目前のデスク上に突然、カップ、ペットボトルの水、ケトル、カセットコンロ、ドリッパー、フィルター、コーヒー豆、コーヒーミルが次々と瞬間移動のように現れた。
全てオレの部屋に常備している物と同じである。
「……これ全部ウチのヤツ? あ、よく見ると灰皿とライターもだ!」
「はい、施設に用意がないので、あきらさんのお宅から『転送』させていただきました。」
……いや、当たり前みたいな顔してるけど、とんでもない事してないかい?
「……転送って、どういう仕組みなの?」
「仕組みを説明するのに時間を要しますよ。」
「……要は、『不思議パワー』だね?」
「それは素晴らしい言葉ですね、今後使わせていただいても?」
「ぜひぜひ。」
「ありがとうございます。……私はコーヒーを淹れられないのでお任せしても?」
「あぁ、全然いいよ。この作業好きだし、けど時間かかるよ?」
「では、話しながらでもかまいませんか?」
「どうぞどうぞ。」
メタリックな不思議空間でコーヒーを淹れるべく、カセットコンロの上に水を入れたケトルを置いた。
なんともシュールな光景に、思わず吹き出しそうになっていると、艦長が淡々と話し始めた。
「今回、あなた様をお呼びしたのは……」
「あぁ、あきらでいいよ。『様』もやめて。」
「わかりました。では改めまして、今回あきらさんをお呼びしたのはある『お願い』をしたかったからです。」
……お願いだ? クルーになってくれってか? メカニックですか?
まぁ、エースパイロットの機体をカリッカリのピーキー仕様にしてよくて、呼び方を『おやっさん』に統一してもらえるなら、オレもやぶさかじゃないね。
汎用性のある機体にした方が本来はいいんだろうが、主人公機ってのはピーキーじゃなくちゃダメだ。
そうする事によって極限状態での瞬発的な力は、他国の最新鋭機にも負け……
「あきらさん、神妙な顔をされて、どうかなさいましたか?」
「失礼、発作が出て。」
「そんな! ご病気なのですか?」
「…………ロマン、かな?」
「なるほど、健康なのであれば結構です。」
……ツッこんでもらえないのも結構心にきますなぁ……
「『お願い』というのは、あきらさんに『地球とは異なる星』へ行っていただき、私の活動に協力してもらいたい、という事です。」
……ん? 異なるって、他の星? 何しに? いつよ?
……ダメだ、訳がわからん、一旦流れに身を任せよう。
「その……なに? 今から?」
「準備が出来次第で大丈夫ですよ。」
「準備……え、行くってどのぐらい?」
「恐らく一生になるかと思います。」
「えんっっっぐ!」
「えんっっっぐ?」
「あぁ、とてもえげつないですね、という意味だね。」
「理解しました。」
「一生ねぇ、色々言いたいけど……なんで?」
「『よりよい未来』を作る協力をして欲しいんです。」
「フワフワしてますなぁ、よりよい未来とは?」
「『より多くの人が幸せな世界』です。」
結局わかりづらいんかい!
……よその星に行って多くの人を幸せにせぇ、と?
宗教? ずーっとニコニコしてるし、『大宇宙幸せ教』か何かか?
……そもそも、よその星に人がいるの?
「あの……『人?』がいる星があるの?」
「はい。地球と酷似した環境の星であり、いわゆる『人間』も存在します。」
「えぇ~……まぁ、あるとして、幸せって? 魔王を倒して平和にして、みたいな?」
「いいえ、その星に魔王は存在しません。何かを打倒しろという事でもないです。」
……バトル系のお願いではないのね。
安心したような、ガッカリしたようなだな……
「ふーん……あ、お湯沸いたから一度中断しても?」
「どうぞ。」
「ではでは。」
ーー コポコポ…… ーー
……ポケーっと喋ってたけど、なんだこれ? 訳わかんねぇぞ。
便所もあるし友好的だし、この建物だか何だか知らんメタル空間は地球関連の何かで、艦長はハイテクオペレーター的な存在なんだよなきっと……
つか、他の星? 一生? デンジャーじゃないの?
……でも話自体はすげぇ面白い、結論が気になる…………
……タバコーヒーかちこんだら話聞くだけ聞こ。
ーー コポコポ…… ーー
「よし、コーヒーできたよ。」
「どうぞ召し上がってください。」
「じゃあ失敬してタバコも一緒に……艦長は煙平気な人?」
「えぇ、全く気になりませんので、どうぞ。」
「遠慮するとこなんだろうけど、色々限界だからいただきます。」
ーー シュボッ ーー
「…………………ペホーーーーーーーー……たまんねぇ……」
ーー 第三種警戒発令! 第三種警戒発令! ーー
「……なんか、パトランプが騒いでるけど、こりゃ一体何の騒ぎで?」
「大気の汚染を検知したみたいですね。三種なら問題ないんでお気になさらず。」
「はぇ~、タバコ検知して? すっごいんだねー。」
「……あまり驚かれないんですね。」
「タバコタイムで無敵なんだ、あと驚き慣れかな?」
「それは素晴らしい! 地球の人類にはまだ私の知らない機能があったのですね。」
「オレもこの機能は今日初めて知ったねー……」
……あ? 今、『地球の人類』って言ったよな?
