異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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セシリア王国編

41話 主人公、紋章の儀に参加する

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 イリス様の子供の"紋章の儀"がおこなわれる日になった。

 僕は見学させてもらうために、リオンとシオンについて行く。ファミリアに来たときと同様に、扉を使わないと行けない場所のようだ。

 儀式をする場所は、かなり遠くにあるってことなんだろうか?

 扉を開けると、目の前には、見たこともないくらいの巨木があった。その素晴らしい光景に、僕は言葉が出ない。

 樹の中に、木が生えてる…。

 僕が只々ただただ、見入っていると、すぐ後ろで声がした。
「見事なものじゃろう?この樹は、このセシリア王国の守り神、セシリアの大樹じゃ。この樹が、このセシリア王国全土に根をはって、この国を守っておるのじゃ。この王国が空に浮いておるのは、この樹があるからじゃ。」

 いつの間に来たのか、セシルが教えてくれる。見ると、すぐ後ろには、子供を抱いたイリスとエルもいる。

「あらぁ、ドラゴンちゃん。来てくれてありがとう。リオンとシオンも、嬉しいわぁ。」

 イリスはそう言いながら、大樹に近づく。イリスが歩いて行く方向に祭壇のようなものがある。その中心に、フワフワの敷物を敷くと、手の中の子供を大事そうにソッと置く。

 イリスが祭壇から降りると、祭壇の中心、イリスの子供がいる場所に、女性の姿が現れた。

 とっても綺麗な人だ。だが、姿が透けている。先日会った、リブラのような存在だろうか?

「あの女性は、セシリアの大樹を具現化した存在だよ。紋章はね、それぞれの国の守り神が授けることになってるんだ。」
 リオンが解説してくれる。

「んっ?でも前は、紋章を与えるのは王様の仕事だって、トールくんが言ってた気が…。」

「王が許可しないと、ここへの扉は開かないのじゃよ。許可された者だけが、ここにくることができる。王が不在の時は、王代理が許可を出すがな。」

 そしてセシルは、僕を見ながら続ける。

「エレメンテでは、王と王代理のどちらかが、必ず王宮にいるルールなのじゃよ。だから、各国には王と王代理が必ず存在してるぞ。トールのマルクトールにいるのは、前の王に仕えておった王代理だ。トールが成人するまで、その役目を果たすことになっておる。」

「それにしても、いまのセシリア王国の王代理は、よく見つけて来たわよねぇ。羨ましいわぁ。」

 羨ましい?

「あぁ、ローグね。あいつはセシリア王宮マニアで、絶対に王宮を離れようとしないからね。イリスの国の王代理なんて、すぐ街に行きたがるんだろ?」
 シオンが、そう答える。

「そうよぉ。恋してないと死んじゃうーって言って、すぐにどこかに行っちゃうんだからぁ。困ったものよねぇ。」

 王様がこんな感じだと王宮に仕えている人も大変だよな、と思ってたけど、王代理も似たような人なんだ!

 そんな会話をしていると、祭壇から光が溢れてきた。祭壇にいる女性が、子供の左手の甲を優しく撫でる。光が左手に集まり、一層強く光ると、その後、フッと消え、女性も居なくなっていた。

「成功したようねぇ。」
 イリスが喜んでいる。

「あぁ、無事に紋章を授かったようじゃの。」

 無事に授かった?
 不思議そうな顔をしていた僕に、セシルが言葉を補足してくれる。

「王という呪われた存在は、紋章システムが使えないと知っておるな。しかし極稀に、王ではないのに紋章を授かれない者がいるのじゃ。これは、本人と我ら王と王宮に仕える者しか知らぬがな。」

「いまのエレメンテには、欠けてる王はいないわぁ。だから、この子が紋章を授かれない可能性は限りなく低いと思ってたけど、やはり心配だったの。やっぱり我が子には、苦労して欲しくないし。」

 イリス様は今日も、丈の短いスカートに胸の部分が見えそうなくらいのセクシーな服だ。でも、我が子を心配する心はちゃんとお母さんなんだなぁ。

 僕がイリスに感心していると、セシルがなんでもない事のように、こう言う。
「田中よ。ついでじゃから、お主も紋章を授かってくるがよい。」

 ついでって、何ですか!

「陽子と月子は、また今度じゃな。母親の許可が出ないうちに紋章を授けるのはマズイからのぅ。その点、お主は困る者はおらぬからな。サッサと済ませておくとしようか。」

 なんだか、扱いがヒドイような。

「さぁ、田中。サッサと祭壇まで行ってください!」
 エルの厳しい指示が飛ぶ。

 イリスが子供を抱いて祭壇から出て行く。僕はさっきまで、子供がいた場所に立って、大樹の化身だという女性が現れるのを待つ。

 すぐ横に誰かの気配がしたと思ったら、さっきの女性が現れた。

 綺麗なだけじゃなくて、なんだか安心する雰囲気だ。あまり覚えていないけど、お母さんってこんな感じかな。

 僕がジッと見ていると、彼女は僕の左手の甲にソッと手を添える。そして、先程見たように、光が集まってきて…。

 バシンッ!!!

 まるで感電したかのような衝撃が、左手に走る。

 何が起こったんだ?

 周りを見ると、あの女性が消えている。そして、こちらを驚愕の表情で見ているセシルと目が合う。

「田中、まさかお主!」

 まさかって?

「呪われし者!!!」

 僕が呪われし者!?
 王様達と同じ存在ってこと?
 嘘だろ?
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