異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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フラルアルド王国編

51話 主人公、工房に行く

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 フラルアルド王国にあるジルの工房は、小さな町工場のようだった。

「親方!今日のは完璧だよ!絶対、今までのより、性能がいいんだから!私ってば、天才!」

 ジルの工房では、朝から、女の子の元気な声が聞こえてくる。彼女の名前は、サクラ。年は16歳。成人したばかりで、このジルの工房で弟子をしているという。小さい身体で、チョロチョロとは動き回る姿は、まるでハムスターのようだ。でも彼女のお尻には、リスのような尻尾が見えている。ハムスターというより、リスだね。

 僕はついつい、サクラの尻尾を見てしまう。
 僕はじつは、小動物が好きだ。サクラのあの尻尾。モフモフしたい!と密かに思っているのだが、女の子にモフモフさせて!なんて言うのは難易度が高過ぎる。だから、見ているだけで我慢している。

「親方!ウチのも見てくれよ!サクラのより、さらにスゴイものを作ったんだよ!ウチって天才!」

 ジルのもう一人の弟子は、モミジ。いつも、つなぎの作業着を着て、自分のことをウチって呼んでいる元気な女の子だ。サクラと同じ、16歳だ。彼女にはキツネのような尻尾がある。

 あぁ、モミジの尻尾も、モフモフしたい!

 いやいや、決して僕は変態じゃないぞ!ただ純粋に感触を楽しみたいだけだ!

 サクラとモミジの尻尾を、つい見てしまうタクミだが、16歳の女の子のお尻を見ているタクミの姿は、まさに不審者。アースだったら、確実に捕まるだろうな、と近くで見ているリオンとシオンは思っていた。

 双子がそんな事を考えているなんて、思ってもいない僕は、今日もリオンとシオンに挨拶をする。

「リオン、シオン。おはよう。今日もよろしくね。」
 紋章を授かれなかった僕に仕えてくれている2人には、感謝の意味を込めて、必ず挨拶することにしている。

「ジルはまだ?今日は遅いね。」
 いつもは、朝早くから、弟子達の成果を見て、アレコレ言っているのに。

 どうしたんだろう?
 まぁ、ジルのことだ、何があっても不思議はないよな、と思う。そして、ジルと会ってから体験した様々なことを、僕は思い出していた。




「では、田中はここに残ると言うのじゃな。」

 セシルの言葉に、僕は頷く。

「はい。ジルが良いと言ってくれるなら、ジルの工房で紋章システムについて学びたいと思います。その間に、ジルには、僕のことを調べてもらいます。」

「おぅ、任せとけ!じゃあ、セシルさまも良いよな!タクミは、俺の工房で預かるな!」

「僕達もここに残るから大丈夫だよ。」
「そうそう。タクミのことは任せておいて!」
 リオンとシオンも、そう言ってくれる。

「わかった。田中には結界発生装置を渡してあるしのぅ。何かあっても、それが反応するじゃろう。我はこれ以上、ここには滞在出来ぬからな。」

「そうです!マスター、そろそろアースの学校が始まりますよ。」

 セシルの背後から、エルが現れる。セシルはエルの言葉にイヤそうな顔をする。

 そうか、学校ね。転生者の知識があれば、学校なんて行かなくてもいいと思うんだけど、エルが行けというんだから、何か理由があるのだろう。

「じゃあ、タクミは俺の工房に連れてくからな。リオンとシオンも来い。」

 そう言うジルに連れられて、ジルの工房に行くことになった。

 しばらく会えなくなるセシルとエルとトールに、挨拶を済ませると、王宮の外に出る。

「リオン、シオン。ランキング1位の乗り物を出すぞ。」
 ジルはそう言うと、自分の精霊を呼び出す。

 ジルの精霊を見た僕は、一瞬、目が点になる。

 あれって…。土偶だよね?

「おっ!コイツが気になるか?コイツの名前はドグーだ。古代遺跡からたまに発見される人形ひとがたに似てるが、俺の精霊だ。アースにも似たようなものがあるらしいな。」

「日本では土偶って呼ばれてますよ。」

「土偶!なるほどな。だから、ドグーか!やっとわかった!」
 ジルはそう言いながら、納得したような顔をする。

 そして、「コイツの名付け親はセシルさまなんだな。コイツの姿を見た瞬間に、そう叫んだから、その名前にしたんだよ。」と、説明してくれる。

「俺は古代遺跡に興味があってな。古代遺跡から発掘された、この人形の姿が頭から離れなくてな。」

 精霊は、確か、その人の思いが反映されるって言ってたな。ジルってば、どれだけ土偶に興味があるんだ?このフォルムか?謎だ!

「おい、ドグー!今月のランキング1位のホバー出してくれ!」

 ジルがそう言うと、ジルの左手が光る。

 眩しさに一瞬目をつぶると、次の瞬間にはジルの横に、バイクのような物体があった。

「これが、いま一番人気のホバーだ!」

「ホバー?」

「おぅ!これにこうやって乗るんだよ!」と言って、ホバーにまたがる。

 やっぱり、バイクみたいな乗り物?

「俺の工房は、王宮から少し離れてるからな。これに乗って行くぞ!タクミは俺の後ろに乗れ!」

 そう言われた僕は、ジルのようにホバーにまたがると、ジルにしがみつく。

「しっかり、しがみついてろよ!振り落とされるぞ!」
 ジルがそう口にした途端、ホバーはフワッと浮く。そして、次の瞬間、凄いスピードで動き出した。

 なっ、何なんだよ!この乗り物!
 ちょっ、ちょっと待って!
 振り落とされる!

 僕は、あまりのスピードに気を失いそうになっていた。
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