「えっ、艦長生まれはどこ? 地球? 地球産ミラクルオペレーターだよね?」
「いいえ、違いますよ。」
「ほぁあっ!? この艦? 施設? 地球ホニャホニャ軍とかじゃないの?」
「地球とは全く関係のない物です。」
「……何くつろいでんのオレ?」
「素晴らしい適応力だと感心していました。」
「はぇ~、勝手に地球の秘密組織だと思ってたわ。……じゃあ、艦長は宇宙人?」
「いいえ、違いますよ。」
「じゃあ……何?」
「地球の皆様からすれば『人智を越えたもの』という表現が正しいでしょうか。」
神でもなく、宇宙人でもなく、人間でもなく……めんどくせぇ、ハイパー面倒だ。
……いっそ細かい事はいいや、エンジョイエンジョイ!
「不思議パワーレディって事でいいかな?」
「そうですね、適切な表現です。」
「……不思議パワーって、マジカルとかミラクルな感じなの?」
「いいえ、サイエンスですね。」
「ウッソだ~、サイエンスでコーヒー召喚すんの無理でしょ。」
「召喚ではなく『転送』ですね、メールの画像添付と要領は一緒ですよ。」
「……メール?……イヤ……え……信じられないよ。」
……メールで『物』を送るなんて出来る訳がないだろ艦長……
どんどん最新のアプリに疎くなってきたけど、そんぐらいオレにもわかるって……
「私とあきらさんの知る文明に差があるので、そう思うのも仕方ないですね。」
「文明?……どういう意味?」
「例えば、江戸時代で生きている方に、『人類は自力で、あの空に輝く月に行けるようになる。』と伝えて、信じてもらえると思いますか?」
「うつけがぁ! からの袈裟斬りですな。……そのぐらいオレ達の文明に差があんのね。……それでもメールが進化して『転送』になるもん?」
「要は、ものすごく容量の大きい添付データといったところですね。」
……まぁ、言わんとする事はわからんでもないけども……
「『転送』の不思議パワーは、今回のお願いにも深く関係しています。」
「……あぁ、そうだそうだ、お願いに関係って?」
「あきらさんには地球の優れたアイテムや思想などを、『異なる星』に持ち込んで欲しいのです。」
持ち込む? 持ち込んでどうすんのよ?
いちいちハッキリしない物言いだよ艦長は……
「持ち込むってのは……えーっと、なんで?」
「文明をより速やかに進化させるためです。」
「うーん……持ち込むと進化するの?」
「はい、劇的な変化が生じますね。例えば、自転車を知らない人達の前で自転車に乗れば、『あれは何だ?』『私も欲しい』『模倣して作ろう』という風に、自転車を見た人が再現するべく技術を磨き、連鎖的に技術や利便性が他の人へと伝播していき、文明に活力が生まれます。」
「……進化の起爆剤になれと?」
「まさしく、その通りです。」
文明が未発達な星に、地球の物を持ってって見せびらかせって事でいいんだよな……
「て事は、便利だと思う物を全部持っていけばいいの?」
「理由は明言できませんがそれは不可能です。一人につき、1カテゴリが基本で、それ以外は制限されます。」
カテゴリ? 制限?……めんどくせぇ。
「ごめん、よくわからん。」
「料理を広めたければ『調理道具』、音楽を広めたければ『楽器類』といった形で、持ち込む物のカテゴリを決めてもらいます。」
「持ち込める物を限定するって事か……一人につき、って事は他にも地球人がいるの?」
「前任者は複数名いらっしゃいましたが、今はいません。これから行くとすれば、『異なる星』の中で、地球出身はあきらさんただ1人です。」
「あら、責任重大だ……そもそもなぜ艦長はそんな事を?」
「私は地球も『異なる星』も含め、人類がより幸せになるために活動する存在です。ですが、私にできる事は『観察』する事と、物や生物を『転送』する事だけなのです。なので、代行者の方に活動の手伝いを頼んでいるんです。」
艦長は宇宙の人々の幸せを願う不思議パワーレディ、って事か?
ほいで、その為の活動に協力して欲しいと?
……ふーん、悪くないねぇ、ロマンだね。
「素敵な話だと思うよ。」
「ありがとうございます。」
……あれ、ダービーも持ち込めんのか?
