異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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マルクトール王国編

異世界ルール まとめ6

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 《これまでに学んだ異世界のルールを、各国の王様が解説してくれました》


 ◯ 成人前の子供達は、エスティオという問題解決体験に参加します

 〈セシル〉
 この世界エレメンテには、警察や役所というものは無い。だから、何かの問題や困り事は、自分達で解決するのが普通なのじゃ。
 エスティオは、それを体験するために実施される。何かの問題を解決するために必要なのは、情報じゃ。いまある情報から答えを出すことが重要。成人前の子供達は、それをエスティオで学ぶことになっておる。
 この世界エレメンテでは、何かの重要な答えを出す時に、多数決で決めてはいけないというルールがある。1人でも強固に反対している時は、答えを出してはいけないのじゃ。
 どうしてそんなルールがあるのか?
 それは、この世界には大いなる呪いがあるからじゃ。グールは精神的に堕ちている者に取り憑く。多数決は、選ばれなかった人達が不満を持つという不公平な方法だからのぅ。

 今のこの世界には紋章システムがあるから、誰でも平等に情報を手に入れることができる。あとは、その情報をどう使うかだ。同じ情報を得ていても、人によって出す答えは違うだろう。それを擦り合わせるのが、話し合いじゃよ。どうしてその答えにたどり着いたのか、どうするのが一番いいのか、それを話し合いで決めるのじゃ。
 ここで重要なのは、価値観や主義主張が似ている者同士でないと話し合いは上手くいかないということじゃ。良いと思っている根本が違うと、出す答えも全く違うからのぅ。
 エスティオは依頼者の問題を解決する決まりだから、依頼者の主義主張にあった解決策が選ばれることが多い。子供達はこうして、問題解決を学ぶのじゃ。

 実際の問題解決は成人してから、それぞれの国で体験することになる。各国には価値観が似たような人が集まっているからな。問題もすぐ解決することが多い。
 だから、我は様々な価値観の国を作ったのじゃ。この世界エレメンテの人々が、自分らしく生きられるように、とな。価値観はその人そのものだ。どちらかに合わせるのは、無理がある。あまりにも価値観が違う者同士は、離れて暮らす方が幸せなのじゃよ。

 例えば、ガンガルシア王国では強い者に従う者が多いからのぅ。何かの問題を解決する時は、殴り合いで勝った者の言うことを聞くことが多い。
 マルクトール王国には、学者や研究者が多いからな。双方が納得するまで議論することが多い。
 ガンガルシアの国民になることを選んだ者達は、マルクトールの『お互いに納得するまで議論する』という方法は理解できないだろうし、逆にマルクトールの国民は、『強い者の言うことを聞く』というガンガルシアの方法は理解できないだろう。

 成人前の子供達は、それぞれの国の特徴を調べたり、実際に体験したりしながら、どこの国民になるかを選ぶ。成人した後からでも、住む国を変えることは出来るからな。年月と共に価値観が変化した場合は、国を変えればいいのじゃよ。
 周りに合わせて自分を無理に変えるのでは無くて、自分にあった場所へ行く。これがこの世界のルールじゃ。





 ◯信仰は自由ですが、布教という仕事はありません

 〈トール〉
 最初に言っておきますけど、僕は無宗教です。無宗教とは特定の宗教を信仰しないということです。神の存在を否定しているわけではありませんから、そこは間違えないでくださいね。

 神の存在は証明されていません。でも神が存在しないということも証明されていません。この場合、神の存在は肯定も否定もできません。神という存在は居るかもしれないし、居ないかもしれない、というのが僕の考えです。
 存在を証明できないものは、存在しない!なんて極論は、僕には受け入れられません。これでも学者の国の王ですからね。

 アースの宗教、特に三大宗教と呼ばれるものの役割は、倫理観や道徳観の統一です。そのため、その宗教を信じている人達同士が集まった場合、生活しやすいという利点があります。神を信じている人にとって、神は絶対ですからね。信心深い人は皆、良い人なのです。多くの宗教は、人が幸せに暮らせるような教えなのですから。
 ただ、問題があるとすると、アースの多くの宗教は信仰する神だけが絶対だとする考えのため、他の神を信仰している人達を受け入れられないことでしょうか。信仰は自由ですが、宗教を理由とした迫害は許されることではありません。
 過去のエレメンテには、神の名を叫びながら、他者を殺戮する過激な集団がいました。絶対である神の言うことは、どんなことでも聞いてしまうようになるのです。宗教とは、このような怖ろしい側面もあるのです。
 アースでもありますよね?

 宗教は元々、ツライ日々の心の支えとして栄えてきました。困っている人や心が迷っている人ほど、何かに頼りたくなる。
 でもこの世界エレメンテには、紋章システムが出来ました。心の支えとしてパートナー精霊がいて、衣食住で困ることはない。そして『人を害してはいけない』という唯一のルールで生活しています。これにより、宗教に傾倒する人はいなくなりました。エレメンテで現在、信仰されている神は唯一神としての神ではなく、人知を超えたものとしての神です。

 少し難しくなってしまいましたが、アースのものとは違うという事を理解してくださいね。

 セシルねえさまは、数ある転生のうち、何度かは殉教で亡くなっています。殉教とは、自分の信じる宗教のために死ぬということです。殉教という選択肢しかない時代だったので、仕方のないことだったのですが、エルは宗教をひどく憎んでいます。大事な主の命を奪ったのですから、嫌いになるのも当然ですが…。

 紋章システムを開発して国を作ったときに、宗教を禁止することも出来たはずですが、セシルねえさま、いえ、初代王はそうしなかった。

 信仰は自由だからと。

 このエレメンテは、様々な価値観を認め合うことができる、本当に自由な世界なのです。


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