月の少女

榎茸滑子

文字の大きさ
上 下
2 / 2

第2話

しおりを挟む






   「ほら。」

  この子の家だろうか?

   家の中に入ると雨の音がつよくなったのが聞こえた。

   「え、ありがとう。」

   タオルを頭にかけられた。

   (少しかび臭いかもしれない…。)

   「ねぇ、このタオルいつの?」

   「え、うーん。わかんない。まぁとりあえずそこに座って待っといて。」

    そういうと、釣った魚を持って別の部屋にもって行った。

   (わかんないのかァ…。)

   しばらくタオルを見つめながら思案する。

   かび臭いタオルで仕方なく雨で少し濡れた頭や服を軽くふく。

   そうしているうちに、雨がまた強くなった。

   「これ、帰るとき大丈夫かな…。」

   「傘でも貸そうか?」
 
   「わっ、…。ビビらせないでよ。」

    魚を置いて戻ってきたようだ。

    「はい。」

    「なにこれ?」

    「ホットミルク。」

    「へー。ありがと。」

    ゆっくり口をつけて飲む。

      (おいしー…。)

   向かい側に自分の分のホットミルクを持ってきて座る。

   「んー。美味しい。」

   「ねぇ、あなたはここに住んでるの?」

   「ん~。まぁ、そうだね。」

   「名前は?」
   
   「そういうのは、自分から名乗るもんだよ。」 

   「そうなの?私は、ルーンだよ。」
 
  「リルンって呼んで。」

   「ほー。良い名前だね。」

   「ルーンこそ、いい名前じゃない?月って意味だよね。確か。」

   「おー、よくわかったね。こっちだと月としか聞いた事なかった。」

  「そこは、まぁ、うん。ちょっと、知り合いが言ってたのたまたま覚えてて。」

   「そうなんだ。」

   「うん。後、そろそろ帰った方がいいよ。ちょうど小雨になってきたし。」

   確かに、いつの間にか小雨になっている。

   リルンが椅子から立ち傘を差し出す。

   「また来ていい?」   

   「そうだね……。夜は困るけど…、昼間だったら来ていいよ。」

    「ほんと!?ありがとう!」

   ドアの前で傘をもらいさす。

   (可愛い傘だな。)

    「バイバイ。」

   「またねー。」

    少し、歩いてからリルンが大きな声でさけんだ。

   「あ、次来る時傘忘れないでねー!!」

    「わかったー!!」

   
    
   

   
   


  

   
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...