それが出来るなら、すげぇ魅力的な話だぞ。
「ねぇ艦長、例えばオレが『異なる星』に行くとして、車やバイクを持ち込んでもいいの?」
「はい、持ち込めますね。どちらでもかまいませんし、両方ともでも構いませんよ。」
「え、両方いいの?」
「はい、一台ずつであれば可能です。」
ありがたいけど……両方ありってズルくないのか?
「うーんと、カテゴリなんちゃらみたいなの言ってたよね?」
「『エンジンのついた乗り物』というカテゴリで1くくりになります。」
「なんと!」
すんばらすぃー、先方にエンジンの魅力を教えてやれってことね。
ヤバい、ロマン汁が垂れてきた。
……待てよ、魅力を広めるとなると、向こうのお偉いさんにベタベタ触らせたりせにゃならんのか?
えー、そうなってくると圧倒的に不快だぞ。
「艦長、物を持ち込んだら具体的に何をすればいいの?」
「何をしていただいても構いませんよ。」
「なんでもいいの!? ご機嫌だなぁ!!! あ、ごめん……なんで?」
「『幸せの定義』が不明瞭ですし、『幸せになる方法』も明確ではないので、活動内容は基本的に各々の判断に任せています。」
なるほど、哲学的だけど、確かにそうだな。
金があれば愛がいらないって人もいれば、その逆の人もいるわな……
「自分の思う幸せを広めろ、って事ね。ますます悪くないよ、この乗っけ上手。」
「ありがとうございます。」
要はベイビー達を乗り回して、「超カッコイイ!」「アレ欲しい!」って思わせればいいんでしょ?
『男のロマンスジャーニー異星編』の主人公って事だわな。
……でもジャーニーなら、メシやら何やら必要だぞ、どうすんだ?
バイクと車しか持ち込めねぇ感じか?
「カテゴリに選んだ物以外に、持って行ける物はあるの?」
「生活必需品や消耗品なら、ある程度の物は持ち込み可能ですよ。」
「わーぅ! 破格じゃん! でも、いいの?」
「代行者の方の命を危険にさらす訳にはいきませんので、『最低限快適な生活をする為に必要な物』は持ち込めますよ。ただ、持ち込むカテゴリに選んだ物とは自由度が違います。」
……ふむ、『限られたアイテムだけ持たせて放り込む』なんてマネはしない訳だな。
「……いいね。で、自由度てのはどういうこと?」
「料理のカテゴリを選んだ方は、調理道具全てと、それに付随する物が持ち込み可能で、転送も送り返しも自由です。ですが、それ以外の物、例えば衣服などは量が制限され、持ち込んだ後の管理や保管も自主的に行なっていただきます。」
「はいはい、制限された量だけ持ってけるのね…………ん?『転送が自由』って言った?」
「はい、言いましたよ。送り返しも自由ですとも言いました。」
「うわぁ、カッケェ……するってぇとアレかい? 車乗りたい時は呼び出して、降りたら送り返してが出来ると?」
「その通りです。」
「ギャッバイ。」
「ギャッバイ?」
「とても興奮しますね。という意味だよ。」
「理解しました。」
たまんねぇ! ダービーやショルダーを『召喚』できるって事だよな……
はちゃめちゃカッコイイじゃんか!
「……んで、付随する物だから、カー用品とか修理工具とか燃料とかも?」
「持ち込み、呼び出し、送り返し、全てが可能ですね。」
「ほいで、タバコにコーヒーとか服やら飯やらは、自由じゃないけど持ち込め……?」
「ます。ふふふ……」
「ほっほー、艦長ノリいいじゃないか。……ヤバい、本気で行きたくなってきた。」
「強制はできないので、あくまでも自己判断でお願いします。」
慎ましいねぇ、無理強いしてこないのもいいじゃない……
そんなに低い姿勢で頼まれるとおじさん弱いのよ。
……はら? そもそもお願いする相手がオレでいいのか?
チョロそうなロマンおじさんだからか?
「なんでオレにお願いしたいの? もっとカリスマというか……立派な人いくらでもいるでしょ?」
「残虐な方や非道な方は論外ですが、正義感の強すぎる方や、行動力のありすぎる方もお願いする候補から除外しています。」
「正義マンも!? なんでなんでー?」
「他国に迷惑をかける国があったとして、『その国に関わる物全てを滅ぼす』というような、極端な思考を生み出す恐れがあるからです。」
「あー、一方にとっての正義は、もう一方にとっては……みたいな漫画あるあるね。」
「その通りです。」
なるほどねぇ、深いじゃないのぉ……
「それでも、なんでオレ? オレの両親が伝説のホニャララだった?」
「候補の選定方法はまず、過去数年戦争を行ったことがない国から、高等教育を経験した人間を選び、その中から27~35歳の人間に絞ります。」
「若者じゃなくておじちゃんなの? 人生経験とか?」
「そうですね、経験値と体力のバランスを考慮しています。さらにその中から家族のいる方、地球の社会に大きな影響を与える方、前科と逮捕歴、離婚歴のある方を除外します。」
ここまではガッツリあてはまるねぇ。
『選ばれしおじさん』ってのも悪くないね。
「その中で身体データ、収入、知能指数の平均を割り出し、その中央に位置する100名の過去や現在の行動を精査しました。」
「……行動を精査?」
「不思議パワーで過去も含めて監視させていただきました。」
「はぁぁぁ!? キッツイ事するじゃない。」
「不快な思いをさせてしまって申し訳ありません。」
……深々とお辞儀をしてくれてるけども、おもっくそ個人情報保護法とかにひっかかるんじゃないか?
