58 / 247
フラルアルド王国編
52話 主人公、紋章システムの仕組みを知るー1
しおりを挟む目的の場所に着いた。
ホバーに乗っていた時間は、長くなかったような気もするが、ホバーが止まった瞬間、僕はホバーから転げ落ちていた。
そして。
自分でも気付かないうちに、ドラゴンに変現していた。
双子がとっさに、僕の周りに結界をはる。アースでも見た、球体の結界だ。そこに閉じ込められた僕は、軽くパニックになっていたようだ。
「「タクミ!大丈夫だから、ヒトである自分を思い出して!」」
双子の呼びかけに、やっと正気を取り戻すと、ジルの呑気な声が聞こえた。
「おぉ!これがタクミが変現した姿か!本当にドラゴンだな!精神に負荷がかかると変現するのか!トール様が言ってた通りだな。」
もしかして…!
『ジル!ワザと僕をドラゴンにしたのか!ヒドイよ!』
僕はドラゴンの姿のままで、ジルに抗議する。
「タクミ。たぶん違うよ。ジルの運転が荒いのは昔からだよ。」
「ごめん。止めなかった僕達も悪かったよ。」
「でも、もっと加減すると思ってたのに。」
「タクミ、もう二度とジルの後ろには乗らない方がいいと思うよ。」
双子の言葉に、もっと早く教えて欲しかった!と心から思う。
「おぉ、スマンスマン。次からは気をつける。ホバーに乗るのは、初めてだったな。すっかり忘れておったよ。」
ジルが、ガハハッと豪快に笑う。
僕はドラゴンから人の姿に戻る。やはり、アースより変現しやすいようだ。変現のコントロールができるようになったと、思っていたのになぁ。
これからは、もっと気をつけよう。ここが森の中で良かったよ。街中だったら、被害が出てたかも。
しかし、本当にこんなところに工房があるのか?
ただの森の中だよ?
そんな僕の感想を気にせず、ジルは森の奥へと入っていく。
「俺の工房はこっちだ。この辺りなら、少しくらい大きな音をさせても大丈夫だからな。ここに工房を作ったんだよ。」
大きな音がする何かを作っているってことか?
ジルについて行くと、開けた場所に建物がドンと建っていた。日本にある町工場のようだ。工房だという建物の横には、ログハウスみたいな建物がある。
「そっちが工房で、こっちの建物が生活場所だよ。お前達が暮らすなら、もう一個、建てるかな。」
ん?建てる?
ジルはそう言うと、ドグーを呼び出し、「同じもの出してくれ」と言う。
ログハウスみたいな巨大な建物を簡単に出せるの?嘘だろ?
僕のそんな感想も気にせず、ジルの紋章が光ると、ログハウスが出現した。
は?どういう仕組み?
「魔法みたいだろ?仕組みが知りたいか?」
ジルが聞いてくる。
「もちろんですよ!どうなってるんですか?」
「詳しく教えてやるから、とりあえず部屋の準備をしよう。タクミは、紋章システムが使えないからな。リオンとシオンに任せておけ、な!」
ジルが出したログハウスは、吹き抜けのあるリビングと、リビングから行ける二階に個室があるタイプの建物だった。
「二階には個室が4部屋あるからな。好きな場所を選べよ。」と、ジルが言う。
「僕はどこでも大丈夫です。」
僕が答えると、双子が「じゃあ、適当に部屋を整えておくから、タクミは一階にいてね」と言う。
またウサ子とウサ吉に頼んで、アースのマンションの部屋を再現してくれるのかな。ありがたい。慣れている部屋の方がくつろげるし。
「じゃあ、茶でもいれるかな。」
ジルがキッチンへ行く。
「ここも改造しないと、タクミには使えないな。精霊がいないってのは、本当に不便だな。」
ジルはそう言うと、またも紋章から何かを出す。
「これが簡易な調理台だ。この上に鍋を置くと自動で温めてくれる。火力の調整はここな。とりあえず、好きな時にお茶くらい飲みたいよな。タクミは、紅茶とコーヒー、どっちがいい?俺は断然コーヒー派だがな!」
「僕もコーヒーが好きですよ。」
「そう言うと思ったぜ。これは、コーヒーに似た風味のある花の実だ。これを鍋に入れて、水を入れて、煮立たせると、ほら!凄い良い匂いがするだろ?」
ホントだ!コーヒーのような香りがする。
「で、これを。っと、カップもいるな。精霊のいない生活は、ファラと旅して以来だからな。何が必要か忘れてしまったな。あと、足りないものは、リオンとシオンに出してもらえよ。」
ジルは、コーヒーもどきをカップに入れると、リビングのテーブルに置く。
すると、ちょうど、双子が降りてくる。
「部屋はいつもの感じで作ったからね。」
「何か足りないものがあったら、教えて。」
いつもありがとう!
リオンとシオンには、世話になってばかりだ。
「お前達も飲むよな。そこに座れ。」
ジルが、双子にそう言って、謎のコーヒーもどきを双子にも振る舞う。
意外とジルは面倒見がいいんだな。この中で一番の年寄りなのに。
あっ、年寄りって言ったら怒るよな。きっと。
「良し!茶も入れたし、紋章システムについて、じっくり話すとするか!」
ジルの言葉で、紋章システム初級講座が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~
渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。
彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。
剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。
アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。
転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった!
剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる