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フラルアルド王国編
65話 主人公、ドラゴンに会うー1
しおりを挟む壁の中に飲み込まれた僕は、眩しさに目を細める。
「おっ!お客さんだね!初めまして!歓迎するぞ!」
誰かが、そう言う声が聞こえる。
聞き覚えがあるな。この声…。
まだ幼い男の子の声?まさか!
目の前には、あの映像で見た男の子がいた。
「ラスボスの部屋へようこそ!じゃあ、早速、戦闘開始だ!かかってこい!」
男の子はそういうと、ドラゴンの姿に変現する。
ドラゴン!
やっぱりこの男の子はドラゴンなんだ!
言葉もない僕の目の前では、その男の子が火を吐いている。
「ちょっ!ちょっと待ってください!僕は闘いにきたワケじゃなくて!」
僕は慌てて説明するが、そのドラゴンは容赦なく僕に向かって火を吐いてくる。
あの炎は危険だ!
そう感じた僕はとっさに、ドラゴンに変現していた。
ドラゴン同士で闘うなんて!
ドラゴンの炎を受けたことはないけど、なんだか熱い気がする。
ドラゴンは防御能力最強だって言ってたけど、攻撃能力も最強なのか?
もしそうなら、矛と盾だ!
どちらも強いなら、あとはその個人の能力次第ってことじゃないか?
あの男の子は、姿は幼いけど、僕よりはるかに年上だ。
絶対に負ける!
ここには、偶然迷い込んだだけだ。闘うなんて無理!
「あのっ!君に聞きたいことがあるんだ!僕の話を聞いてください!」
僕は必死に訴える。
ドラゴンの炎を防いだのを見た男の子は、僕の方を凝視する。
そして、「お前!本物のドラゴンだな!仲間に会うのは久しぶりだ!」と言って、人型に戻った。
はぁ、良かった。
あのまま闘っていたら、絶対無傷じゃ済まなかったよ。
人の姿に戻った男の子は、少し透けている。
もしかして、立体映像?本体じゃないのか?
「よぉ!初めましてだな!僕の名前はソラ、正真正銘のドラゴンだぞ!」
「あっ、初めまして。僕はタクミって言います。」
人型に戻った僕も、そう自己紹介する。
「あのっ!僕はいろいろ聞きたいことがあって!」
同じドラゴンが本当にいたことに胸がいっぱいになり、聞きたいことを上手く言えない僕の方に、ソラが近付いてくる。
テケテケっと走る姿は、とても可愛い。
でもこの子って、ドラゴンなんだよな。
僕のすぐ前に立ったソラは、僕に抱っこしろ、というジェスチャーをする。
僕はソラを抱きかかえる。すると、ソラが僕の金色の瞳を覗きこんでくる。
ソラの瞳も金色だ。綺麗だなぁ。
そんな感想を抱いていると、「事情はわかった。タクミは先祖返りなんだな!」とソラが言う。
「タクミの記憶を覗かせてもらったぞ!大いなる呪い、紋章システム?七つの国?そうか、セシルは上手くやってるようだな。」
「あっ、あの。セシルさまのお知り合いですか?」
エルが知っているというドラゴンは、このソラのような気がした僕は、そう聞いてみる。
「タクミの言うセシルが、僕の知ってるセシルかと言われたら、違う!というしかない。でも、転生者のセシルのことは、良く知ってるぞ!」
今のセシルさまには、会ったことがないってことかな?
でもセシルさまが転生者だって、知ってるということは、かなり仲の良い友達ってことか?
「セシルのことは、昔から知っている。でも。そうだなぁ。かれこれ500年くらい会ってないな!」
500年も会っていないことを、なんでもないことのように言うソラ。
あっ!そういえば!
前にドラゴンの時間感覚は変だってエルが言ってたな。
「で?タクミは僕に聞きたいことがいっぱいあるんだよな?」
「はい!そうです!もうこのエレメンテには、ドラゴンは居ないって、聞いたんですけど。ソラはドラゴンなんですよね?」
「そうだぞ!んー、それより。その敬語やめてほしいな。日本では、年上に敬語を使うことが普通なのかもしれないが。まぁ、僕のことを敬う対象だと察しているタクミは、先祖返りにしては、なかなか能力があるぞ!」
褒めてくれてるのかな?
姿は幼いんだけど、なんだか逆らえない雰囲気を感じていた僕は、ついつい敬語になっていたようだ。
「わかったよ、ソラ。敬語はやめるから、僕にいろいろ教えてほしいんだ。お願いできるかな?」
「いいぞ!でも、そうだな。ただ、教えるだけじゃツマラナイな。」
ソラは少し考えている。そして。
「タクミ!僕はこの世界のたくさんの遺跡、まあ、多くは神殿だけど。そこに面白い仕掛けをしたんだ!そこを攻略するごとに、タクミの質問に答えることにするぞ!」
なんですか!その条件!
素直に教えてはくれない。これがドラゴンなのかな?
エルが扱いづらいって言ってたよな。
一筋縄ではいかないってこと?
「はぁ、頑張りますけど。エレメンテには、遺跡がいっぱいあるって聞いたよ。どの遺跡なのか、ヒントがほしいんだけど。」
「いいぞ!まず、いまこのエレメンテには七つの国があるらしいな?それぞれの国の最も古い遺跡に仕掛けをしたから、それを探すんだ!遺跡に入るための扉に、ドラゴンの紋様を施してある。それを目印にするといいぞ!」
「ドラゴンの紋様?」
「そう!これだ!」
ソラはそう言うと、空中に不思議な紋様が浮かぶ。
あっ、これは!
さっき、モミジが触れた壁に書いてあった紋様だ!
「ドラゴンの瞳で見れば、確実にわかると思うぞ。それこそ、トールという名前のドラゴノイドでも分かる。」
「トールくん?ドラゴノイド?」
「そうだ。タクミに分かるように言うと、ドラゴンと人の混血種、竜人ってヤツだ。昔は、たくさんいたんだぞ!だが、ドラゴンもドラゴノイドも、どんどんいなくなってしまった。」
いなくなってしまった?
「ソラ、ドラゴンのことを教えてほしいんだ。僕は自分が何者なのか、知りたいんだよ!」
僕の切実な願いに、ソラはニッコリ笑って、こう答える。
「質問1だな!いいぞ、教えてやる!この世界最強にして最恐!至高の存在であるドラゴンについて、じっくり教えてやるぞ!」
んっ?
ドラゴンは至高の存在?
この世界で最強だって?
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