「……申し訳って……もういいや、いちいち驚くのもめんどいし、オレの情報見たの艦長だけ?」
「はい、私だけです。そしてその監視の結果、最も人に害のない生活を送っていたのが、あきらさんでした。」
「……要は、オレが最高レベルに普通で、人畜無害なおじさんだと?」
「端的に言えばそうなります。」
なんか、理由がカッコよくないなー……
「……自分で言うのもなんだけど、割りと頭変な人だよオレ。荒ぶってるのを隠して生きてるようなもんよ。」
「33年間『変な人』を隠した方の行いも興味深いです。」
「そんな適当でいいの?」
「そもそも人の性格や考えを外側から判断する事は、不思議パワーを持ってしても不可能です。ここから先はいわばギャンブルと言ったところでしょう。しかし、監視の情報と、本日ここに来てからのあなたを見て、いわゆる『悪』の傾向は感じ取れませんでした。」
「そう? 割りと頭の中で悪態つきまくって生きるよ。」
「あなたは近所に住む方や職場の方、飲食店の従業員にも、誠実に対応されていたように見えました。」
……ごりごりのプライベートな部分も監視してるんだね、不思議パワーえげつないね。
「……まぁ、そこは両親の教育に感謝ですな。」
「そして、ここに転送されてからも、活発でありながら思慮深い一面を見せてくださいましたね。」
「……ん? じゃあ登場遅かったのわざと?」
「はい、行動を監視させていただきました。」
「ヒドイじゃん! 泣くとこだったよ。」
「重ね重ね申し訳ありませんでした。追い詰められた状況での行動を確認したかったのです。……あなたは怒りや恐怖で激昂する事なく、突然現れた私にも友好的に対応してくれました。」
こっちは命の危機感じてんだから、謝って済む問題かねぇ?
……ブチ切れてもいいところなんだろうけど、こんな美人さんに笑顔で言われちゃうとなぁー……
「……まぁ、ホッとしたのが強かったから怒るタイミングがさぁ、待ってる間はムカついてたよ。」
「それは当然の事です。あの状況で怒りや恐怖が湧かない人間など、それこそ異常です。それらの抑え方や表現の仕方こそ重要なのです。あきらさんの反応は理性的な方と判断出来るものでした。」
「ふーん、随分買いかぶってくれるね、悪い気はせんよ。」
「そんなあなたが内に秘めた、荒ぶる何かが『異なる星』で発揮されたとしても、人に害を与える可能性は低いと判断しております。」
「じゃあここで暴れたり叫んだりしてたら、お願いされなかったの?」
「そうなります、その場合は記憶を抹消して地球に送り返していました。」
爽やかな顔してメチャクチャ怖い事言うじゃない……
抹消って何さ? 脳みそバグらんのか?
……というかお願い断ったらオレも記憶抹消されるのか?……脅迫じゃないかそれ?
……まぁえぇわい、ここまで来たら最後まで楽しもうじゃない。
「簡単に言うと、オレは『選ばれし者』なんだ?」
「そういう事です。」
「そして『チャンスを掴み取った』と?」
「そういう事です。」
「ほんで、バイクと車持ってって好きにやれと?」
「そういう事です。」
「ンンンロマンッ!」
「どういう事です?」
「悪くないじゃない、って意味。」
「そういう事でしたか。」
「イヤ、マジで行きたくなってきたな……あぁ、でも漫画や映画なんかは流石に持っていけないよね?」
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「微塵も問題ありませんな!……いや、でも電波ないよ。」
「『異なる星』からの送信は不可能ですが、この施設から送信した電波を受信する事は可能です。」
「すんげぇ! どうしよう、行かない理由がなくなってく。」
「ご自由に判断してください。」
んん……楽しそうだ、実に楽しそうではないか……でも大丈夫か? 信用していいのか?
……まとまらん……タバコ先生の出番か。
「ねぇ、もう1本吸ってもいい?」
「何本吸っていただいても構いませんよ。」
「吸いながら考えまとめるんで、そのあと細かい事聞かせてもらうね。」
「わかりました。」
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―――――――――
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アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
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神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
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