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フラルアルド王国編
64話 主人公、古代神殿に行くー2
しおりを挟む剣を持ったガーディアンは、どんどん数が増える。
僕達を切りつけてきたガーディアンは、サクラが斬り倒す。が、どんどん増えるガーディアンに恐怖を感じたサクラは、「切っても切っても、向かって来るよ!」と叫ぶ。
「こいつら、弾が当たってるはずなのに、倒れないよ!サブマシンガンじゃ、威力が足りない!」とモミジも叫ぶ。
「数が多過ぎる。仕方ない!戻るよ!」
リオンがそう叫ぶが、来た道を塞ぐように、ガーディアンが出現している。
「僕達を帰さないつもりだ!ヤバイな。」
シオンの焦った声が聞こえる。
みんな、この状況に危機を感じていたが、僕だけは、落ち着いていた。
えーっと、あの文字って本当だよね?
騙されてないよな?
ドラゴンの瞳で全てを見ている僕は、さっきサクラが触った壁を凝視していた。
そこには。
"ここ、触ってみて!助かるかもよ~^_^"
と書いてある。
なんだか馬鹿にされてる感じはあるけど、先程の"危険!"の文字は間違ってなかった。
周りのガーディアンはどんどん数が増えている。早くなんとかしないとな。
僕は意を決して、その壁を触る。
カチッ。
「イヤーっ!!!」
サクラとモミジとリオンの悲鳴が聞こえる。
僕が壁を触ったと同時に、スライムが上から大量に降ってきたのだ。
ヌルヌル、ベタベタで、とっても気持ちが悪い。
ごっ、ごめん!!!みんな!
くそっ!騙したな!壁のくせに!
と思って壁の文字を見ると、"正解!"に変わっていた。
正解?
スライムが降ってきたのに?
なんだよ!馬鹿にされてる!
そう思った僕だが、そのスライムに触れたガーディアンの動きが遅くなるのが見えた。
「こいつら、スライムに触れると動かなくなるみたいだ!」
シオンがそう分析する。
おっ!正解だったのか!
でも出口はどこだ?
ドラゴンの瞳で周りを見渡すと、矢印が見える。
んっ?出口はこちら?
なんだ?それ?本当かな?
そう思うが、迷ってるヒマはない。いつまたガーディアンが動き出すか分からないからね。
「みんな!僕についてきて!」
僕はそう叫んでいた。
矢印が示す通りの場所に隠し階段を発見した僕達は、無事、次の階層に進んでいた。
「それにしても、よくこの隠し階段がわかったね。すごいじゃん、タクミ。」
リオンがそう話しかけてくる。
「いや、なんて言うか、そのっ。」
この不思議な文字の事を、どう説明して良いか分からない僕は、言葉を濁す。
「あぁ、ドラゴンの瞳を発動したんだね。何かが見えてるってこと?」
僕の金色の瞳を見たシオンが、僕の状況を推察してくれる。
「あっ、うん。そう。正解っぽい道が見えるんだけど…。たぶん間違いないと思うから、僕についてきてくれる?」と、みんなに提案する。
→こっちだよ~^_^
という、ふざけた感じの矢印と文字の事を言いたくなかった僕は、みんなの先頭に立って、案内するしかないのだった。
次の階層は、通路の両側に、扉がたくさん設置されていた。
この中から正解の扉を探せってことか?
扉にはそれぞれ、◯◯の部屋!という名前が書かれている。
無限回廊の部屋。
精霊ゼロの部屋。
疑心暗鬼の部屋。
最強ガーディアンの部屋。
などなど。
うわー、どの部屋も入りたくない!と感じる文字ばかりだ。
金色の瞳で見ている僕は、迷わず、ひとつの扉を選ぶ。
「この扉が正解みたいだよ。ほかの扉は決して開けないようにね。何が起こるのかは、僕にも良く分からないけど、とってもイヤな感じがするから。」と、説明する。
「こんなに同じ扉ばっかりなのに、正解が分かるの?タクミってすごいんだね!」と、サクラが感心したように言う。
さっき、ガーディアンからの攻撃をかばってあげたからか、僕を見るサクラの視線が熱い。
どうやら、懐かれたようだ。
すごいって言ってくれるのは嬉しいけど、僕自身は何もしてないしね。ただ、この文字と矢印を見ているだけだ。
なんだか情けない気持ちで扉を開ける。
が、その先の空間を見た僕は、そんな情けない気持ちも一瞬で吹き飛んだ。
その先にあったものは、豪華絢爛な空間だったのだ。
部屋いっぱいに、ゲームや物語でよく見る、財宝が山積みになっている。
それに、黄金の柱に黄金の壁。部屋全体が黄金で出来ているようだ。
「すっごーい!綺麗だね!」
「ついに、宝物庫に着いたよ!」
サクラとモミジは、素直に喜んでいる。
が、リオンとシオンは、あきれたようにつぶやく。
「簡単過ぎて、なんか困る。」
「タクミのドラゴンの瞳って、冒険のワクワクには向いてないね。」
そうだよね!僕もそう思います!
宝物庫へようこそ~^_^
という、ふざけた文字を見ている僕も、激しく同意した。
「まぁ、せっかくお目当の部屋に着いたんだからね。サクッと調査しようか。」
「そうだね。時代が特定できるものや、貴重な文献が見つかれば、いいんだけど。」
リオンとシオンは、たくさんの黄金には目もくれない。
それどころか、貴重な文献の方を探している。
お金という仕組みがないってことは、こういうことなんだな、と僕は実感する。
アースだったら、金目の物は持ち去られて、この部屋の柱や壁は、無残な姿になっただろう。
いい世界だよね。
紋章システムを開発して、このような世界にしたセシルのことを思い出して、僕は心から、セシルを尊敬したのだった。
感動していた僕だが、そういえば危険がないことを確認してないな、とやるべき事を思い出す。
ところが、「とりあえず、この部屋に危険な場所がないか、ドラゴンの瞳で確認するからね。僕が見るまで、あちこち触らないように!」と僕が言うより先に、モミジが何かに触るのが見えた。
壁にある大きな紋様が気になったようだ。
危ない!
僕は慌てて、モミジを抱きしめる。
その紋様は触っちゃダメだ!
その紋様には、勇気あるヤツだけが入れる部屋!と書いてあった。
抱きしめたモミジを壁から強引に離した僕は、モミジの代わりに壁に飲み込まれていった。
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