異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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イリステラ王国編

163話 主人公、流浪の民を知るー2

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『大いなる呪いについて書かれた古文書を調べていた僕達は、古文書に流浪の民の紋様がある事に気付いた。古文書は、精霊王を祀る神官たちが書いたものだと解読できたのだが、その神官たちと流浪の民の関係は良く分からなかった。』

『そこで、マルクトールの王宮図書館でその紋様がある本を集めて、調べることにした。しかし、ライルの解読では、本から真意を読み取ることはできなかった。』

『だから、本の意味を探るのではなく、流浪の民の紋様から調査することにした。流浪の民とは世襲で成り立っていたのではないか、という仮説をたてた僕達は、 紋様がある本や道具について、なぜその紋様を記しているのか本人に聞く作業をはじめた。』

「うん。その後、僕はタムから緊急連絡をもらって、このイリステラ王国に来た。あれから10日くらいだけど、もう何かわかったの?」

『僕達やライルには、いろいろな人脈があるんだよ。それを総動員して、調べたよ。それに、エレーナっていう強い味方もいるし。』
『そうそう。集めた情報を見事にまとめて、結論に導いてくれたよ。』

「じゃあ、すごい事が分かったんだね。」

『まず僕達がしたのは、聞き込みだ。流浪の民の紋様をなぜ記しているか。多くの人は、紋様の形が気に入って付けているってことだったんだけど、その中に古い風習だから、と答える人達が何人かいたんだよ。』

「風習?」

『紋章システムが出来てから、この世界の人々は、成人するまでセシリア王国で育つようになった。そして成人する時に、国を選んでそこに移住する。さらにその国の中で住む地域を選ぶんだよ。』

『住む地域を選んだ後は好きに家を出して暮らすことになるんだけど、コミュニティが出来上がってる地域だと、その地域の代表者に挨拶をしないといけないんだよ。』

「コミュニティって共同体のことだね?」

『そう。タクミに分かりやすく言うと、コミュニティは村や町、代表者は村長や町長って感覚かな。』

「オラの住んでる地域では、兄ちゃんが代表者をしているだ。コミュニティには独特の決まり事がある場合が多いだよ。大まかなルールは紋章システムに公開されてるから、多くの人はそれを見て移住してくるだ。その人達に詳しい決まり事を教えるのが、代表者の役割だ。
 そして移住者は、何日か仮に住んでみて移住するか決めるだよ。地域の決まり事に馴染めない人は、そこには住まない方がいいっていう考えなんだべ。」

 なるほどな。昔ながらのルールがある場所に住むのは、いろいろ大変だからなぁ。ザンザーラもルールがいっぱいあったから、馴染める人は少なくて、結局住む人が居なくなったんだったな。

『コミュニティ、共同体が全くない地域もあるけど、この共同体の考えがある場所は昔からの風習や迷信が残ってる場合が多いんだよ。』

『風習とは、その土地にあるしきたりや習慣のこと。迷信とは、根拠のない言い伝えのこと。』

「あっ!それって?」

『そうだよ。もう意味は分からないけど、流浪の民の紋様を付けることだけが、風習として残っている地域が何ヶ所かあったんだよ。』

『しかも、紋様を付けると同時にある儀式をする習慣が残っている事例があった。その地域ごとに儀式の様式は違うんだけど、それを比べると共通点が見つかったんだ。』

『それはこれだよ。』

 空中に、複雑な模様が現れる。
 これは?

「んっ?この模様は古い術式に見えるだな。何の効果があるだ?いや、これだけでは発動しないべ。何かと組み合わせるとか?」

『タム!キミはすごいね!この模様からそれだけのことを読み取るとは!』

『ある地域では、この模様を書いた布の上に流浪の民の紋様を付けた道具を一晩乗せて置くっていう風習が残っていた。それをすると、道具が長持ちするという言い伝えがあるからと。』

『この模様は、それぞれの地域で微妙に違っていた。それを統合して、必要なものだけ残すとこうなる。』

 また違う模様が表示される。

「これは?この模様に流浪の民の紋様をあわせるだか!なるほど!空間転移の術式のように見えるだよ。でもこんな術式は、見たことないだ…。」

『すごいな、タムは!僕達が知り合いの術式専門家に見てもらったら、同じことを言ってたよ。』

『あの古文書には、情報を集めている集団がいたと書いてあったけど、不思議に思ってたんだよ。収集した情報をどうやって送っていたんだろうって。』

『流浪の民の紋様がある出土品はエレメンテ全土で見つかっている。そんなに広い地域から、情報を送るのは困難だろうと思っていたんだが、空間転移の術を使っていたのなら納得だよ。』

「じゃあ、この術式が発動するとどこかに移動できるってこと?」

『ところが、術式は発動しなかった。専門家と念入りに調べたよ。すると、ある事が分かった。この術式は相手側の許可が必要なものだってことがね。』

『そう。この術式を発動すると、移動先に何らかの連絡がいく。相手側はその中身を確認してから、移動していいかの許可を出して、許可が出たものだけが相手側に転移できるって仕組みだ。』

「ずいぶんと念入りだね。何かを警戒していたのかな?」

『この術式は、物質ならなんでも移動できるからね。危険物や危険人物が移動してくるのを警戒していたのかもしれない。』

「なるほどね。」

『僕達はこの術式をさらに念入りに調べた。発動させることは出来なかったが、重要なことが分かったんだ。』

「あっ!分かっただよ!転移先の座標だな!」

『僕が言おうとしてたのに~!タム、正解!どの地域の模様もある場所を示していた。』

「それはどこ?」

『エレメンテにある7つの国以外の場所、そして、最も謎の多い場所。』

「まさか?」

『そう、暗黒大陸の座標だったんだよ!』

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